第113話 子供たち

 牙猿と魔狼は一気に増えたが、人間の子供はそんなに一気に大量には増えない。

 まあ、人間とエルフのハーフだが、地味に増えてると言えば増えている。


 真悟人の子供なのだが、当然、スティングとイネスだけじゃない。

 トゥミ ー スティング♂6才

 サラ  - ロサ♀4才

 シャル - フロス♂2才

 カレン - フラム♀2才

 ユナ  - マイカ♀0才


 アンジェ - イネス♀6才

 フラビ  - パルメリ♀5才

 ムルミィ - アクセルロディ♂3才


 

 現在、総勢8人である。

 年齢的にも上手くばらけた感じで、グッジョブですね♪


 彼らは当然、幼稚園から小学生的な年齢なのだが、この世界では早熟な気がする。

 大体、3才くらいから大人びた発言が目立つようになる。

 今は、ムルミィとの子供のアクセルロディが生意気な事を言い出した。


「だから、タコはツボを大量設置して必要分だけ収穫すれば良いと思うのです!」


 はい。正論ですね。

 ただ、そこにはタコの餌の問題などは考慮されていないので、やはり子供の短絡的な意見なんですが‥‥彼は、やってみないと気が済まない。


 人魚さんたちに頼んで一定区域で検証実験‥‥‥

 誰もが分かる結果を見て納得と・・・

 皆さまご迷惑をお掛けしますが、ご協力ありがとうございます。


 そうやって、子供たちは疑問に思ったことをやってみる。

 大人から見たら結果が分かってる事も、興味深い事も。

 やってみないと分からないよね。


 毎回、同じ事を繰り返すことも在って、付き合うには大変なのだが、なるべく希望は聞いてあげようと思っている。

 自分でやってみて分かることも多いよね。


【やってみせ、言って聞かせて、 させてみせ、 ほめてやらねば、人は動かじ。

 話し合い、耳を傾け、承認し、 任せてやらねば、人は育たず。

 やっている、姿を感謝で見守って、 信頼せねば、人は実らず。】


 そうやって育てられたら違うのかな?

 気持ち分かってくれるのかな?


 人を育てる?子供を育てるにはマニュアルなんて無いよね。

 ただ、こうだったら自分も言う事聞くよね!と思ったのは山本五十六の言葉。


 戦争時の言葉だけど、自分にも当て嵌まるよなぁと思ったんで、子供たちにも言ってみたんだが‥‥‥


「「「「「‥‥‥‥‥」」」」」


 全員無言でした。

 そう言えば、これって教育する側に対する言葉だよね。


 アクセルロディは3才になって言葉も達者になって、そんな事を言い出したが、

 フロス♂2才

 フラム♀2才

 マイカ♀0才

 彼らはまだまだ赤ちゃんな訳な筈で、あれ!これ!パパ!ママ!お腹減った!トイレ!がメイン言語な訳です。

 マイカに至っては、あー!だー!うー!後は泣く!‥‥当然ですね。

 赤ちゃんだもん♪ここから3歳までの可愛さで親孝行は終了だそうで!?

 その話を愕然として聞いて、うちの子はそんな事は無い!!と信じたかった‥‥


 ‥‥‥スティングを筆頭に、3歳までの可愛さで親孝行終了とはよく言ったもんで彼らの傍若無人ぶりを見ると、なるほどなぁ‥‥と、ため息も出るもんです。


 彼らは魔法が得意な体質に生まれ付いた。

 ヴィトン曰く、人間とエルフのハーフの場合、互いに魔法体質だと両親の良いトコ取りで、とんでもないバケモンが生まれる事があると‥‥


 え‥‥‥ 

 スティングは何でもコイの全属性使い‥‥

 イネスは水、氷、風、から時空魔法まで人魚血族にあるまじき魔法使い。

 ロサやパルメリも氷や火を自在に扱っていて、どこまで伸びるの?この子達。


 それぞれ、魔法のエキスパートが暴走しない様に指導しているのだが‥‥

 さすが子供!やらかすやらかす‥‥‥


 燃やす、飛ばすは当たり前‥‥隠す壊す爆発する‥‥‥

 そのたびに、お尻百叩きの刑に処するのだが、最初に尻叩きを執行した際には、ギャン泣きして魔法が暴走!荒れ狂う嵐の中、結界を張ってなんとか外部に被害無しで収まった‥‥この時を教訓に、まず結界で閉じ込めると彼らも観念して大人しく怒られる‥‥と、思ったら今度は結界破壊の試行錯誤を始めやがった!

 こっちも剥きになって、絶対破られない様に強化に強化を重ねて、ガッチガチの強化結界が出来るようになったのは別の話。


 子供たちがこんな調子なので、大人たちの方が危機感を持って、子供に対抗できるだけの魔法を強化、構築を始めた。

 おかげで牙狼村では、エルフは当然として牙猿と魔狼も魔法を扱える。

 そうでなくては、子供を抑えることが出来ない。


 俺の子供たちだけでなく、ボスの子供たちも居る。

 彼らが牙猿魔法化のパイオニアである。


 ワフワンの息子のワンス♂。7才

 ワフトゥの息子のトゥース♂。7才

 ワフスリの娘のスーリー♀。7才


 スティングたちが打ったバカげた魔法を瞬時に打ち消し、ちゃんと叱ってくれる頼れるお兄ちゃんお姉ちゃんである。


 そこから誰しも魔法を覚えるようになった。

 ボスなんかは、身体強化や体力アップが大好きで、周りの者も引き込んでエルフの街との往復タイムトライアルをやっている。


 今まで、エルフの街までは人間やエルフで片道2日で行っていた。

 牙猿で1日。魔狼も同等。それが魔法を扱い出して半日。

 魔狼が俊足の魔法で3時間の記録を出した。


 ここで牙猿に火が付いた!森のスピードで遅れを取るわけに行かないと。

 魔狼は地を駆ける。牙猿は木々を飛ぶ。当然魔法の違いがある。

 魔法の試行錯誤を繰り返す日々だったが、目から鱗の事が起きた!


 森の警備隊。牙狼戦隊である。

 彼らは、障害物(木)の少ない所は魔狼が疾駆して牙猿は抵抗にならない様に背中で荷物と化す。木々が入り組んできたら、牙猿が木々を飛ぶ。

 足で魔狼を抱えて、木々の間で足で跳ねる時は魔狼が足と化す。


 完全な役割分担。呼吸がピタリと合わないと出来ない妙技。

 これを戦隊メンバーたちは当たり前に熟していく。

 タイムトライアルは2時間‥‥‥


 誰もが追い付けないと思ったが、これをスティングとイネスが若干上回った!

 1時間59分27秒‥‥計ったの誰だよ!?って突っ込みは無視して、超えられない記録じゃないと、現在も頑張ってる猛者たちが居る。


 因みに計ったのは俺。

 スタートでストップウォッチを押してからエルフの街に転移して、ヴィトン達と一杯飲んで、頃合いを見てゴール地点でみんなで盛り上がる訳だ。

 理不尽だという目で見て来るが、そこはスルーで。


 何か子供たちに勝てる魔法が俺にも無いと悔しいので、いちばん大人げないのは俺かも知れない‥‥てへぺろ♪


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