第80話 事件
魔道具生産のめどは立った。
マッチと竹水筒だけですが、他の商品はコレが売れる様になってからだな。
ラダン、ルミック、ポメロの3人は大忙しである!
いじめっ子5人組なんて、まったく相手に出来ない位に。
と言うか、もういじめっ子5人組は、もう彼らには近づけない。
ラダン達が頑張ってる間も事あるごとに茶々を入れ、嫌味を言い、邪魔をしていたが、俺から相手にするなと言われてた3人はグッと堪えた。
ある日、ラダンは竹を見に男衆と竹林に行っていた。
残った女の子二人、ルミックとポメロは、小枝に均等に魔法付与出来るように練習していた。金属トレイに小枝を並べて魔法付与を行う。
既に1000や2000は出来るようになっていた。
魔法が付与しにくい周りの小枝を取って確認作業をしていたのだが、そこにいつもの5人組がやって来た。
相変わらず嫌味や悪口を繰り返して邪魔してくるので、無視していたら、そんな簡単な事、俺達にも出来る!と始まった。
ラダンが居れば簡単にあしらってくれるのだが、今は女の子二人。
舐めて掛かった彼らは割り込んで来た。
既に魔法付与の掛かった小枝の前で火魔法を詠唱してしまった。
1000~2000本の火魔法の魔法付与した小枝の前で、更に火魔法の詠唱……
全ての小枝に火魔法の詠唱が伝わり・・・・・爆発!
目の前に居たポメロが巻き込まれた!
「ポメロ!!」
「ギャアーーー!ア!アツい!アーー!!!」
全身炎に巻かれ、転がるポメロ!!ルミックは言われていた!万が一引火する事があったらこれを使えと!二人の間に在った巨大な竹水筒。
直ぐにポメロに向けて栓を抜いた!
吹き出す水にポメロを包む火は、次第に鎮火していった!
「だ、誰か!誰か呼んで!!」
「ポ、ポメロが―――!」
爆発を聞いたトゥミやシャルが駆け付けて、直ぐに回復魔法を使った。
服も燃えてしまい、周囲に居た5人組を追っ払って、サラを呼んで氷魔法で身体を冷やして回復魔法を何度もかけた。・・・・・
5人は周囲に居た。
しかし、何もしなかった‥‥出来なかった。
呆気に取られて見ているだけ。しかも、逃げた奴さえ居る。
咄嗟に動けるものは誰も居なかった。
余りの事に呆然とするのは分かる。しかし、原因となった者すら見ているだけ。
彼らがどれだけ役立たずなのかを、皆が認識する事になる。
ポメロは一命を取り留めた。
しかし、全身が赤黒く燃えてしまった。キレイな赤髪も燃えてしまった。
ただ、ルミックが直ぐに竹水筒を使用したので、最悪の事態は免れた。
家に運ばれたポメロの元に、真悟人達も駆けつける。
ルミックの初期消火とトゥミ達の回復魔法で命は取り留めたが、復活には少しの時間がかかると。ただ、回復魔法を使って行けば火傷の痕は残らないだろうと。
女の子に火傷の痕は辛すぎる。髪も次期に生える筈。
真悟人も精一杯の回復魔法をかけた。
これから毎日、皆で回復魔法を掛けよう。若い女の子に火傷を残す訳には行かない。キレイに治してあげよう。
みんなの思いが届いたみたいで、少しづつだがキレイに回復してきた。
髪も伸びて来た。
多少は話も出来るようになった頃に、ルミックがお見舞いに来てくれた。
「ルミックは私の命の恩人ですぅ。咄嗟に助けてくれるなんて中々出来ないのに、ルミックは助けてくれましたぁ。本当の本当に命の恩人ですぅ。」
「ポメロ。助かって良かった。私、どうなる事かと‥‥」
ポロポロと泣きながら話すルミック。
「ルミック。本当にありがとうですぅ。」
ルミックはポロポロと泣けてしまって言葉にならなかった。
ラダンがお見舞いに来てくれた。そして、泣きながら謝ってくれた。
あなたのせいじゃない。あなたは悪くない。
それでも、ラダンは、ポメロが好きなんだと。守りたいのに守れなかった。
だから、悔しいと、途切れ途切れに告白してくれた。
「ラダン?私の事、好きなんですかぁ?」
「ああ。ずっと、ずっと前から好きだったんだ。」
ラダンの顔は真っ赤である。
「でも、私、こんなになっちゃいましたぁ。」
赤くキレイだった髪は今は無く。一旦全て刈って帽子を被る頭を撫でる。
「ポメロ。大丈夫だよ。真悟人さんもトゥミさんもシャルさんも回復魔法を掛けてくれてる。時期に良くなるし、またキレイな髪が生えるさ。」
「えへへ。ラダンが好きって言ってくれたので、今回の事も悪い事じゃ無いと思いますぅ」
それを聞いたラダンは、絶対に一生守ろうと思った。
そっと手を握り、手の甲に唇を落し、
「あなたを一生守ります。どうか、僕に守らせて下さい。」
「ラダン。ありがとうですぅ。でも‥‥‥」
「でも?」
「でも、元気な時に言って欲しいですぅ。」
「あ、あはは。そうだよね。ポメロ、元気になったらやり直しさせてね。」
「はいぃ。」
ポメロにはラダンも付いてる。ルミックも付いてる。
先走るラダンだが、二人が付いていた。そして、少しずつ回復するのだった。
~~~~~~~~~~~~
今回の原因。
暴言と邪魔を繰り返す5人組。もうそのままにはしておけない。
今回は人が死にかけた‥‥過ちで済む問題じゃない。
事件の後、リーダーのニコルは逃げた。
この期に及んで逃げるんだと、周囲を呆れさせた。
実際に詠唱をした奴に彼らは罪を擦り付けた。
確かに、直接の原因は詠唱した事に寄り、人が死に掛けた。
じゃあ、何で詠唱したのか?誰か止めたのか?一緒に居た者に罪が無いとでも?
個々に尋問が始まった。
普段から自分の意見じゃ無く賛同するだけだった者、テテから追及したが、話にならなかった。しどろもどろで要領を得ない。
次に、話に同調するが、常識を考える振りをするパヤノの話じゃ、そんな心算じゃ無かった。軽い嫌がらせの心算だったと。
何故嫌がらせをする?それでどうしたかったんだ?
パヤノはルミックが好きだった。でも、最初は彼女は落ちこぼれで周りに言えなかった。ラダンと仲良くしてるのを見て嫌がらせしてやろうと思ったと‥‥
‥‥ダメだろ。
顔色を伺ってから過激な意見を言うマヌエル。
彼は、ただ嫌がらせをしたかった。しかし、嫌がらせをしても反応薄いし、相手にされて無いのがアリアリと分かって面白くなかった。
はぁ~‥‥相手され無いなら止めりゃ良いのに‥‥
今回の実行犯、ネリ。
落ちこぼれのくせに出来る顔してムカついた。
別に俺は悪くない。中途半端な魔道具を作るのが悪い。
あぁ、こいつダメだな。
さて、リーダーニコル。
俺は何もしていない。ネリの奴がいきなり火魔法詠唱始めて、俺は被害者だ!
被害者だから怖くて逃げた。当然だろう!
うん。こいつもダメだよね。
こいつら全員ダメだね。なんでこんなになったかな?
トゥミより下でトゥミはこないだ成人したばかりだったな。
親、呼ぶか。
テテの親
うちの子は何もしていない。悪いのはあいつ等でしょう!
あいつ等とは?
ネリ達、悪い友達のせいだ!
悪い友達と分かってて付き合わせた?
子供の付き合いに親は口出しできない!
じゃあやはり本人のせいでは?
あいつ等にそそのかされた!
貴方達はそれに関して注意しましたか?
注意なんて聞かない!
じゃあ本人のせいですね。
そ、それは。。。
パヤノの親
あいつは家の恥さらしだ!
彼は軽い嫌がらせの心算だったそうですよ。
もう家族の縁を切る。
そうですか。縁を切っても親も責任は免れませんのでお忘れなく。
マヌエルの親
すいませんすいません。うちの子が悪い事をしたようで、すいません。
彼は嫌がらせをしたかったようです。
すいませんすいません。よく言って聞かせます。
言って聞くんですか?
ちゃんと言い聞かせますから。
ネリの親
お前何様の心算だ!こんなトコに呼び出しやがって!
ネリが人を殺し掛けたんですよ。
はぁ?死んでねぇんだろ?んじゃ構わねぇじゃねぇか!
殺し掛けた自体が問題なんですよ?
そんなもん俺は知らねぇよ。奴に責任とらせりゃ良いだろ!
親の責任は?
いちいちうるせぇヤツだな?お前に関係あんのか?
ニコルの親
来ねぇのかよ!
知らん顔かよ!
何やってる親だ?
ヴィトン!こいつ更迭しろ!
一通り話を聞いたが、この親にしてこの子在り!って感じですね。
ヴィトン達にエルフの罪として、一番嫌がるのって何かな?
エルフは森の民。追放が一番重いが、現状では大した事じゃ無いかも知れんの。
最近、罪を犯すエルフ、多くないか?
ん~?、今までなぁなぁにして来たんじゃろな。
それって、犯罪者が居なかったんじゃなくて、罪を問わなかったって事だよな?
そういう事じゃな。
それって問題じゃね?
今更じゃ!
はぁ~~~~~。しょうがない。奴らの裁定も相談しましょ。そうしましょ。
しかし、今回のような事は毅然とした態度で臨まないと、舐めて掛かるの。
今更だな。俺は死罪でもいいぞ。
皆黙った。
知れっと話してるが、自分の娘だったらどうするんだ?
俺はトゥミがそんな事になったら殺すだけじゃ済まさないぞ。
全員、惨く悲惨に苦しめて生まれた事を後悔させてやる。
殺さず永遠に苦しめてやる。当然だろ?
日本では被害者の方が人権無視の扱いだったりする。
司法関係者だって、自分の身内がそんな目に遭ったら人権云々過去の判例が云々と言えるのかね?首相の血縁者だったらどうよ?皇室関係だったらどうよ?
被害者の身内が納得できる事なんて無いだろ?
はぁ~~‥‥そんな意味ない事を考えてしまった。
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