第73話 自覚?
う~~~ん。
アイテムBOXの魔法付与が出来れば、交易で態々俺が行かなくても出来るようになるから、是非成功させたい!‥‥なにがダメなんだろうな~?
「真悟人がダメなんだよ!すぐ考えこんじゃうんだから!」
ありゃ。トゥミに怒られた。
そっと抱き締めて、「ゴメンよ。トゥミがいっぱい頑張ってくれたのにね。」
今は海岸の小屋(ロンシャン)で、トゥミ、サラ、シャルと休んでいる。
「あのアンジェって娘、トゥミとガチの殴り合いで良い勝負なんて、そうとうやるね!」
「ね~!トゥミと同等の勝負なんて久しぶりに見たよ!でも、あれ手加減有りでしょ?」
「えへへ。最初は舐めてたから、ちょっとヤバい!とは思ったけどね、あの娘の攻撃重いんだよ。真面に受けてたら打たれ負けてたね。」
「おー!トゥミにそんなん言わせるなんて、大したもんだね!」
なんか‥‥怖い話してる。
あれで手加減有りとか、トゥミってどんだけファイターなんだよ?
ボス達と遭遇した時は、か弱い女の子と思ってたのに‥‥
あれって芝居だった?剣術だって俺と戦える程度だと思ってたのに‥‥
そんな事を思ってたら、皆がジッと見てる。
「なんか失礼な事考えてるでしょ?」
全力で首を振った。いやいやいやいや。
「言っとくけどね!真悟人が可笑しいんだからね?」
はい?俺のドコが可笑しいと?頭?否定しないけどね。
「なんか不満な顔してるけど、どんだけ自覚ないの?」
え?何も言って無いのに。トゥミさんサラさんエスパーですか?
「はぁ~~。まったく分かって無いのね。私達、心読めたりしないからね。」
えぇ~!?シャルさんだけは!と思ったのに!
「「「もう~!顔に出過ぎ!」」」
‥‥解せぬ。
「改めて言うけど、自覚してね?街の人達の言う、牙猿と魔狼を従えた男ってどれだけの物なのか、分かって無いでしょ?」
「トゥミは、エルフの里で最強の戦士なんだよ?だからリンゴの収穫に行ったの。そのトゥミが役に立たない位の牙猿の群れから守って生きて帰るなんて在り得ないんだよ?」
ん~?トゥミに会ったとき、そんな戦士な感じしなかったけどなぁ?
「その牙猿のボスが苦戦した角熊なんて、伝説級の大きさなんだからね?大体さぁボスの率いてる群れって牙猿の群れの中じゃ、破格の大きさの群れなんだよ?100を優に超えた牙猿の群れなんて、マウントフジだって壊滅もんだよ?」
あれ?ボスの群れってそんなに大きかったっけ?全然意識して無かったぞ?
「魔狼だってそうだしオークだってそう。人が従えるなんて在り得ないんだからね!今回の人魚さん達だって、普通なら全員海に引きずり込まれて勝負になんて成らないからね?対等に話せるだけでも凄い事なんだよ?」
そうかなぁ?取り敢えず話して見れば良い気がするんだよね。
「‥‥‥ん~~。良く分からん。今は皆仲間だし、問題無いべ?」
「まぁ、そうだけど自分の事、自覚してって話だよ?」
「それなんだけど、特に自分で特別な事した意識無いんだよな。」
「だから、それが問題なんだよ?」
「まぁ、聞いてくれよ。」
「根本的にはさ、俺がスゴイんじゃなくて、『道具』がスゴイんだよ。『剣』はなんと聖剣エクスカリバーだって言うし、他の『道具』達だってスゴイ道具だから今の俺が在るんだよ。だから自覚と言っても『道具』達への感謝かな~?」
あれ?3人とも固まってる。
もしも~し!どうしましたかぁ!?
「あ、あのね、真悟人、ちゃんと聞いてね?」
「ん?ずっとちゃんと聞いてるぞ?」
「せ、聖剣?エ、エクスカリバー???そう言った??」
「あ?ああ、そう言ったぞ。見るか?やっと鞘が来てくれたんだ。『剣』!あれ?『鞘』はどうしたんだ?」
『剣』は真悟人の右でいつも通りふよふよと浮いている。
『鞘』は俺が装備して無いとダメみたいだ。
「そりゃ悪い事したな。でも左の腰に付けてるとあちこちぶつけたりして、『鞘』が傷付くのもイヤだなぁって思ってたんだ。」
「ん?解決出来るのか?・・・・・そうか!腰に佩いたまま『剣』と『鞘』で格納出来るのか。出す時も『剣』を呼べば『鞘』は腰に佩いた状態で出現すると!やっぱお前達スゲーな!出来る奴ってスゲーと思うわ!」
『剣』と『鞘』はフルフル震えてポワポワ光った。
「今後も頼むな!」
『剣』と『鞘』は格納された。
それを唖然と見ているトゥミ達。
「ねぇトゥミ?聖剣エクスカリバーって、フレンドリーだね。」
「あはは。そうね?シャル?エクスカリバー伝説って物凄かったよね?」
「そうだねぇ。サラ?私達、何を見せられてるんだろう?」
・・・・・・・・・・・・
「「「・・・・・だから自覚しろって言っとるんじゃ!!!!」」」
怒られた。
~~~~~~~~~~~~~~~
明日は人魚さん達との交易品を持って帰還する。
しかし、問題がある。人魚さん達が求める物が少ないと言うか無いと言うか。
対価として渡すもの?と言うか、希望する物が乏しい‥‥どうすっかなぁ~?
「果物はどうですか?肉類程足も早くないし、多少の保存も効く。対価としては十分だと思いますが、どう換算するかが問題ですね。」
ゲラルディーニが案を出してくれた。
ただ、果物は季節モノなので、野菜なども織り交ぜて、ゲラルディーニの小屋で順次決めて行くようにして貰った。こんだけの魚介類ならこんだけの果物が欲しいと、最初は手探りで価値を決めて行く感じですね。
今は秋なので、出せる果物は大量にあるが、初年度なので慎重に行きたい。
冬には、寒ブリとミカンの交換などを考えている。
カレイやヒラメ、タラなどが手に入るのなら、何を対価に出せば良いかな?
冬の果物ったら、リンゴ、ミカン、イチゴ、洋ナシ、後はキウイ位かな?
帰ったらユナ達と相談しないとイケないね。
ユナやカレンは彼氏と上手く行ってるんだろうか?
俺が心配する事じゃ無いんだが、折角この村に来てどうにもならないんじゃ心苦しいです。元々、俺に対してはさほど思い入れは無かったようだから、俺も他人事として割り切って考えられるので良いけどね。
結局、人魚さん達は交易品に対して、とても謙虚だった。
彼女たちにすれば、何時でもとれる魚。
しかし、俺らにしたら滅多に食えない海の魚。
だから野菜?は敬遠された。果物はそのまま食えるからOK!
しかし野菜はどう食うの?って事だ。生野菜を食う文化は無いからね。
やはり、野菜は無理かと思ったんだが‥‥‥
実は海の貝たちは陸の野菜を食べる。アワビやトコブシ、シッタカなどは、海の藻を食って生きている。それが一か所に集められれば、当然の事だが餌が足りない。
海の中じゃその餌が補えなかった。しかし、陸の野菜を貝たちは食った。
餌が十分にあれば、繁殖も進む。これはギブアンドテイクで行けるんじゃないかと。ただ、貝が食うのは特定の野菜。キャベツ、レタス、ホウレンソウ、などの葉物野菜のみ。今後、研究の余地ありですね。
後は、人魚さん達が欲しがるものは、酒!
村で酒が生産出来る様にならないとね。
日本から持ってくる酒は、美味いし大人気だが、やはりここの材料で作れた方が良い。だから酒の原料となる植物を育てている。
大麦、小麦、芋、蕎麦、ブドウ、それは来年には期待できるだろう。
米がまだである。ここに来たのが3月か4月、いきなり田んぼは無理だった。
だからこれも来年にはなんとかしたい。
しかし、ココにも問題はある。酒にする米の品種が普段食べている米とは違うのである。有名な米の品種と言うと、コシヒカリやあきたこまちを思い浮かべる。
しかし、有名な酒米の品種と言うと、山田錦や五百万石になる。
どちらに重点を置くか?非常に悩ましい問題である。
ぶっちゃけ、ココでは酒米作って、食うのは日本で買ってくれば良いんだけどね?
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