第116話 懇親会

 カンダ株式会社。

 日本で俺が祖母ちゃんの力を借りて起こした会社だ。


 異世界で稼いで日本での資本に充てる。

 業務内容は、賃貸畑~観光牧場~観光農園~BBQ場~温泉施設。

 総合観光施設である。


 異世界で頑張るほど、日本での業績も伸びる。

 頑張りがいのある不思議なシステムだ。


 ただ税務署が怖いので、余り大っぴらに資本の補填は行えない。

 しかし、異世界で魔女として恐れられた祖母ちゃんが‥‥‥

「痛い痛い!叩かないでください!」

 異世界で、迷宮魔女の森の魔女として‥‥

「だから痛いって!今更隠してどうするんですか!?‥‥そんな上目遣いしてもダメです!」


 まぁ、異世界連動の現実社会を上手くやってます。

 基本的に異世界メインで活動してる訳ですが、現実の立ち位置が社長なので、色々と根回しと交流も必要なんです。


 そこで!日本での右腕、左腕が欲しいのですが‥‥

 こんな話、信用できないよね?

 逆に、人を信用して任せられる?

 具体的に何して欲しいの?

 日本で重婚は犯罪だよ?

 若い男が異世界行ったら‥‥絶対ヒャッハー!するでしょ?


 様々な問題が、問題過ぎて!

 異世界の話を、現実世界の人たちに話するのは無謀だよね。

 仮に嫁を貰ったとして、異世界知った嫁が変貌しないとは限らないよね?


 あーだこーだ考えた結果、会社の人ともう少し交流を持って人に慣れよう!

 と、言うのが今回の基本コンセプトです。

 富岡香さんとか井坂京子さんとかは、切っ掛けに過ぎません!

 そういう事なんです!


 ただ、自分が言い出した事なのに中々実践出来なくて、申し訳ない。

 人数多いので、結局、課ごとの飲み会になりました。

 総務課長の山際さん、本当にありがとうございます。


 順番はランダムで、仕事に影響しない様に予定を組んで貰いました。

 では、懇親会の開始です!


 最初は牧場関係、飼育係の皆さんと飲んだんですが、これはかなり勉強になりました。牧場と言えば、牛、ヤギ、ヒツジ、馬ですね。

 今度、カウボーイ部門を立ち上げます!投げ縄練習してくださいね!!


 釣り堀部門の皆さんと話したら、目標は鮭の遡上を狙うとの事!えっ!?鮭が登れる川なの?

 今は、イワナ、ヤマメ、トラウト系がメインですが、ヤマメが降りて登ってサクラマスが確認できたと!!素晴らしい!!

 祖母ちゃんに言って川の流域すべてを押さえないとイケませんね‥‥物理的に可能なんですか?ねぇ?


 観光BBQ部門の皆さんは、基本的にパートのおばちゃん。

 社員さんが1、2名付いて廻して貰ってる感じですね。

 態度の悪い客や質の悪い酔っ払いも多いそうです。

 横に付いて焼けとか、お酌しろとか、セクハラも多いそうです。

 オバちゃんは女性です。理不尽な輩には抗えないんです!

 異世界なら自身を焼いてやるのに、ここではそんな事出来ません。

 どうするか?‥‥人が言うと角が立つのなら、人で無い者に言って貰いましょう!


 えへ♪魔狼にちょっと出張業務をお願いしました。

 最初、話したら希望者殺到でしたが、業務内容聞いてスス~と潮が引いて行きました。それでも、オバちゃんの忠犬を演じれば好待遇が約束される!そんな訳で最初は3頭連れてきました。異世界の言葉は分かるけど、日本の言葉は分からない。

 彼らは日本語も必修にしましょう!オバちゃんたちに引き合わしたら‥‥

 こんな巨大な狼犬は見た事無いと大人気!言葉も雰囲気で分かるようで、それがまた賢いと好感度アップ!

 そうすると、ダメだって言ってるのにオバちゃんパワーで良いじゃん良いじゃんとオヤツやお菓子をやるやる!

 こいつら魔狼で人化できるくせに、犬に徹して貰う貰う!お前たち味を占めたようだが仕事はちゃんとせいよ!?


 それが、こいつらかなり優秀な働き具合を見せて引っ張りだこに‥‥そのニヤっとした顔がムカつく。


 BBQ場では狼を連れたオバちゃん達が居ると話題になり、流石に狼連れのオバちゃんにはセクハラしないよな?なんて甘かった。普通にセクハラして狼が間に立つと、噛んだら保健所行きだと言って狼に暴行。それでもオバちゃんはしっかり守って暴行にも耐えた。


 その様子がSNSにアップされ、セクハラ親父は連行されて魔狼の好感度は鰻上り!様々な方面から差し入れの嵐で、ドヤ顔にも磨きがかかってきたが‥‥期間終了で交代!かなり悔しそうで、次も来ると誓っていた!


 因みに、狼そのままでは流石にマズイので、シベリアンハスキーの亜種とかなんとか?一応、犬という事で押し通した。‥‥なんか足跡でバレるらしいです。指の数とか水かきがあるとかないとか?


 まぁ、それから魔狼の日本出張は大人気!!

 言うこと聞いて、攻撃には耐えれば良い。その攻撃も蚊が止まる様だとなると、皆挙って志願したが、耐久力テストで俺の攻撃!としたら、志願者が居なくなった‥‥

 大げさだよぅ‥‥


 温泉部門の皆さんとは、普通に飲み会だった。

 楽しく飲んで歌って、特別な事はなにも無く楽しかった。今度また一緒に飲みましょうと楽しく終わった。

 温泉に卓球は必要だとか、ボウリングがあれば!とかの意見もあったので、スポーツ施設の併設は良いかも知れませんね。


 農業部門の皆さんは深かった!

 今度、酒造部門を立ち上げたいと伝えたら、安納芋が‥山田錦が‥‥蕎麦が、麦が、トウモロコシは‥‥サトウキビが無いと‥‥皆さん酒に対する想いが強すぎません?ちゃんと答えられるようにしますね!


 物流部門の皆さんは、安定した方々で今後もよろしくお願いします。

 近距離でのEV採用や中距離でのPHEVの採用などは考慮する様にしますね。

 距離に対するランニングコストも大事ですが、車両の電池交換を考えると微妙です。メーカーは目先のコスト提示しかしてないので、長い目で考えたら微妙です。

 EV系はエコロジーかも知れませんが、エコノミーでは無いのが実情ですね。


 事務系総務部門です。

 富岡香さんや井坂京子さんが居ます。

 ……結果を言えば、何もありませんでした。

 当たり前ですね。

 ちょっと、ほんのちょっとだけ、期待してました。

 異世界での問答無用で嫁になる!じゃなくて、ほんの少し甘酸っぱい駆け引き何て楽しみたかったなぁ!‥‥なんて、思う訳です。

 モテない男がそんな事思う事が贅沢ですね。

 彼女たちに固執するとセクハラで訴えられます。

 ちょっと優しくしてやれば、あのオッサンきも!って言われるのがオチですね。

 女性の優しさが罠となる現状が怖いです。

 優しい女には近づかないのが身のためですね。

 騙されてセクハラで捕まる未来が見えます!

 やはりトゥミ達が最高のパートナーなんでしょう。


 ~~~~~~~~~~~


「京子~~!昨日の飲み会どうだった??」


「ん~‥‥何の変わった事も無く、飲んで歌って終了。そんな感じだね。」


「え~‥‥?社長からは何のアプローチの無し?」


「なんかね、女に対して警戒してる感じかな?」


「‥‥なんか、あったのかな?」


「ん~‥‥なんか在っても不思議じゃないよね?」


「そうだよねぇ~。純粋な気持ちで近づく女なんて居ないし。」


「それは、違う!純粋な気持ちの女も此処に居る!」


「‥‥まぁ、それは否定しないが、富岡さんもそんな感じだったの?」


「う~ん‥‥押すに押せなくて迷ってる感じ?」


「そうかぁ、だったら今のうちじゃないの?」


「そうなんだけど‥‥なんか秘密が在りそうで、入って良いのかなぁ?ってね。後に引けなくなりそうだし‥」


「秘密のある男かぁ‥‥興味あるなぁ。イケ!京子!」


「他人事だと思って‥‥‥」


 ~~~~~~~~~~


「か~おる!」


「綾かぁ。‥‥‥」


「あれ~?元気ないじゃん?昨日懇親会だったんでしょ?」


「うん‥‥そうなんだけどね。」


「あ~!社長に全く相手にされなかったんだぁ?」


「ハッキリ言わないでくれる?!だって全然無かった事になってる感じだったから、なんか悔しくて、ね‥‥」


「あー。。。逆に意地張っちゃったんだね?ヨシヨシ!お姉ちゃんが慰めてあげよう!」


「止めてよ。もう‥‥はぁ、何で意地張っちゃったかなぁ‥‥」


「ところで、井坂はどうだったの?井坂京子。あの娘も社長狙ってるでしょ?」


「えぇ!そうなの!?」


「どこまで鈍いかなぁ?見ててバレバレじゃん。」


「そういえば、さりげなく隣に居たような‥‥」


「あ~らら。ボヤボヤしてたら持ってかれちゃうぞ?」


「うっ‥‥それは、ヤダ!」


「じゃあ………」


 ~~~~~~~~~~


「ふぅ、やっと懇親会も終わりましたね。収支と結果を考えると大成功でしょうか。」


「山際さん。スポーツ施設部門の草案が上がってます。」


「こちらも、乗馬施設とカウボーイ部門の意見書が来ています。」


「酒造部門は法的に認可が必要になりますので、専門家の意見を収集しています。」


「この懇親会で、新たに会社が動きそうですね?これも社長の思惑通りなんですかねぇ?」


「「「「‥‥‥‥‥」」」」


「そうだとしたら、ちょっと怖いくらいですね‥‥」


「基本的に専門家に任せる方針なので、万が一失敗しても会社の損失は少ないでしょう。温泉の時など絶対に失敗すると思ってたのが、社長の采配であっさりと温泉が出ましたからね。あの人は何か持ってるんでしょうね。」


「それでは各自、情報収集をお願いします。成功すればまたボーナスアップですよ!」


「「「「ハイ!!」」」」



 そんな頃真悟人は、

「トゥミ達を連れて来るには、やっぱ大義名分が居るよなぁ?‥‥」


 全然違う事で悩んでいた‥‥‥

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る