第87話 オークの問題
見えて来た。これが牙狼村。
来る途中にレッドさんやイエローさんに聞いた。
真悟人さんが作った村。
分け隔てなく、皆で働ける村。
そうかぁ!皆で働けば良いよね!今のオークの村は、デュロック達がリーダーとして頑張ってても、言う事を聞いてくれない者達も一定数居る訳で‥‥彼等の言い訳としては、今まで通り、だろ?お前だって王子に取って代ったんだから、下の者に働かせて、指示出してれば良いんじゃねーの?なー!あひゃひゃひゃ!
そんな奴らをどうしたら良いか?そんな相談もあった。
そんな奴らは、当然、女の子たちを自分の物にしようとする。
それは絶対許さない!と頑張っているが、最近仲間を増やしてまた王子の時代のような事をしようとしている。
今、村を離れるのは不安だけど、このまま冬になったら助けも出せない。
だから、だから今、この時に真悟人さんの所に来た。
レッドさんたちが散開した。
「主がお出迎えになります。」
見えて来た‥‥真悟人さんが笑顔で出迎えてくれた。
皆もホッとした表情をしている。
ここが牙狼村。真悟人さんの村。
「真悟人様、お久しゅうございます。デュロックでございます‥‥」
べし!
「あ痛ぁ!!」
「誰が跪いて挨拶しろって言ったんだ?あぁ?」
「あ?いや?その?」
「お前はオークの村代表で来たんだろ?だったら対等な関係じゃねぇか!」
やり直しを命じられた。
「オーク村のデュロックです。真悟人さんお久しぶりです。」
「おお!久しぶりだな!元気だったか!?」
今度は大丈夫みたいだ。
減り下った態度はダメなんだな?普通にやって見て、ダメなら修正しよう。
「この度は突然の訪問、申し訳ありません。真悟人さんにお願いしたい事が在って参りました。」
「デュロック‥‥」
「は、はい。」
「その対外的な言葉使いはもういいよ。言いたい事あって来たんだろ?」
「は、はい。実は‥‥‥‥」
「そうか。どうして欲しいんだ?頼む!って言ってくれればそれで良いぞ。」
「はい。オークの村を助けて下さい!」
「ヨシ!任せて置け。皆殺しはイヤだよな?」
「そ、それは勘弁して下さい!彼等には気付いて欲しいんです。」
「そうだよな。‥‥」
真悟人さんは何か考えながら、ニヤニヤしながら言ってくれた。
「ちゃんと希望通りに助けてやるぞ。」
「は、はい。」
「それと、一緒に来た連中も安心させてやれ。女の子も一緒に来たみたいだけど、ワフワンにも声掛けしてるから、もうすぐ来ると思うぞ。」
その時!「あ~~!!お姉さま~~~!!!」
うぉ!?なんだ?
「あ~!セネーゼかぁ!いきなりでビックリだよ」
ワフワンの声。そうか。オークの女の子に会えたんだな。
「お姉さま!お久しゅうございます。会えない日々、非常に寂しかったです。」
「あ、ああ。元気だったか?今日は主に話をしに来たのか?」
「いいえ!お姉様に会いに来たんです!!」
思わず真悟人さんを見てしまったが、その表情の引き吊り具合から、僕と同じ思いだろうと言うのは分かった。
ここで僕の行動は、セネーゼを落ち着かせるのが最良だろう。
しかし、彼女はここで落ち着くほど柔な精神では無い。
今、彼女にとっての最良は、ワフワンさんから労いの一言と今後の協力を得る事。
丸く収めるには、そんなセリフへ誘導する事。頑張れ僕!!
「ワフワンさんお久しぶりです。あの時は本当にお世話になりました。」
真悟人さんがニヤッとした。僕の目論見を感じてくれたのだろうか?
「あ、ああ。私より主が頑張ったからね。それは主に言ってくれ。」
「いえ、真悟人さんが頑張ってくれたのもそうですが、♀女の子達にとってはワフワンさんが救世主だったようです。」
「いやいやいや、あたしなんか何もしてないよ。でも、♀女の子達が立ち直れたのは良かったね!」
「はい!ワフワンさんのお陰です!今後もよろしくお願いします。」
ワフワンさんは苦笑いしながら、
「イヤイヤ、あたしに何か出来る事があるなら、言ってくれれば力になるよ。」
と言ってくれた。
これで、セネーゼの機嫌も!?・・・・・
「何?なに勝手に会話してんの?可笑しくね?勝手に約束してどういう心算だよ?」
やっべ~~!やっちまった!!
般若を起こした僕は平謝りに謝って、再度ワフワンさんにお話しできる様に頼むのであった。‥‥真悟人さんは爆笑していて、彼にはこの未来が見えていた様だ。
‥‥だったら教えてよ~~!!
~~~~~~~~~~
あ~~!笑った!
デュロックが笑わかしてくれたので、メチャ上機嫌です!
つい思い出し笑いもね。プークスクス!
ジョゼットさんとクアガールさんにもさっきの話をして、お手柔らかにしてやってくれと言っておいた。
純粋なデュロックだから、面白い回答をしてくれると、今から期待でイッパイである。
ボス。オークの村はどうだ?
「はい。デュロック達が居ないのを良い事に、王子と同じことをしようとしたようです。」
「なに?それってハーレムにして他は全部奴隷扱い?」
「そうですね。そんな感じです。」
「ボスもハーレムにして王様になりたい?」
ボスは思いっきり嫌な顔をして、
「そんな意地悪言わんで下さい。3人居ても大変なのに‥‥」
あぁ~!普段のボスの苦労が忍ばれるね。
まぁ、それは置いておいて、なんでオークって同じ過ちを繰り返すかな?
王子の末路を見て、ああなりたくないと思わないかね?
ここで、そいつらを排除しても、次々と出て来るだろうな‥‥
牙猿の常駐部隊でも作るか?‥‥ボス?
何故かボスは難しい顔をして考え込んでいる。
顔が怖いんだから、そんな表情は余計怖いし!変な無表情も怖いけどね。
「ボス?どした?」
「あっ。すいません。何で言う事を聞かなくなったのか考えてました。」
「なんで?」
「我等は群れで暮らすので、上位者には絶対です。それが、言う事を聞かなくなるのは、自分が上位者以上の力を付けた時か?他の上位者の庇護下に居る時です。」
「そうだな‥‥別の群れが居るのか?」
「そうですね。もしかしたらオークキングとかも考えられます。王子の群れは大きかったですからね、他の群れから見て、率いてる者がやられたら後を黙って見てる訳在りませんし、オークキングの噂は、前々から在りましたから。」
「調べられる?」
「はい。調べます。少し時間を下さい。」
「うん。頼むわ!‥‥なぁ?」
「はい。」
「ボスももっと力付けたら、下克上する?」
「ま~た意地悪な質問を。」
「はははっごめん!」
「我が最高に力を付けても主には敵わないでしょう。仮に主が結界魔法などが使えなくても敵う気がしません。」
「ん?なんで?結界使えなかったら甚振り放題じゃね?」
ボスはくっくっくっと笑うだけだ。
内心では、(そんなの好きだからに決まってるじゃ無いですか。尊敬する主を甚振るなんてとんでもない!この命に替えても守り抜きます。)
決して表に出さないセリフだった。
真悟人は、笑って居るボスを訝しみ乍ら、どうしようかなぁ?と策を考えていた。
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