第44話 イタダキマスと肥料
牛の姐さん達の所へ行った。
ココでの暮らしはどうか?聞いて見るつもりだ。
姐さんはご機嫌だった!
ちゃんと屋根のある家と、毎日の乾いた寝床、走り回れる草原、更に腹一杯食える美味いメシ!これで文句を言ったら罰が当たると言ってくれた。
お乳が張れば、エルフ男に言えば絞ってくれるので、楽になる。
だからドンドン新しいお乳が出せる。
子供達もすくすく育っている。
絞ったお乳は、サラの水魔法で作った氷室で保管されている。
誰が、何時、誰から絞った牛乳なのか表記してるので、無駄なく使われている。
一番は、妊婦さんたちに薄めて毎日コップ一杯。
シャルと相談して決めたそうだ。
サラは嫁になって(キャラメル食って)かなり賢くなった気がする。
チーズやバターの作り方を書いた紙を渡して、エルフ男たちに研究させるようにお願いしたら、必要な鍋などの道具一式を書いた紙を渡して来た。
足りない物は来月になってしまうと説明した。
因みにキャラメルはこの延長線上にある!と伝えたら、めちゃめちゃやる気になっていた。
また、魔法に付いても、元々水系の魔法が得意だったこともあるが、
氷室を作るほどの技術は無かったと。
ユナに穴(地下室)を掘って貰って、土で棚を作って貰う。
壁と棚を全て凍らせて、水を入れたツボを置き、それらも全て凍らせる。
そんな事が出来るようになったのは、俺のお陰なんだそうだ。
しかし、スライム先生に文字や算数を教わってる時から進歩したものである。
最近は、時々ギュっとしてチュッとする工程が増えたが‥‥てれっ♪
そんなこともあって、エルフ娘たちの肉食感が増しているのかぁ。
俺の嫁になれば能力アップ!と言う訳ですね。
その辺は自然に任せましょう。
後は、渡した紙を見てこれは!と騒いでいたが、さすがに紙作りはハードルが高いので、おいおいやって行こうと宥めた。
閑話休題
姐さん達にとって、ここはとっても快適なんだが、問題もある。
雄牛がうるさい。
今迄より暮らす場所が近い分、直ぐにやりたがる。
妊娠中はさすがに自粛するらしいが、出産後は直ぐにやりたがる。
牛の出産は大体、年に1頭。出産後1ヶ月は無理!
牝牛達はちょっとの準備が必要だと。次の準備に2~3か月?その間に次の子供を身籠るんだそうだ。
まぁ、雄牛たちの気持ちは分からないでも無いが、牝牛達にしてみればウザい事この上ないらしい。
ここで、言えなかったことを相談してみる事にした。
姐さんは知ってると思うが、俺たちは肉を食う。
牙猿や魔狼達が居る時点で百も承知と。
もっぱら食うのは雄牛たちになる。
表立っては言えないが、姐さん達に牛乳を期待して、雄牛たちには肉を期待していたと。‥‥それも承知。
基本的に牛もハーレムを作る。
だから今の状況は雄牛が多すぎる。これは互いに良くない。
せめて、雄牛の数を半分以下にしないといけない。1/3でも良いと?
どうやって間引く?
雄牛も牝牛も意思疎通が出来るのは一部だけ。
だから普通に連れて行けば、大丈夫!
おいおい、そんなざっくりとで良いのか?
キャラメル食って、知能上がってんだぞ?
だからだよ!連れて行かれる奴より、残った連中を動揺させないのが大事!
君は選ばれた!新しい世界に旅立とう!なんて言えば大丈夫!
‥‥‥どんな宗教だよ?
朝起きて、いつの間にか居なくなってた。って方が動揺するよ。
それもそうか。
準備とか根回しをしてからまた連絡するよ。
次のお産は何時頃になるんだ?
春だね。
多分、子供以外はほぼ全員、妊娠してるよ。
春から今頃に掛けて、お産ラッシュだねぇ~。
「そうか!元気な子供が生まれる様に、必要な事はドンドン言ってくれ。」
「そうだね!頼むよ!・・・ヒソヒソ話すのは疲れるね!」
「まったくだな。準備できたら連絡するよ。」
ボスに言って、屠殺部隊と解体部隊を編成して貰おう。
後は、解体場の下に氷室を作って保管できるようにしないとな。
そうやって命をイタダキマスって食するんだ。
ちゃんと感謝を込めて、いただきます。
解体で思い出したが、角熊が未だにそのまま死蔵されてた。
カレンとユナとボスとジーワンとジースリを呼んで、解体を頼む。
食える所と価値ある所、骨とかはどうするのか?内臓とかは肥料になるか?
上手くやってくれ!と丸投げである。
もう一つ!
オークを6体持ってるんだ。‥‥食うか?使えるか?
ボス以外は固まる。
サクッと殺って、そのまま持って来た!と言ったら、主らしいと言うか何と言うか。
と、呆れつつも良くやった!って空気がある。
一辺に6体も出しても余らせるだけなので、2体ずつ処理しましょー!ユナとカレンが相談してた。
そこで、実は、家畜達の餌に骨紛を混ぜると、骨が丈夫になって良いらしい。
と、話をしたら、目を輝かせて食い付いた!それはサラに話さなきゃ!
それと、骨から出汁が取れる話をしてやった。
解体した後に煮る。血合いなどの臭み部分を洗い流して茹で溢すと良い出汁になる。カレンとジーワンが感動した面持ちで、そ、そんな手法があったなんて!と、
文字通り感動して是非試して見たい!と、解体終わったら、骨は一旦引き取る事にした。
オークの骨でラーメン作ったら、トンコツラーメンになるかな?
角熊だと熊骨ラーメン?‥‥やってみる価値はある?のか?
麺は、パスタを灰の上澄みで茹でればラーメン風になるって言ってたね。
かん水って重曹水みたいなモンらしいし、アルカリ水なら良いんでしょ?
(かなり乱暴ですが‥‥)
出汁の抜けた骨を干して、砕いて、粉にすれば、骨粉の完成で良いんじゃね?
(これまた乱暴ですが。)
ユナは肥料にするトコは内臓くらいで余りないですねぇ?と、若干残念そうであるので教えてやった。
「何を言ってるんだ!先ず、料理するのに燃やした後の灰があるだろ?灰は畑に必要不可欠だぞ!」
「何でですかぁ!灰って燃えカスで何も残ってないじゃないですか!」
「まぁ、落ち着け!畑は作物を育てていると段々と酸性って性質に変わって行くんだ。」
「酸性?反対の反対で賛成ですか?」
「そうだ。」
「そうなんですかぁ!?絶対違う気がするけど‥‥」
「皆が賛成するから、偶には反対してやんなきゃいけないんだ。灰はそうやって使う。」
「なんか全然違うと思うけど、何の事言ってるのか分からない‥‥」
「骨粉はそんな奴らを応援してやるんだ。」
「応援?反対して応援?奴らって?もう反論どころか論点も分からない‥‥」
「生ごみや腐葉土や落ち葉や骨粉は、肥料という土への応援団だな! 土には反対より賛成がちょっと多くて、応援団が沢山ついてると作物が良く育つ訳だ。」
「そうやって繋がりますか?結局、土に賛成、反対って何の事だか分からないし。」
「まぁ、そう言う訳で、無駄にする所は無いって話だな。」
「はぁ~~~・・・どういう訳だか分かりませんが、まぁ、必要って事ですね?」
「そういう事だ。本当は肥も良いんだろうが、その辺はスライム先生に任せてるからな。でも心配するな。大丈夫だぞ!いくらでも肥料の元はあるからな。」
「そうですか。いつもここまで訳分からなくは無いのに、今日はサッパリ分からなかった。」
「ユナ。今度ちゃんと分かるように話してやるから。」
「はい。お願いしますね。」
ユナが呆れて疲れてしまった。
土壌改良なんて、どう話して良いのか分からないし、話す本人がちゃんと理解して無いから、聞く方はもっと分からない。余計な事言わない方が良かったかな?
じゃあ、気を取り直して、皆を見渡せば全員疲れてしまっている。
俺のせいだね。
「皆、疲れさせて悪かったな。これでも飲んでくれ。」
「あっっ!それは元気の水!」
ユナが復活した。ただのスポーツドリンクであるが、皆は???
各自コップに注いで乾杯した。
全員の目が丸くなった!いや、ユナだけは喜色満面の笑顔で飲んでいる。
元気の水と言う通り、ユナは元気になったが、ボス達は感動している。
こんなに甘く爽やかな水なんて、何かの果実の水だろうか?
カレンもちょぴちょぴと、よく味わって何の果実だろう?と考えている。
「おかわり!」
ユナが勢い良くコップを差し出した。
皆は、えっ!いいの?とビックリ顔である。カレンまでビックリ顔なのは何でだ?
ユナのコップに注いでやる。
皆も慌ててコップを突き出し、
「「「「おかわりっ」」」」
ちょっとは疲れが取れてくれると良いな。
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