第92話 宴会
オーク達の集落に厨房を作り、テントを張り、テーブルと椅子を並べた。
給仕係をオークの女性から募って、報酬のチョコパイを見せたらやはり希望殺到。
ジェネラルやマジシャン達に面接して決めて貰った。
面接官の報酬は、ウィスキーボンボン。
ジェネラル達は、特にウメヤマは最高に喜んだ♪こ、こんな至福の食い物がぁ!!
うん。気持ちは分かるけど、後にしようね。
つか、お前甘い物もイケるのか‥‥‥チッ!
厨房要員とフロア要員。基本はセルフサービスだが、この人数だと絶対に粗相する奴が出て来る。その対応も兼ねてるので、フロア要員は女性だが、胆力の強い人。そうして準備は出来た。
宴会と言えば、挨拶と乾杯。司会はシャル。
このエルフっ娘、本当に万能です!今度またボーナスでもあげないとね。
嫁だから夜の報酬?‥‥‥それって俺が報酬貰ってる気になるよね?
皆が席に着き、全員にコップが渡されて、各テーブルにピッチャーが置かれる。
皆。ピッチャーを見て不思議そうにするが、各テーブルには仕切り要員を配置した。勝手が分からないから勝手な行動を取る。これを抑制する。
フロア要員の交代メンバーは、テーブルについてる時は仕切り要員である。
彼女たちには、宴会終わった後にボーナス報酬も用意しておこう。
シャルから開会の挨拶。
卒無く熟す。さすがシャル!
今回の宴会の趣旨は、神田真悟人一家にオークのマンガリッツァ一家が盃を交わす!そういう宴だと!
吹き出しそうになった。聞いてないぞ?
確かに牙猿のボス一家とか、魔狼のアルファ一家とか言ってたけど‥‥そこにオークのマンガリッツァ一家が加わるって形なんだ?デュロック達はどんな話をしたんだ?つか、デュロック達はどうしたんだ?
「最初に、神田真悟人一家総長、神田真悟人様のご挨拶です。」
やっっべ!何も考えてなかった!‥‥まぁ、何とかなるかな。
「あぁ、ご紹介預かりました。神田真悟人です。‥‥‥」
思い付かねぇ~~!!考えろ!考えろ!考えろ!!
「今回、縁が在りましてマンガリッツァと同じ志を共にする事になりました。目指すのは我等にとって平和な世界です。その志の元、牙猿のボス達も、魔狼のアルファ達も共感してくれました。ここでオークのマンガリッツァ達が共感してくれる事に寄って、一層励みが付きます。有難う御座います。今回はその始めの宴です。どうか、よろしくお願いいたします。」
「「「「「おおー!パチパチパチパチ」」」」」
拍手なんて概念は無い筈だが、フロア要員の方が上手く誘導してくれてる様だ。
「総長、ありがとうございます。」
「次に、オーク一家、マンガリッツァ様からの乾杯の音頭です。皆さま、お手元にある杯をお持ちください。」
マンガリッツァが前に出る。
ジッと辺りを睥睨する。
「‥‥‥我は、感じ入る物があって真悟人殿に付いて行くことにした。趣旨は平和な世界だ。‥‥気に入らない奴は抜けろ。付いて来る者には報いよう。ここで盃を交わそう。‥‥乾杯!!」
「「「「「‥‥お、おお、乾杯!!!!!」」」」」
俺は、杯を持って、黙って掲げた。感動した。
マンガリッツァの事だから、シンプルに乾杯を終わらすと思ってた。が、違った。なんだよ、おい!メチャクチャカッコ良かったぞ!
乾杯をして、歓談に移る。マンガリッツァに話そうと思ったら……
奴は、乾杯で一杯のビールを飲んで。。。。。寝ていた。
ハハッ!そうか、ウメヤマが宴会の準備と聞いてビックリするはずだ。
フロア要員の女の子たちに、チョコチップクッキーを1枚ずつ渡して、マンガリッツァを頼んだ。皆、「よっしゃー!」と気合入ってたので大丈夫だろう。
会場に戻って、デュロック達を探す。・・・・居たいた。
デュロック達を発見して、ちょっとホッとした。
「よぉ!飲んでるか?」
「あっ総長!!」
皆が跪いた。おいおい!止めろ止めろ!酒がマズくなる。
「すいません。」
「なんだ?その総長ってのは?ずっと聞いて見ようと思ってたんだよ。」
「あれ?総長は知ってるもんと思ってましたが?」
「知らねぇよ。どっから出て来た?」
「マンガリッツァさんやウメヤマさんと話してる時に、そうなるって言ってましたよ?」
「そうなる?って?おいおい、どんな話なんだよ?」
「今日の宴会の通りじゃないんですか?」
「あ?‥‥‥‥どんな話だ?」
「だから、オークのマンガリッツァ一家と盃を交わす。って話ですね。」
「ああ、だから、そうじゃ無くて、どうしてそんな話になったか聞いてんだよ。」
「ん?どうしてそんな話に??」
「あ~~!!もう!お前の所の不穏分子を何とかしようって話だったろ?それがどうして盃を交わす話なんだよ?」
「??その話でこうなったんでは?」
「お前、ちゃんと説明しねぇといい加減怒るぞ?・・・」
「え?え?あわわわわ‥‥‥あ、あの、す、すいません。全部分かってるモノかと?」
「分かんねぇから聞いてんだろ?お前、今、何聞いてた?」
「あ、すいません。ごめんなさい。勘違いしてました。」
流石にイライラするわ!
聞いてる事にもちゃんと答えられねぇのかよ?
どうなってんだよ?誰が事の顛末が分かるんだ?
席を立ちかけたら、オークのマジシャンの女の子が来た。たしか、ランドレースって娘だったな。
「総長、ごめんなさい。デュロック達にはちゃんと説明して無くて、分かって無い事が多いんです。」
「‥‥そうなのか。言葉荒げて悪かったな。当事者が一番分かってるって思ってたよ。」
そのセリフに、デュロック達に見えない位置で口に指を当てた。
「当事者だけに、知らない方が‥‥ね?」
小声で、俺だけに分かる様に言った。
「あぁ。分かった。」
立ち上がり、デュロックの肩を叩いて、
「俺の方が勘違いしてたみたいだ。ゴメンな。デュロック、これからも頼むな。」
そう言って席を離れたら、ちゃんとランドレースは付いて来た。
「で、教えてくれるのか?」
「もう、野暮ですねぇ。女と一緒にお酒飲むのにそんな話ですかぁ?」
苦笑いを返して、
「済まないな。気になる事から片付けたいんだ。マンガリッツァの奴は寝ちまったしな。」
「ふふっ。シャルに聞いてた通りですね?」
「ん?シャルに何を聞いたって?そっちの方が気になるわ!」
「え~~。女の会話は教えません!」
「なんだ?そりゃ?」
「うふふ。女は秘密が多いんですよ。」
「そりゃ、確かにな。んで、総長ってどういうことだ?」
「もう、せっかちですねぇ。」
「まぁ、良いから教えてくれよ。」
「じゃあ、貸し一つって事で。」
「ん?菓子ならやるぞ?チョコがいいか?クッキーがいいか?」
「え~~~~~!そうじゃ無いのに!!」
横から大笑いしながら女が近づいて来た。
「アハハハハ!だから言ったでしょ?真悟人に通じないって!」
「うぅ~~~不本意だわ!!」
シャルだった。
「真悟人、ゴメンねぇ~。ちょっと女同士の話でね。真悟人ってどんな男?って話になってね。」
俺の肩に手を掛けながら、ランドレースとは逆の席に座った。
「どんな男なんだ?俺は?」
メッチャ気になるじゃ無いですかぁ~!!
「朴念仁‥‥」
「は?‥‥」
絶対良い意味じゃ無いよね?それって?
「難攻不落の良い男かな?」
ぜってー違うと思う。
あっ!シャルに言っておかなきゃ。
「シャル。」
「はい?」
「今日の司会、良かったぞ!さすがシャルだな。」
「え?え?」
「ちょっと惚れ直したな。だから夜は‥‥」
「も~~~~!!!だから真悟人はもう!!」
「駄目か?」
「駄目な訳無いでしょう!!今夜の順番で行くと‥‥よし!トゥミに交渉してくる!」
席を立って、行ってしまった。
「ん?トゥミの順番なのか??」
女性のローテーションにも疎い真悟人である。
「んで?本題は?」
ランドレースと目が合ったが、
「知~らない~っ!」と席を立たれてしまった。
え~~~??
誰か教えてくれよう~!!
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