第61話 帰還4

 リアム・オダーラと交易の取り決めをした。

 アイテムBOXに残っていた少しの砂糖、塩、香辛料、海産物を出してやった。

 エルフの里と牙狼村に輸入するのは、服や鍋釜の鉄材や武器、穀類などと多岐に渡る。俺が持ち込むものばかりじゃ、この世界の常識が歪んでしまう。

 基本的に、この世界の物で暮らせるようにしなければ。


 海産物に関して、見たことも無い物も多く、どうやって食うのか分からないと。

 魚は分かる。エビやカニは川にも居るから想像は付く。

 貝類も分かる。トコブシ?これはどうやって食うのか?

 タコ?イカ?ウニ?‥‥‥これは??こんな生き物居るのか?食えるのか?

 代官の屋敷で料理人を集めて試食会を行う。


 サラと一緒にカレンとユナも来てくれていて、ありがとうとお礼を言っておく。

 これからはカレンの腕の見せ所!後はお任せである。

 こんなに生き生きとしてるカレンは初めて見るかも?

 やはり、そんだけ料理が好きなんだね。


 先ずは、タコ刺し、イカそうめん。

 醤油に皆、興味津々!ちょっと付けて味わうと‥‥タコ派とイカ派に分かれた。

 当然、無理な奴も居る。

 次は、ウニ。‥‥これは美味い派とマズい派に分かれる。

 寿司にしたら、また意見も変わるだろう。

 エビの塩焼きと茹でカニ。‥皆さん大絶賛!これは美味い♪価値が上がりました。

 トコブシのバター焼き!‥‥吠える奴多数で、こんな美味い貝が居たのか!?

 それと、バター!この油は何だと??牛の乳から作ると言ったら、商人に連絡して、牧場の拡張と、牛乳の生産量を増やすお達しが出ていた。

 ・・・あ~。作り方、研究しとかないとね。

 最後は魚。刺身と塩焼きと煮付けを食わした。これは全員が美味い!と絶賛したが、刺身は苦手があるようで、オリーブオイルと酢とニンニクでカルパッチョにしたら、全員がお代わりを欲しがった。

 オリーブの増産と、酢?はどうしたら?との問いにレモンで代用を進めた。

 レモンの増産も決まりそうである。


 これで海産物の需要が上がるなら、人魚さんへの報酬も考えないとイケないね。

 エルフの里に近い海の人魚さんとも交流できれば、もっと広がるね。

 フラビーやアンジェ、ムルティに相談してみよう。


 ユナとは、この街から輸入すべき農業関係の物を相談する。

 鋤や鍬の他、牛に曳かせる鋤など便利そうなものを物色する。

 うちの村には鍛冶屋が居ない。

 誰か、来る奴は居ないか?これも相談してみよう。

 それには、鉄鉱石などの鉱石も必要か!掘れる場所を確保してからだな。

 石炭とか掘れれば、ふいごなんかも作ろうと思う。

 ユナに鉱石は掘れるか聞いたら、何とかなるようだ。

 今度、一緒に探しに行こう!


 今、この街で出来る事は、こんな物だろう。

 リアム・オダーラに挨拶して帰ることにする。

 取り敢えず、交易の商人は、ジャニ、フェブ達を指名しておいた。

 メイちゃんも落ち着いたら、また来るだろう。


 海産物系を持ってくるのは1か月後。

 野菜や果物関係は、今から来てくれて構わない。

 何かあったら、飛竜便でも寄越せば、直ぐに駆けつけよう。

 ここ、オダーラにも飛竜便の発着地は有ったし、あの飛竜も居た。

 ボスとアルファに、おべっか使ってるような態度だったが、まぁ良いだろう。


 辺境伯にも挨拶しておく。

 交易でオダーラが潤えば、必然的にマウントフジも潤う。

 WinWinだろ?と互いにサムズアップ!誰だこいつにコレ教えたのは?

 すっかりフレンドリーになった辺境伯に、今度は海産物で飲もうと約束した。

 その内、王都に呼ばれるかも知れないと言っていたが、スルーしておいた。

 だって、王都とか絶対メンドクサイよね。

 ゲラルディーニとロンシャンは、しばらくしたら迎えに来ると伝えて貰う。

 別の話題で胡麻化しておいた。


 それでは、また来るぞ!

 ボスの背中から、そう言って飛び出した!

 先ずはエルフの里に戻る。

 途中、休憩して翌日には到着。

 ヴィトン達はユニコーンに乗って帰るので、置いてきた。

 護衛は戦隊にお願いしたから大丈夫だろう。


 エルフの里は、ほぼ素通り。

 サラに、寄らなくて良いのか聞いたら、もうあの人たちは関係ないのでどうでも良いと。養父母の沙汰は戻ってきたヴィトン達が下すだろう。

 今後は安心して暮らせる筈だ。


 そして牙狼村に到着!

 一足先に帰ってたスライム先生に挨拶する。

「先生。ありがとうございました。丸く収まりました。」


「うん。良かったよ。僕も出張った甲斐があるね。今回行って見て思ったけど、君に付いて周囲を見て回るのは悪くないね。新たな気付きもあるし、お願いするよ。」


「はい。俺も先生が居てくれて助かったので、一緒に来てくれるなら心強いです。」


「うん、頼むよ。まぁキノコの時みたいなのは助けられないけどね。」


「そ、それは、言わんで下さい。」


「ハハハ。ごめんごめん。他にも挨拶行くんでしょ?」


「そうですね。ホントに助かりました。では挨拶に回ってきます。」


 スライム先生の次は牛達の所に回って、大まかな説明と牛乳が増産になって、バター製作が進む事などを伝えた。後は牛曳きの鋤を使って見るので、力自慢の♂に頼みたいと伝えて、選定を頼んだ。

 ヒヨコ達はすっかりニワトリに成長してた。トサカも立派な雄鶏は3羽位?牝鶏は多数居るね。何羽準備したっけ?そろそろ卵も産むようになるだろう。


 次は、牙猿の妊婦さんたちの所に行った‥‥‥生まれてるじゃ~~ん♪

 メッッチャカワイイ!抱っこさせて貰った。チンパンジーの子供みたいだ。

 もう首が座ってるのか?しっかりと抱き着いてくれて、成長の早さを感じる。

 おしめをしていて、子供服も考えないとイケないね。


 お父さん達は全員無事で、ケガも無く、もうじき顔を出すだろうと伝えたら、

 それだけでも、ホッとすると言っていた。

 名前が決まったら、ワフスリに言って、登録して貰ってね。

 子供が生まれた家族には、何かお祝いを考えないとな。


 久しぶりに家に帰って来た。

 嫁が増えたから、増築しないとね。

 こんな事を考えながら、行李に毛皮をぐいぐい詰める。

 日本に帰って、仕入れて来なきゃ!もう2ヶ月くらい帰って無いよ。

 トゥミ達に一言言って行こうかと思ったが、今は忙しいのでサッサと行ってサッサと帰って来よう。


 いつも通りに‥‥‥‥‥‥覚悟ヨシ!


 ・・・・・・・・・飛べ!・・・・・・・・・・・


 酩酊感と浮遊感・・・・・・・・・・・・・・・・


 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「お帰り。」

「お祖母ちゃんタダイマ!」

「今回は長かったね。」

「うん。色々あったんだよ~~!!」


 いつものちゃぶ台で、お茶を飲みながら語る。


 牛の話!やっと放牧場に牛が来たよ。牛乳貰って、チーズやバターを研究中!


 魔狼の話!牛を連れて帰るのに、魔狼に会って話を聞いたら、魔狼の姫がオークの王子から逃げて行方不明に。


 オークの話!オークの群れの2代目(王子)が酷い奴で、仲間を奴隷のように扱ってて、こいつから魔狼の姫も逃げたんだ。

 オークの王子と取り巻きは、極刑にしてやった。

 オーク達は自分達の村に帰したけど、どうなったか見に行けてないんだ。


 魔狼の姫は、結局スライム先生が匿ってくれてたよ。


 お祖母ちゃんは、黙ってうんうんと相槌を打ちながら聞いてくれる。


 人魚さんの話!海に行って知り合った人魚さんと仲良くなって海産物を分けて貰える事になったよ。


「お前さん、人魚とやったのかい?」

「いやいやいや、やって無いから。対価は焼肉と果物です。」

「ホントかい?あんまり節操なく手を出してんじゃ無いよ?」

「はい。分かっております。」


 祖母ちゃんはジト目で見てるが、俺にやましい所は無い。

 家出して海に行ったなんて言えないけどな。

  でも、祖母ちゃん最初の頃と言ってる事、違くない?女は待ってくれないとか言ってたじゃん?今は節操なく手を出すなって?


「その区別が出来ないから言ってんだろ!都合よく解釈するんじゃないよ!」


 お~。また怒られてしまった。つか、心を読まないで欲しいよね!

 絶対、分かってるよね?

 話題を変えて、エルフの里から搾取していた人間の街と和解が出来て、正常に交易出来るようになったよ。

 まだ、牙猿や魔狼は怖がられるけど、人間の子供達は牙猿や魔狼に抱き着いたりして、高い高い!なんかで遊んで貰っていた。魔狼にも乗せて貰ったりと子供の方が打ち解けるのが早いね!ただ、服を着てない牙猿や魔狼は危険なので絶対に近づかない様に!と約束した。


 所で、あの森って迷宮魔女の森って呼ばれてるの知ってた?

 あ、目が泳いでる。

 やはり、祖母ちゃんの仕業か。深くは追及しないが。

 森での注意点みたいなのってある?


 そうだね、秋になると牙猿の別の群れが流れてくることがあるから気を付けな!

 ‥‥それ、気を付けようが無いんですが。

 詳しい事は、ボスに聞いて見ようか。

 そんな事が在るんじゃ、グズグズして無いで早く帰った方が良いな。


 さて、今回の仕入れと、必需品を確認しておこう。

 まず、指輪。トゥミにあげたから皆にも準備しよう。

 トゥミには、青瞳、銀髪だからダイヤが1粒埋め込まれた指輪だった。

 サラには、青瞳に青い髪だから青い石?サファイヤだな。

 シャルには、う~ん、金瞳、金髪だからな。プラチナとゴールドのコンビリングが良いかな。

 ユナは、茶髪だけどグリーンの瞳だから、エメラルドだね。

 カレンは、赤瞳、赤髪だ。赤と言ったらルビーだよな。


 しかし、ユナとカレンはまだ嫁になって無いのに用意して大丈夫かな?

 当たりだけ付けて置いて、実際にそうなったら買おうか。


 パソコンを立ち上げて、ネットで検索を始める。


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