第63話 農園の社長
トゥミの指輪を買った店に向かった。
スマホで石の種類とかを調べて保存しておいたので、それを見せて注文しようと思う。それと、自分の指輪は改造できないか聞いて見る。
石を埋める事は出来るが、お勧めしないと。それならオーダーで新しく作って、希望の石を埋めた方が良いと。ましてや、Pt、Gコンビは完全に作り直しだと。
そりゃ、そうかぁ。
う~~ン‥‥‥悩んだが、全て作る事に、作り直して貰う事にした。
トゥミの指輪も作り直し。
有る事を思いついて、上手く行けば良いしダメなら考えよう。
一通りの丁度良い石も有るので、週末には出来ると言われた。
週末?今日は?あぁ火曜日か!曜日の感覚がすっかり無くなっていて、もうサラリーマンから脱却したんだなぁと感慨深かった。
土曜日にまた来ると言って、先にカードで精算だけしておいた。
そのまま、真っ直ぐ帰るつもりだったが、出掛けにスタッフの女の子たちと会ったのを思い出して、何かお土産でも買って行こうかという気になった。
祖母ちゃんには、草加せんべい詰め合わせが良いだろう。そんなイメージである。
スタッフって何人いるんだ?
改めて自分が社長になっているらしい会社を検索してみた。
あの農園では、各部門に分かれて、結構な人数のスタッフが居るみたいだ。
更に、ホテルなどもグループ会社化されていて、ぶっ飛んだ!マジか!?
スーパーやペンション関係は別経営だが、年商凄い数字!なのを知った。
まぁ、あのスタッフ棟のメンバーに行き渡るくらいの数を用意すれば良いか。
何を買うか?‥‥日持ちがして、一人1個以上は行き渡るもの。
まぁ、お菓子だよなぁ?色々探して、レーズンサンドにした。
ちょっとお高いが、試食で美味しかったのと、届けてくれる送料サービスに惹かれたんで、それを150個頼んだ。
宛先はあのスタッフ棟なのだが、御中でメッセージカードを付けてもらった。
内容的には、
「皆さま、いつもご苦労様です。毎日お疲れでしょうから、偶には甘い物でも召し上がって休憩してください。 神田真悟人 」
さすがに代表取締役社長とは書けなかった。
ホームページでも自分の事確認したんだが、こっぱずしくてここまでで精一杯!
一応同輩から下の者を労うには、ご苦労様。目上から同等以下には、お疲れ様。
そのくらいは社会人として学んでいました。
買う物買ったんで、帰って来た。
取り敢えず祖母ちゃんには草加せんべいを渡した。
「へぇ!お前さんにしては気が利くじゃないか?どういう風の吹き回しだい?」
「今後ともお世話になります!との意味を込めてですね。」
「ふふん!大方、スタッフの女の子にお土産でも?とか思ったんだろ?」
「このスケベ!」
な、なんだ?このババア?何でお見通しなんだ?
「何だって?」
「いえ!何でもありません!‥‥」
この祖母さん恐ろしいわ。
「商品が届くのが今週一杯は掛かるんで、週末に向こうに飛ぶよ。」
「代表取締役社長様は忙しいねぇ・・・」
「ぐっ‥‥誰がその役職に?」 こ~のバ、‥‥祖母さんは何処まで知ってんだ?
ニヤニヤ笑いの祖母さんが、不意に真面目な顔して、
「そう言えばお前さんはトゥミを嫁さんに貰ったから連れて来るって言ってなかったかい?」
「うん。今回は向こうのドタバタと、こっちに居られる時間が分からなかったから一人で来たんだ。後‥‥」
「言い訳は聞いてやるよ。」
「後、他に嫁を二人貰ったんだ。」
祖母さんの目がキラリと光った気がする。
「誰だい?」
「エルフの娘で、サラとシャル。多分これから後二人、ユナとカレンも嫁にすると思う。」
「お前さんはそれでイイのかい?納得してんのかい?」
「・・・・・多すぎると思う。流石に嫁5人は多過ぎるよね。」
「だったら貰わなきゃ良いじゃないか?」
「そうなんだけど、俺の嫁になるって5人来て、3人貰って後要らないなんて言える訳無いじゃん。」
「そうかい。それじゃあ、お前さんが振られれば良いんだね?」
「はっ?」
「あたしの見た所、そんなにお前さんに執着してる訳じゃ無し、他に良い男が居れば良いんだろ?」
「いや、そりゃそうなんだけど‥‥」
「それにお前さんは他の種族の女ともデキるだろうよ。勿論、人間の女ともね。」
「え?いや、何言ってんですか?」
「お前さんの
「はぁ‥‥‥」
さっぱり分からん。
元々、俺は全然モテるタイプじゃ無いし、女が寄って来るなんて在り得ない生活をしてたが・・・あれか?金か?権力か?
・・・どっちも俺にねーじゃんか!まったく訳分からんわ!
自分自身の冷静な分析も出来ずに、今日も日は暮れる。
~~~~~~~~~~~~~~~~
今日はマス釣り場に来た。
どういうシステムで釣って食えるのかな?と思って。
竿も仕掛けもオールレンタル。半日で¥500
針は返し無しで簡単に外れる。
餌はイクラがおススメ。‥‥おいおい自分の産んだ卵じゃないの?
それが、一番食うんだそうだ。
試しにピンチョロムシ?を付けても見向きもしない。
水がきれいに澄んでるんで、魚と目が合う気がする。
イクラは1パック30粒くらい入って¥200、高いか安いか分からん。
一粒付けて投入!いきなり食いつく!!スゲービックリした!
イクラは既に無し。同じ様に付けて入れるが、入れた途端にバクッ!と来て、イクラだけ取られる。
結局、30粒の内、釣れたのは2匹。100g¥200で買い取り。
100gで¥200って事は、1㎏¥2000かぁ。これも高いか安いか分からん。
でも、分かった!これ、結構楽しいぞ!
見知らぬ女の子が来て、「社長。楽しんでますか?」
ん?誰だっけ? 首を傾げていたら、
「覚えてませんか?昨日お出かけする時に‥‥」
「おー!思い出した!ごめんごめん、分からなかったよ。」
「社長、お菓子ご馳走様です。皆、喜んでましたよ。」
「あぁ。届いたか。大したもんじゃ無いが、普段頑張ってくれてるんだから、偶には良いだろ。ハハハ。」
「社長、凄い事ですよ?中々社員を労ってくれる社長さんはいらっしゃいません。」
「そんなもんかぁ?俺だったら労って欲しいと思うからな。ヨシ!片付けるぞ。」
「あっ!はいっ!針が付いてるので気を付けて下さい。」
竿と針を片付けて、魚の計量に行く。
「2匹で520gですね。買取でお持ち帰りお願いできますか?」
「ん?買い取れないお持ち帰り出来ないって時はどうするんだ?」
「基本的にはシステム上、買い取って頂かないと困りますね。
お持ち帰り出来ないときは、その分の引換券をお渡ししています。」
「そうかお客さんが損をしない様になってるんだな。」
「買い取っても食べ切れなかったり、持て余すようなら無料で引き取って家畜の餌にしてますね。」
「そじゃあ買取で、そこのBBQサイトで食いたいんだが?」
「分かりました。どうやって召し上がりますか?」
「ん?食い方選べるの?」
「はい。塩焼きかホイル焼きになりますね。ホイル焼きは1尾+¥100になってしまいます。」
「おお。そうか。じゃあ1尾ずつ両方頼む。」
「畏まりました。BBQサイトに回して置きますので、この引換券で受け取って下さい。」
「それじゃ、社長、ご案内しますね。」
引換券を持ってBBQサイトへ移動した。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「ちょっと!なんであんたが社長と一緒なのよ?」
「ん~?たまたま?」
「たまたまな訳無いでしょ?声掛けてたの見てたよ?」
「なんか一人で寂しそうだったからね、後、お菓子のお礼と。」
「えっ?何?お菓子って?」
「ああ、あんた朝、事務所来ないから。社長から皆に労いのお菓子が届いたのよ」
「ええ!マジですか?何のお菓子が届いたの?」
「高級レーズンサンド!皆、取り合いしてたからもう無いかもね~。」
「がーーーん!スゲーショック!」
「口でガーンとか言ってる奴初めて見たわ!んじゃ、社長のお供に行って来るね~」
「ふざけんなテメ~!」 「じゃあね~!」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「社長、こちらで担当の者が説明と案内をいたします。」
「うん。了解。すいません。BBQしたいんですが、よろしいですか?」
「あっ!はい!ただいま準備いたします。場所のご希望はございますか?」
「そうですね。目立たない端っこでお願いします。」
「畏まりました。ご案内しますね。」
案内してくれたのは、牧場側の風の気持ち良い高台の方だった。
ここって、一番いい場所じゃないかな?
社長ってバレてるみたいだし気を使ってくれたかな?
「それでは社長、ごゆっくりなさって下さい。」
「あ、うん。ありがとうね。」
忙しそうだし、一緒に誘ったらマズいよな。
その後は、引換券渡してマスをお願いして、他にも肉や野菜とビールを頼んで一人BBQを楽しんだ。一緒に食べる人が居てくれたらもっと楽しいよね!と、トゥミ達を思い出していた。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「なんか社長、寂しそうじゃない?」
「ねーー!そのまま私が一緒にお供してれば良かったかな?」
「良い訳無いでしょ?なんて言って席に着くのよ?」
「社長から言ってくれれば、ご相伴に与れたのになぁ・・・」
「何言ってんだか?そんな簡単に社員の女の子を侍らしてたら問題でしょうに。」
「そのままお持ち帰りで!って‥‥う~ん、その問題があるかぁ‥‥」
「問題だらけだろうが!」
女子社員の間では、お菓子の差し入れと寂しそうな一人BBQなどが話題になり、好感度最高にアップしたのを真悟人は知らない。
社長が今度来たら!と具体的作戦を考えてる輩もチラホラと存在する訳で、日本でもターゲットになりつつあった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます