第45話 居場所
収穫も最盛期。
様々な夏野菜の収穫から、次の作物への移行。
採取した野菜から傷んでるものの選別や、果樹園での袋掛け。
やることは沢山!連作障害も考えなきゃ!だから、何処に何が植わってて次は何を植えるのかの計画も大事!ローテーションで休ませる畑も考える。
トマトとナスって同じ種類なの?えっ!ジャガイモもそうなの?
意外な同じ種類だった。
連作障害って、同じ害虫が留まり続けるパターンが多いらしい。
同じ種類の植物には、同じ害虫が悪さをするとか?
植物の栄養は、人間が耕作してんだから肥料で沢山あげるし、管理もされると。
ただ、微生物や害虫は手に余るから、そいつらが続けて悪さをしないように?
害虫たちのターゲットは同じ種類の植物やその植物が好む栄養だそうですよ。
ターゲットがなければそのうち居なくなるってのが、畑を休ませることらしい?
田んぼって何で毎年同じ作物植えられるの?
これって何の疑問も持たなかったけど、言われてみればそうだよね?
毎年、夏の風景は同じ田んぼに同じ稲が揺れている。
あっシオカラトンボ!ってのが俺の知ってる夏の風景。
これって水を張るってのがポイントらしく、水に沈むと呼吸できない害虫たちが居なくなり、悪いもんや多過ぎるモンが流され、水が運んでくる養分で稲が育つらしい。後は水を張るから雑草が生えずらいし、熱しにくく冷めずらい、どっかの誰かの様な事も大事なんだそうだ。‥‥誰?熱しやすく冷めやすいでなくて?‥‥
水田から考えると、池の泥は畑には最高の肥料なんだって?レンコンやクワイも好きだからやってみたいね。土を多少入れ替えながら出来るのか?
湧き水池から水路で繋げて、水門作れば出来るかな?
そういえば、この世界でトンボやセミって見てないな?‥‥モンスターなのか?
それと、カブトエビも居るのだろうか?
休ませる畑にはレンゲを植える?
昔は植えるもんだったそうだ。水田跡に植えて、為になる細菌(根粒菌)を増やして次の畑の為に土を肥やしてくれるらしい。クローバーでもイイみたいだぞ。
後は、ヘアリーベッチ!これも休耕地には良いらしい。牛達の牧草にも良いし、雑草の抑制にもなると!ミミズにも良いかも?
あんまり量が無いから、今年は増やすようにしようか。
世話する方は休み無しだね。
ミミズと言えば!
この世界のミミズは、デカい!これは畑をダメにするレベルでデカい!所謂ワームってモンスターなのかな?
しかし、畑に居る訳じゃ無く、デカい親は川沿いの様な土地の柔らかい所に居る様だ。畑に居るのは子供達。
ミミズには堆肥型と土壌型がいるらしく、堆肥型は有機物を分解してくれる方々。
土壌型は土を肥えさせてくれる方々ですかね?
肥料作成は堆肥型、畑に居て欲しいのは土壌型らしいです。
こいつらはどっち?と言って判別できないので、頑張って土を肥えさせて下さいとお願いしておいたんで何とかなるでしょう!
休耕地に蒔く予定のヘアリーベッチは、ユナ配下のエルフ男3人の手によって、収穫の終わった畑に蒔かれた。良かったらエルフの里にも持って行こうと話している。
反乱軍の皆は、エルフの里に限界を見て、違う方向に向いてしまったが、里が嫌いな訳じゃ無い。
ただ、先々不安だったんだよ。不安が無くなれば、働いて未来を考えたい。
正直な気持ちなんだよね。
グッチだって、偉そうな態度は治らないが、火魔法に磨きが掛かってきて、嬉しそうにカレンに報告してる姿って、素の彼は悪い奴じゃないんだよね。
カレンもちゃんと相手にしてあげてるし、良い方向に向かってると思いたい。
ユナとカレンとを呼んで解体からの売買はどうするかな?と、そんな話をしたいと思ってたので、頼んだ角熊やオークの素材が知りたくて呼んでみる。
「お疲れさん!角熊やオークはどうなった?良い素材は取れたか?それを聞きたくて。」
「・・・・・・・・・・・」
ん?どうした?険しい顔で見つめて来るが‥‥ん?俺は何か間違ったか?
なんかドキドキしてきた。ここで何か糾弾されるのか?
「解体、終わってます。下の保冷庫から収納して下さい。」
え~~~!?カレンがめっちゃ業務的に話してくる。
こりゃ何か嫌われる事象確定ですか?
「ん?え~~と、何かあったか?」
「‥‥‥別に何も。」
「そうか。・・・」
何を怒ってるんだろう?それとも、何かで嫌われたか?
まぁ、元々モテる奴じゃないし、他人から好かれる事、事態がなかなか無い。
嫌われたにしても唐突だな?原因はなんだ?
「呼び出して悪かったな。ありがとな。」
「・・・・・・・・・・・・・」
二人とも無言で去って行った。
なんだろう?
『道具』のお陰でチートな能力を持ってると錯覚して、それのお陰で女にモテるなんて調子に乗ってたかな?
よく考えたら、ココに来る前は
地道なだけで、役立たずなレッテルを貼られてる俺だった。
ココに来たからっていきなり能力が上がる訳でもないし、やっぱり勘違いしてたかな‥‥
ウジウジ考えててもしょうがないから、トゥミとサラに聞いて見ようか?
まず、トゥミは‥‥居ない。
この時間は、周囲の見回りをしてたかな?
村の周囲を探して見る。仕事中のトゥミを探すなんて初めてだな。
お!‥‥‥居た!‥ん?あれ?グッチと一緒?
‥‥なんだ?‥‥ドキドキしてきた。
ん?手を繋いでいる??‥‥見つめあって?‥‥トゥミが目を閉じた‥‥
慌てて逃げ出した!
逃げる事じゃない!何か理由があるのかも?
心の中でグルグル回って考えが纏まらない。手を繋いで見つめ合った二人の姿が目に焼き付いている!----ただただ走った。
「グッチありがとう。」
「いえいえ、火魔法を覚えるにはこうして魔力の巡りを覚えるのが一番ですからね。」
「そうね。だいぶ感じは掴めたわ。」
「しかし、何故突然火魔法を覚えたいなんて?」
「私、剣は得意だったけど、魔法は回復をちょっとしか出来ないし、真悟人がああして遠征するのに付いて行っても役立たずなんだよね。ちょっとでも役に立てる事覚えたいなと思ってね。」
「真悟人殿は、自分でなんでも出来る。だから無理しがちかも知れない。こないだのオークも自分で突っ込んで行かれた!もっと、周りを頼ることを覚えた方が良いとは思う。まぁ私の言うことなど聞いてはくれないだろうが‥‥」
「そんな事無いよ。グッチは頑張ってる!ってこないだ褒めてたし!」
「そ、そうか!」
嬉しそうに笑うグッチを見ながら、遠くに走って行く真悟人を見た。
あれ?真悟人?なんで走って行くんだろう?
何となくトゥミは真悟人の危うさみたいなものと不安を感じた。
無茶しなきゃ良いけど。・・・
サラが放牧場から戻ってくると、カレンとユナが二人して頭を抱えていた。
「二人とも、頭抱えて何やってんの?」
「「サラかぁ~。」」
「随分とご挨拶ね?」
「サラには分かんないよ‥‥」
「どういう事?」
ユナが言う事によると、今日、真悟人に呼ばれたそうだ。
今日は二人で真悟人攻略を相談していたんで、緊張してしまって非常にそっけない態度を取ってしまったと。
「ありゃ、嫌われちゃったかも?」
そう言って二人は落ち込んでるらしかった。
「そんなんで、嫌ったりしないと思うけどね。逆に真悟人の方が嫌われたかな?って落ち込んでそうだよ。」
「えー!私たちが嫌うなんて無いよ~!」
「そうそう、無いない!酷い事なんて絶対にし無さそうだし、サラもトゥミも大事にされてるみたいだし!」
「「ねーー!!」」
「私はシャルに牛乳届けるから行くね!」
話の矛先が自分に向きそうだったからサラはさっさと逃げ出した。
そんな時、真悟人は走って戻って来ていた。
「あれ?真悟人が走ってる?珍しいね。」
大して気にするでもなくサラはシャルの所へ向かう。
真悟人が戻ってくると、リンゴの木の下にユナとカレンが座ってるのが見えた。
二人は、真悟人が戻って来るのを見つけると、ギクシャクと逃げ出した。
それを見て、悲しくなった。
異世界に来ても、同じことの繰り返しかと。
仕事は上手く行かず、嫁にも捨てられた日本と変わらないじゃないか。
俺自身では、同じことの凝り返しなのか。
焦りと動揺で真面に考えられなくなっている。
・・・・真悟人は逃げ出した。
行く当ても無いし、何も考えていないが、ただ此処には居られない。
此処に俺の居場所は無い。
そんな思いで逃げ出してしまった。
後先も考えず。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます