第74話 崩壊
人魚さんから大量の魚介類を貰って、多少の果物と多少の野菜を渡す。
そして、ゲラルディーニとロンシャンの所に大量の肉を置いて行った。
調味料も焼肉のタレの他には、醤油、味噌、塩、胡椒、コッソリとカレールーなんて置いてみた。どんな使い方するか楽しみである。
まぁ、怪しい物は使わないんだろうが‥‥
これから一旦帰って、村に置く冷凍庫を作ろうと思う。
それと、ワフワン達に高級鞄を作って貰ってから、念願のマジックバックである。
ゲラルディーニとロンシャンに、また来ると言って、次に来た時に必要な物もチェックしとく様にと伝える。
アンジェ、フラビー、ムルティに、俺の嫁なんだから浮気すんなよ?と言ったら笑われた。
改めて集まった人魚さん達は、100人を超えてる?‥‥あれ?最初20人くらいじゃ無かった?
ムルティがそう言うもんだと教えてくれた。
ま、まぁそういうもんならそうなんだろう。
そう言えば、聞いておく事が在った!
ココより北西の港?エルフの里の西?
その辺りに人間の港はあるか?
そこでは、交易できるのか?
答えは・・・・・さあ?だった。
人魚さんの縄張り自体は広いが、それぞれの陸との接点を把握してる訳では無いし、王が居て統一してる訳じゃ無いから部族ごとでの掟も違う。
だから、そっちで交易したいのなら、そっちでも最初から話をしないといけない。そうなると、正直言ってそっちの海はあんまり魅力を感じない。
だいたい、人材が居ない。もっと発展して色々な旨味が出てきたら、人も増えるだろうが、今、焦ってやる必要は無いな。
では、また来ます!
そうして、村に帰って来た。
最初に、スライム先生の所に来たのだが、先生曰く、もう海岸に浄化スライムを送ったからね、もう着く頃だと思うよ?
おお!さすが先生!仕事が早い!
でも、いつ派遣したんだろう?こことの距離を考えると、自分達が到達した頃には派遣してたのか?先生‥‥恐ろしいですわ。
次に放牧場に行って子牛を愛でる。
おおーー!カワイイ♪お母さんのオッパイを一生懸命飲む姿は癒されますなぁ!
その姿を見ながら手を伸ばしたら、後ろからどつかれた!‥‥なにすんじゃ?
牛の姐さんがニヤニヤしながら、
「汚い手で子供を触るんじゃないよ!」
と、怒られた。
よく見ると、姐さんのお腹もかなり大きくなっている。
「おお!姐さんの子供ももうすぐか?」
「なんだい?改めて言われると恥ずかしいね。」
もう既に5頭生まれていて、皆元気に育っていると、牛乳の生産量も爆上がりで、保管が心配な状況になっていると‥‥それはやはりマジックバックで時間停止が急がれますね。
放牧場に入って、ニワトリ小屋を確認‥‥
は?‥‥既に小屋じゃ無くなってた。
広大なニワトリ牧場。
ニワトリ屋敷になってて、牝鶏が思い思いの巣箱で卵を産む。それを係のエルフ男が毎日回収して歩くのだが、中には思った場所に産まないで、勝手に卵を温めて孵化させてたりする。
だから、ヒヨコ達も大量に歩いているのだが、集団で右往左往する姿はメチャクチャ可愛い♪
なんだ?このカワイイ生き物は?
雄鶏も最初は3羽くらいだったのが、10羽位に増えていて、牝鶏の数を考えたら20羽居ても良いかも?という話だ。
それって‥‥牝鶏200羽超えてるカンジ?
いつの間にそんなに増えたんだろう?
お陰で、みんな朝食には卵が食える贅沢!
日本ならともかく、貴族でもかなり裕福でないとそんな事は出来ないそうだ。
毎朝卵に牛乳とか泣けるくらいの贅沢だと、裁縫エルフ娘(名前覚えてない)が言っていた。
畑の方は、おお~~!!
収穫前の物と、収穫後の耕した状態と。
上手く回っている様だ。
骨や卵の殻などの有機肥料も上手く行っているようで、収穫高もうなぎ上りだそうだ。
ユナを捕まえて、話を聞いて見る。
果樹園の増やした樹も順調。
いつの間にかマルーラの木も何本も植えられていた。見つけるたんびに、根こそぎ掘って植え替えてるそうだ。
マルーラの木には、牙猿達は多大な期待をしていて、今までボス達しか食えなかったのが、自分達も食えるかも知れないと期待でイッパイなんだそうだ。
現在、かなりの数の実が成っており、俺の許しを待っている状態だと。
もう少しすれば、実が発酵して甘い酒の香りが漂うだろう。
熟したら俺が一気に収穫して、全員に1個ずつでも分けてやれば喜ぶかな?
半分は酒にしても良いかもね。
果樹園で人魚さん達に分ける分と、エルフの里に運ぶ分と、後は?‥‥と悩んで居たら、果樹園も順に拡張してるから、分ける量が減る事は無いと。ただ、種類が増えるので、1種類当たりの収穫高は変わらないらしい。
実がなる様になるまでが長いからしょうがないよね。
それに、酒用のブドウなども増やしてるから、果実と言っても、そのまま食えるものばかりではない。これらも年数掛かるものだから焦ってもしょうがない。
農家に焦りは禁物ですね。
では、その農家仲間のオークでも見て来ようかと計画してたんだが、エルフの里から使いが来て、ヴィトンが話したいことが在ると。
それって、あの話?それなら早く行って纏めた方が良いかな?
エルフの里なら往復しても1日ちょっとで言って来れる。だから早く行っておこうか。
サラを呼んでエルフの里に行く旨を伝えた。
硬い表情を見せたが、分かったと笑顔を見せてくれた。そんな笑顔が見たい訳じゃ無いんだが、これは素通りして良い物じゃ無いだろう。
無理やり抱き締めて、頭を撫でた。
しばらく大人しくしていたが、俺の服を掴んで震えていたので、落ち着くまで背中を叩いていた。
スライム先生にもエルフの里に行って来ると伝えて、少し話をした。‥‥‥
後は冷凍庫を作りに行くぞ!と言う名目で各人に伝えた。
今回はボス達とアルファに頼んだんだが、‥‥‥
最近、シャマルに全く構ってなかったので、かなり拗ねてるらしい。
そうだな~。言われてみれば‥‥
じゃあ、シャマルも一緒に。
ただ、アルファに釘を刺して置く。今回は楽しい事ばかりじゃない。上手く誘導するなり、子守を頼むと。
アルファは無表情に、何も言わなかった。
~~~~~~~~~~~
いつもの様にエルフの里に飛んで行く。
ただ、ボスの動きは固かった。
一緒に来たサラとシャマル。
彼女たちにも会話すらない。
これは、ダメだな。
これじゃ、崩壊する。
俺のせいだね。
途中で止めた。
ボスとジートゥにはサラと一緒に向こうで待ってろと言って先に行かした。
さて、話を聞こうか。
魔狼達は困惑しているものと、覚悟を決めた者がいる様だ。
アルファが我慢出来なくなって口を開く。
「我らが姫を蔑ろにするにも程がある。‥‥」
「・・・・・・」
「ずっと我慢してきた‥‥もう我慢ならん。」
ウゥ!と牙を剥こうとした時。
「ふぅ。お前、牙剥いたな?犬っころがご主人様に牙剥いたらどうなるか知ってるか?」
『剣』を振りぬいた。
ギャン!と呻きを上げて飛んで行った。
直ぐに追撃し、手足を叩いて仰向けに転がした。
両手を足で踏んで『鞘』に入ったままの『剣』を喉元に突き付けた。
「なぁアルファ、お前の忠誠心ちゃっちいなぁ。誰に牙剥いた?‥‥ああ?」
一瞬にして勝負が付いてしまい、魔狼は誰も動けなかった。
大概の事に声を上げないアルファが声を上げてしまった。
シャマルだけがアワアワと震えている。
「わ、私が悪いんです!私が!」
「ガキは黙ってろ‥‥」
初めて向けられた怒気にビクッと固まった。
「俺は最初、ボス達とは戦ったが、お前達とはやってねぇなぁ?‥‥」
アルファの上から降りて、『剣』を『鞘』から抜いた。
「来いよ。俺は怒ってんだよ‥‥‥‥」
アルファ達は立ち向かう術も無く、尻尾を股に挟んで伏せた。
今まで向けられた事の無い怒気がこれほど恐ろしいとは思わなかった。
姫の救出で、感謝から配下になったが、力で従った訳じゃない。
動物であるが故、絶対的な力には服従する。
だから、上下関係が曖昧な部分もあり、ボス達の絶対的な忠誠心に疑問を持つところも在ったのだ。
ボス達も戦った。この殺気を真面に受けた。
今は分かる。逆らってはイケない相手だと。
ただ、遅かった。
忠誠を誓った相手に牙を剥いてしまった。
伏せて、震えてる間に‥‥
真悟人は立ち去ってしまった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます