第49話 今後の‥‥

 人魚さん達に色々な土産を貰った。

 エビやカニを始めとして、様々な貝類や魚、昆布やワカメも貰った。

 サラの信頼で覚えた水魔法で冷凍出来るのが分かったので、エビ、カニ、魚類は冷凍するが、貝や海藻系はそのまま格納。

 代わりに何か置いて行こうと言ったが、たらふく焼肉を食わして貰ったから何も要らない!と言ってくれた。それに肉を貰っても、あんな美味い食い方を知ってしまったら、生では食えないと言う事だ。

 次に来た時にまた、焼肉パーティーをやろうと約束した。



 この海産物を土産に村へ帰ろうと思うのだが、如何せん足が重い。

 どの面下げて?‥‥‥

 怒ってるよなぁ?‥‥‥

 気付いて無かったりして?‥‥‥それは悲しすぎる。

 誓ったはずなのにウジウジ考えてる俺が居る。


「あああああああぁぁぁぁーーーー!!」

 と、叫んでみて、少しスッキリした。


 丘に登って振り返ると島が見えた。

 あの島で、もう一度ちゃんと誓ったんだ!幸せになるってね。

 ちゃんと帰って、幸せになる!

 そんで、また来る!



 そして、前を向いたら、襲われた!


 巨大な獣に押し倒された!


「ゥワォォォーーーーーーン!!主!確保!!」


「アルファ!?」


 魔狼達の遠吠えが連鎖していく。

 間に、牙猿達の声も入る。


「あちゃ~!捕まっちゃったよ。」


 言いながらも、心の中ではホッとしていた。

 ウジウジしないでサッサと帰れる。

 俺としては、ケツを叩かれるくらいが丁度良い。


「主、お迎えに上がりました。」


「あ、うん。ありがとう。・・・よく分かったな?」


「川を渡ってから、海までは匂いが在りました。海の先に消えてたので、どうしようかと思いましたが、主の事ですから島に渡ったのだろうと、お待ちしてました。」


「正解!島に居たんだ。お前らにも美味い魚食わしてやるからな。」



 ボスや牙猿達も集まってきた。


「主、お迎えに上がりました。お身体に触りはありませんか?」


「ああ、大丈夫だ。心配かけたか?」


「主、もちろんです。トゥミ様たちも心配してます。帰りましょう。」


「そうだな。帰ろうか。」


「はい。主、帰りましょう。」


「分かった。アルファ!乗せろ。」


「はい。」


 デカい魔狼なので、伏せて乗れるように低くなる。

 アルファに乗るのは初だが、せっかくだから草原を駆け抜けて欲しかった。

 アルファに乗ったら、ボスがちょっと不満そうだったが何も言わなかった。


「ヨシ!帰るぞ!」


「はい!主!」

「「「「「ワゥォォォォーーーンン!!」」」」」


 ボスたちは森周りで、アルファたちは草原を真っ直ぐ駆けて行った。

 メッチャ速い!半日ちょっとで駆け抜けてしまった。


 村が見えてきた。

 ほんの2,3日なのに、妙に懐かしい。

 牛の姐さんが気が付いた!


「もぅぉぉおおおぅぅぅ~~~~~!!」


 何か伝えてるみたいだ。

 村が騒がしくなって、みんな出てきた。



 うっ、ちょっと気まずいぞ‥‥‥


 皆が整列する。

 一番前には、トゥミとサラが並んでいる。

 アルファが皆の前で止まって伏せる。俺も素直に降りる。

 ちょっと気まずくて、言葉が出てこない。

 すると、トゥミとサラが、


「「真悟人、お帰りなさい。」」


「あぁ、ただいま。」


「「「「「「「「「「主!お帰りなさいませ!」」」」」」」」」」


「おぅ!皆!ただいま。」


 トゥミとサラの目が潤んでいた。

 そっと二人を抱き寄せて、

「ただいま。心配かけたな。‥‥ゴメンな。」

 三人で暫し抱き合った。


 二人の肩を抱いて、BBQサイトへ移動する。

 もう昼なので、海産物で宴会しようと言う魂胆である。


 ユナとカレンが気まずそうに立っていた。

 もじもじと何か言いたそうだ。

「ユナ、カレン。ただいま。」


「「真悟人、ごめんなさい。」」


「なんだ?どうした?」


「私たち、嫌な態度を取ってしまって。」


「素っ気ない対応したり、逃げちゃったり‥‥」


 二人はシュンとして俯いている。

 トゥミ、サラの肩から手を離して、二人の頭を撫でてやる。


「皆さ、機嫌のよい時ばかりじゃ無いし、都合の良い時ばかりじゃない。タイミングの良い時だってあるし、最悪のタイミングもあるさ。俺だってそうだし、お前達だってそうだろ?だから、気にすんな!何時でもそうなら気にするけどな。」


 ニヤッと笑って、二人の頭をガシガシ撫でてやった。


「真悟人のタイミングも悪かったの?」


「おぅ。色々考えちゃってな。」

 サラに突っ込まれたが、正直に返して置いた。


 BBQサイトで、久しぶりに準備をさせる。

 大鍋でカニを茹でて、茹で汁で味噌汁を作る。

 エビや魚の塩焼き準備をして、ホタテのバター焼きのため、大量の小フライパンを出して準備する。取り敢えずそれから皆に準番に振舞うが、魚介類は、ほぼ全員が初なので、あちこちで絶叫が上がっている!


「うっっまぁあああぁぁーーいぃ!!!」


 エビを殻ごと塩焼きした物を、頭ごとボリボリと食うボスが絶叫していた!

 ワフスリやジーワンは、カレンと一緒に泣きながらカニを食っている。

 その頃にようやく、イナダの塩焼きやカツオの土佐作りが出来た。


 これは、カツオにサラがハマった!土佐作りを薄く切ってしょうが醤油で頂く。

 刺身に近いけど、生魚に余り忌避感は無い様だ。

「すっっごい!美味しい~~!!」


 トゥミはイナダの塩焼きに醤油を垂らして、1匹を一人で抱えて

 ハフハフと食っている!

「何これ!海の魚、美味し~~い~~!!」


 ユナとシャルが、トコブシとシッタカの煮付けを抱えている。

 ユナがシッタカで、シャルはトコブシがお気に入りのようである。

 二人ともに楊枝を上手く使っている。


 ではでは、皆の腹が膨れた頃に、アワビのバター焼きの登場!!


 半数位からがブーイングである!

 早く出せ!遅い!と、こんなのが控えてるならセーブして食えば良かったと嘆き節である。こんな美味そうな匂いを最後にさせられたら止められない。

 反乱軍たちは、涙目でもう食えないと嘆いている。

 ふっふっふっ!これが狙いさ。最初からこんな美味いもん出してたら、アッと言う間に無くなってしまう。全員の腹が朽ちてからが本番だぁ!


 他にもイクラ?の醤油漬けや、イカの沖漬けを出したら、大ヒンシュクでした!

 次回から、お品書きを用意するようになりました。

 お品書き見ても、どんな料理か分からないじゃん?と言ったら、そういう問題じゃ無くて、どれだけ料理が在るのかが、問題なんだと怒られた。


 次回はカレン達に丸投げだから良いけどね!エヘヘ♪

 今回は酒を出してないから大変な事にはならない。

 全員の腹も落ち着いて、また明日にでも、魚介についてと今後の事について話そうと言ってある。



 今夜は、トゥミとサラとしっぽり♪としたい。

 だって、人魚さん達の官能的な姿を見せられて、我慢したんですから!

 ・・・と、思っていたら、シャルに突撃された!いつまで放って置くのか?

 私との時間はどうした?


「あ、う、‥‥えーと。」

 サラとトゥミに目で訴えてるつもりで見てたら、二人には、


 ト「今夜は♪と思ってたけど、余り独り占めするのは問題かな。」

 サ「うん。今夜は諦めて、明日は‥‥たまには二人きりにもなりたいな。」

 ト「じゃ、じゃあ、明後日は私と二人で!いい?決まりね!」

 サ「そうね!明日は私と二人きりでね♪」

 シ「今夜は私が二人きりでも良い?」

 ト、サ「うんうん。今夜は譲ってあげる。」

 シ「ありがとう♪」


「真悟人!今夜は二人きりだよ。一緒に居られて嬉しいね!」

「お、おう。」


 女同士で相談して予定は決まったらしい。

 毎日の順番で交代みたいだな。

 シャルが来てくれるなんて予想外で、メチャ緊張するんですけど?


「子作りするなんて言ってて、それっきりなんだから!」


「えっ?あ?それって、シャルのジョークじゃ無かったの?」


「せっかく此処まで来たのに、そんな訳ないじゃん!」


「そうかぁ~。ほら、最初子作りする?って言ったら、メチャ引いてたからさ?」


「当然でしょ!女の子に何言ってんの?」


「そうか、そうだよね。ゴメンね。デリカシーに欠けてたね。」


「分かってくれれば良いんだ。」


 シャルとは最初の頃、妊婦さんの世話をお願いする時以来、二人きりで話す機会が無かった。こうして改めて話して見ると、キレイな金髪で均整の取れたスレンダーな体形で、とっっても美しい女の子である。


「どうして家出したの?」


 固まった。

 いきなり核心を突いて来るとは思わなかった。

 見た目、美少女で言動は悪魔なのかも?と思ってしまった。


「もしかして、嫉妬かな?」


 更に固まった。なんだなんだ?俺は今、何を言われてんだ?


「トゥミって奔放だからね。おおかた、グッチに魔法教わってるトコでも見ちゃったかな?」


 言葉も発せず、壊れたからくり人形のように、あ、う、ン‥‥と狼狽えている。


「言っておくけどね、トゥミの気持ちは本物だよ。他に傾くことは無いよ。」


「う、うん。分かってるんだ。」


 ようやくそれだけ返事が出来た。

 どうやら、家出の理由についてトゥミやサラは分からなかったらしい。

 だから、見当が付くシャルが聞いて見ると?そんな話が付いてたらしいな。

 どうせ彼女たちは、自分から聞くことなんて出来ないだろうからって。


 確かに当事者同士じゃ上手く話が出来ないかも知れない。

 ある意味、感謝すべきかも知れないな。

 正直な気持ちを吐露して、どう伝えるかは任せる事にした。

 言い繕ってもしょうがないしね。


「フフフッ。可愛いトコあるね。」


「なんだよ、それ?」


「女としては、妬いてくれるくらいじゃ無いと寂しいもんだよ?」


「でも、女たちは妬いたりしないんだろ?」


「バカね!そんな訳、無いじゃない!」


「どういう事?トゥミだって平気でハーレム進めてたし。」


「女だって、自分だけ見て欲しいし、自分だけ構って欲しいよ。でもね、甲斐性ある男はそんな訳に行かない。それに一人占めしたら、周りと絶対に上手く行かないでしょ?‥‥だから一生懸命に自分を見て貰うために努力するんだよ。今はまだ数が少ないし、同じエルフ同士だから話し合えるけど、違う種族が混じって来ると、考えも違うから揉め事も起きやすくなると思うよ。」


「そうかぁ。ハーレムを甘く見てたよ。今はまだ他の種族なんて考えてないけど、この先、人間の街とか行くだろうし、分からないかぁ。」


「何を言ってるの?姫ちゃんはどうするのよ?」


「ん?姫ちゃん?姫ちゃんって?」


「呆れた!もう、ホントに分からないの?」


「ん?・・・・・姫?・・・・・えっ?姫って?」


「そうよ!どうするつもりなの?」


「え?だって、まだまだ子供だし‥‥まだ早いだろ?」


「はぁ~~~~‥‥常識無いの忘れてたわ。姫ちゃんは魔狼でしょう?10年もすれば成人するわよ?多分、来年にも成人じゃないかな?」


「マジか‥‥」


 今後やって来る、新たな試練?に慄くのである。


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