第91話 到着~準備

 総出で遠征宴会の準備をした。


 酒や食材は十分。

 移動厨房やカウンターバー及びBBQの準備もバッチリ!

 食器やテーブルや椅子も全て準備した。


 万が一、天気が崩れた際のテントなども用意した。

 準備に際して、皆が気付かなかったトイレ!女性は切実な問題だろう!それに、男はその辺で!って思いがちだが、後が大変なのでスライム先生にも協力をお願いして、簡易トイレも個室で10個用意した。‥‥足りるか?


 翌朝は、、まず確実に全員が動けないであろうから、翌日の朝飯や酔い覚ましのもの色々と準備した。ウメヤマも動けなくしてやる!イヒヒ♪




「出発!!」


 牙猿と魔狼の大移動!!

 キチンと班分けして、各リーダーを先頭に行進して行く‥‥のだが、大分勝手が違う。

 牙猿は、ボスに背負われた俺を先頭に、森の中を飛んで行く!文字通り飛んで行く。魔狼達は、アルファに乗ったシャマルを先頭にシルビアが続き、水の流るが如く森の中を流れて行く!!地面を狼が流れ、頭上を猿が飛ぶ!!ビデオにでも撮りたい光景だが、見てる者は誰も居ない。

 こんなのに遭遇したら命が幾つあっても足りないと?‥‥そりゃごもっとも。


 途中でオークの斥候の親分?に会った。

「お控え下せぇ。」


 ‥‥あ、やるんだ?

 それはボスとアルファに任せた。

 ホントにコイツ等何処で覚えて来たんだ?それとも何か?昔からの通常の挨拶なのか?今まで、敵対相手しか居なかったから、通常の挨拶なんか知らないもんな。

 なに?彼等は任侠の世界なの?俺が狙われたりしてタマ取った取られたって世界なの?

 そんな益体も無い事を考えてるうちに、斥候の親分からの道案内が示された。


 見えて来た。

 オーク達が一列に並んでいる。何重にも並んで、何人居るのか分からない。

 その前に、ボスから降りた。

 先頭に立って、真ん中に立つマンガリッツァの前に進む。

 一歩下がってウメヤマも居る。並んで初見のジェネラルやソルジャー達も居る。

 なんだ!?この戦力は!?こいつら居れば国相手に戦えるぞ!?


 マンガリッツァの前に立つ。表情には何も出さないぞ!と呪いを掛けて。


 相対した途端に、マンガリッツァが跪いた。

 その瞬間、オークと牙猿と魔狼が、一斉に跪いた。

 ザッ!!と統一された音が響いた。

 ‥‥この中で立っているのは俺一人。


「‥‥総長。お疲れ様で御座います。マンガリッツァ以下オーク総勢216名。お待ちしておりました。」

 一糸乱れぬ動作で全員が頭を下げた。


 ‥‥鼻血が出そうである。

 ボスが歩み出て、俺の代わりに口上を述べてくれる。

「総長、身の程も弁えず、しゃしゃり出る愚行をお許しください。」

 そう言って俺の斜め後ろで声を張り上げた!

「有難う御座います。総長に変わり、失礼さんにござんす。手前、当神田真悟人に従います若い者。若輩ながら、総長のお言葉を述べさせて頂きます。」

 ボスがこちらを見上げて来る。

 え~~?テキトーに上手くやってくれよ!と思いながら、盛大な歓待、痛み入る。どうか楽にして今後の和を紡いで行きたいと言ったら、それ、主が言った方が良くないですか?と突っ込まれた。


 しょうがない。

 ボスの顔を潰さない様に、ボスの肩に触れて自分で言う意思表示をしてから口を開いた。魔法で拡声と威圧を少し込めて。


「このような盛大な歓待。大変に痛み入る。マンガリッツァを筆頭にウメヤマやランドレース、ヨークシャーもデュロック達のために尽力してくれたのだろう。他の皆も多大な貢献、非常に感謝する。今後も皆の和を紡いで行く事に協力を頼む。皆の平和な暮らしの為に!」


 しーーーーんとした反応。・・・・・あれ?やっちゃったか?


「「「「「うおおおぉぉぉーーーー!!!」」」」」


 次の瞬間!!  怒涛の歓声が押し寄せた!!。



 取り敢えず、この場は切り抜けた様だ。

 この後は宴会準備だ。

 俺の横に控えてくれてたボスが宴会の準備を宣言した!


 牙猿達や魔狼達が会場を設置していく。

 袋からテーブルや椅子を取り出し並べて行く。


 方や、厨房の竈や洗い場を設置してゆく。

 その横では、カウンターテーブルを設置し、サーバーなどを設置する。


 その様子をオーク達は唖然と眺めていた。

 まったく手を出せる余地が無い。

 各袋から考えられない大きさの物を取り出し並べて行く。

 その様子はマジックショーを見ているようだった。

 そんな概念は持ち合わせていないのだが。


 流石にマンガリッツァが真悟人に聞いて見る。

「‥‥あれは?何だ?」


「ん?見た事無いか?」

 ある訳が無い。無茶にも程がある。

「あれは、マジックバックと言って、袋1っで‥‥そうだなぁウメヤマ10人くらいは入るかな。」

 近くにいたウメヤマを見ながら、そんな意地悪な答えをしていた。


 ウメヤマはすかさず突っ込んでくる。

「あれは!生きていても入るんですかい?」


「生き物は入らないな。例えば、狩りに行って獲物の息があるうちは入らない。止めをさせば入るな。」


「「「おおおー!」」」

 周囲に居たオークもその性能に驚愕してくれた様だ。


 マジックバック!そう、散々試して、一考に出来なかったのだが、メビウスの輪やクラインの壺のような裏表の無い状態を考えて、中に入れているが、外に置いてある状態を考えた袋である。どんな原理かは分かる筈も無いが、考え方はクラインの壺で出来た。何故出来たかも分からないが、出来たから良しとしよう。


 無限収納とは行かないが、袋の周りに立体的に置けるだけ置いた量って感じかな。

 袋1枚で4畳半~6畳間を丸ごと収納するイメージだね。4mx3mx3mって所かな。

 袋としては、60㎝x45㎝x45㎝位なので背中に背負って精一杯なサイズだね。


 取り敢えず10枚程作ったので、交易に俺が行かなくても運べるようになった訳だ。

 今回は、マジックバックのお披露目としては良いんじゃないかな。


 性能の検証も色々やってみた、氷を入れて日向に置いてどうなるか?とか、熱々の沸騰した鍋を入れて2,3日放置してどうなるか?生もの入れて日向に置いて腐るか?なんてやって見たが、結果として変わらない状態で取り出せるので時間停止?なのか温度固定?なんだろう。鍋に水を入れてシェイクしても零れてないから、状態保存なのか?まぁ、都合の良い事には変わりないから恩恵に与ろう。


 厨房設置OK!カウンターバー設置OK!テーブルOK!椅子OK!BBQ準備OK!

 マンガリッツァ達を呼んで、今回の宴会の趣旨と目的を皆に説明して挨拶してくれとお願いした。もう前に出たくないしね。総勢600前後は居るかな?

 料理は物凄い量を用意したので大丈夫だろう。


 今回の料理は、ちょっと悩んだ。豚肉料理を出して良い物かどうか?

 彼等も猪料理は普通に食うので、深く考えないで良いそうだ。

 だから焼き豚も角煮も山の様に作った。おかげでラードも大量に取れたから揚げ物もサクサクである。


 今回のフライは、海の魚の白身魚フライやアジフライ、イカフライ、目玉はカキフライであるが。

(真悟人が食いたかっただけであるが、概ね好評だった。)

 トンカツ、コロッケや野菜フライも言うに及ばず、卵フライも在る。ウズラは見つかっていないので卵で代用してみた。


 マヌエル、テテ、パヤノを強制労働させているので、昆布や干物がコンスタントに入荷するようになった。

 アンジェ達にも会いに行かないとなぁ‥‥もたもたしてたら奴らに食われてしまうかも?そう考えたら居ても立っても居られなくなるが、ここで海に行く訳にも行かないな。マンガリッツァ達を海に連れてくツアーでもやるか。


 干物は、ホッケ、アジ、サバ、サンマ、カマスや赤魚も在る。

 最近は、魚や貝を取った後に、稚魚や稚貝はちゃんと放流して、更に餌も撒いておくようにしている。どこぞの国の様に根こそぎ獲ると資源が枯渇してしまう。

 あの国がある限り、あの星に未来は無いのだろうな。


 閑話休題


 宴会用の酒は、最初に乾杯用にビール。

 その後は、カウンターバーで好きに貰ってくれ。

 カウンターは牙猿の女性が、甘味と引き換えに対応してくれる事になった。

 3人居るが、行列ができるようなら、5人で対応できるようにしてある。

 因みに報酬の甘味は、チョコパイ【気配り+1】である。

 モテる事請け合いの報酬で、初公開の甘味に酒を飲まない女性が希望殺到したが、ワフワン達の厳正な選別の上で5人が決まった。補欠で後2人足して計7人である。

 彼女たちに酒は対応して貰おう。

 ワインはカウンターの横に樽で置いてある。


 ウメヤマは何を飲むのか?


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