第38話 放牧場
今回の帰還で色々買ってきたが、目玉はヒヨコとマスの稚魚である。
マスは湧き水池に放流して終了。人工飼料を用意したので、世話係を決めるくらいなのだが、ずっと人工飼料と言う訳にも行かないので、魚の餌の作り方を考えなければいけない。何をどれだけ混ぜるのか、人工飼料から考えれば良いかと思っている。
ヒヨコは‥‥サラが萌えた!ドン引きするくらい萌えた!
ヒヨコを元気に健康に育てるために、ネットで勉強した内容を言い聞かせる!
今回連れてきたヒヨコは50羽。
♂が30羽で1羽¥200~、♀が20羽で1羽¥3000~。
良く聞く名古屋コーチンという種類だそうだ。
♂は順に間引いて行って、立派な奴を2~3羽残せば良いかと考えている。
そうして、増やしていけるかな?と期待している。
最初に小屋作り。
放牧場に残した大木の周りに板囲いしてニワトリ放し飼いスペースを確保。
50mx50m位あるかも?真ん中の大木の根元に10mx10m位の小屋を作る。
1羽辺り、1㎡確保するのが良いらしい。
作業中は板囲いの中に板囲いしてヒヨコ放流!なぜかサラも中で転げている。
お前は働け!
小屋を牙猿達に作って貰ってる間に、山に行って腐葉土や落ち葉をかき集めて来る!
当然『道具』達の出番である。『レーキ』と『熊手』でひたすら落ち葉と腐葉土を集める。落ち葉と腐葉土は分けて、建築資材用のデカい袋に『フォーク』で詰める詰める詰める。それぞれ3袋位集めたら戻る。
帰って来る頃には、小屋も形が出来てきているが‥‥サラはヒヨコと転げている。
だから!お前も働け!
小屋の中に浅く広い穴を掘る。そこに落ち葉と腐葉土と持って来た米糠を混ぜて水を掛けて踏む。また落ち葉と腐葉土と‥‥踏む踏む踏む!!発酵床というらしい。上手く行くと、とても暖かくなるんだそうだ。
その上に藁を敷く。米を作らないと藁も出来ないね。なんか考えよう。
サ~~ラ!!働け!!
小屋の周囲で『鍬』登場!縄張りに沿って腐葉土と一緒に耕す!ぐるっと耕す耕す耕す!そこに菜っ葉や水菜の種を蒔く。耕してない部分には落ち葉を撒く。
これで大体‥‥サーラちゃん!何してるかなぁ??
「あ、いや、‥‥‥えへへ♪‥‥ごめんなさい‥‥」
「もう、しょうがねぇなぁ。ヒヨコたちを小屋に入れてあげてよ。」
「うん!任して!ほ~らみんな~!行くよぉ。お出で~~♪」
おお!なんと!ひよこ達が着いて行くではないか!
サラにこんな特技があったなんて!伊達にモフモフ女王の名を持ってないな!(誰が付けた?)
ひよこ達が大きくなる頃には、菜っ葉や水菜も大きくなるだろう!
小屋に入ったヒヨコ達は発酵床を穿ったり、藁の中に転げたりで、気に入ってくれたようだ。ご飯は最初は人工飼料になってしまうが、少しずつココで作れるものにシフトして行こう。
後、足りないものは、水桶?いるよね?‥‥ここにも井戸掘れないかな?
やってみよう!『ハンドオーガ』でゴリゴリゴリゴリゴリゴリ・・・・・・
お!感触が変わってきた!ゴリゴリごりゴリジャリゴリジャリジャリ・・・
そろそろかな?パイプを抜くと、ゆっくり水が上がって来る。
この辺は水が豊富だね!また湧き水池にして水路を繋げる。
マスの稚魚がちょろちょろと上がって来る。こいつらもちゃんと増えると良いね。マスって肉食だから。メダカみたいな小魚を大量に獲ってきて放すか。魚の罠みたいなのを考えないとな。
そう言えば、瓜坊牧場はどうなった?
牙猿達が狩りした後、孤児になった瓜坊集めるって言ってたよね?
「あぁ、あれ?‥‥ん~、もう瓜坊じゃなくて、若い猪だからちょっと乱暴なのよね。」
「へ?まだ1ヶ月くらいしか経ってないか?」
「連れて来た時は既にちょっと大きかったからね。生まれて半年もしたら結構立派よ。」
「そうなのかぁ、環境は大丈夫なのか?」
「小屋と放牧場は有るけど、ちょっと匂うね。」
「じゃあ、そっちにも井戸を掘ろうか。汚れそうだから湧き水池には繋げない。」
『ハンドオーガ』先生、出番です。ゴリゴリゴリゴリゴリゴリ・・・・・・
ゴリゴリごりゴリジャリゴリジャリジャリ・・・パイプを抜くと、ゆっくり水が上がって来る。湧き水池にするのは一緒だが、放牧場の中に水路を通して、スライム浄水場を作る。
スライム先生に報告に行ったら、
「良いんじゃない。基本的にキレイ好きな動物だから自分で水浴びするし、浄水場でキレイにした水を流せば、他に影響は出ないと思うよ。」
スライム先生からもOKが出たので、浄化スライムたちに移動をお願いしたら、猪小屋は栄養豊富らしくて、意外と人気があった!
小屋の床は石に替えて落ち葉や藁を敷く。裏にも水路を作って汚れは裏水路に流す。表水路は水浴び用。どちらもスライム浄水池に流すようにした。
お陰で、猪たちのイライラも収まり、余り匂わなくなった。
(乱暴なんじゃなくて、不潔でイライラしてたらしい。)
偶にブラシで洗ってやると懐いて来る奴も居て、カワイイもんだ。
後は番になってくれて、子供が増えたら万々歳だね!
ある程度増えたら、お肉用の小屋は別に作った方が良いかもな‥‥‥
放牧場としての現状を纏めてみよう。
ニワトリは結局、現地調達が難しいので、日本から50羽連れて来た。
現地調達ニワトリモドキは暴れる暴れるでお肉になった。
猪は現地調達!子供が8頭。今後に期待。
ウサギ?‥‥カミソリウサギは飼えません!
ネズミ?‥‥刃ネズミは駆除対象です!
ヤギ?‥‥捕獲は無理そう。
羊?‥‥んーーー。聞いて見る。
牛?‥‥こいつが問題!バッファロー以外に居るのか?バッファローじゃ、乳牛はきっと無理だよね?これも聞いて見よう。
それが、意外なところから情報が入った!
なんとグッチが知っていた!さすが反乱長老!物知りですな!
「その呼び方は止めろ。‥‥」
お気に召さないようで。
南に行った川の先にも草原があるそうだ。
その草原に牛らしい動物が住んで居ると!それは是非見に行こう!
メンバーは、俺、グッチ、今回はサラ(飼えるかどうかの問題なので、担当者として同行すると!)ボス、ジートゥ、ビースリ。
ボス曰く、南の草原を向こうの山まで真っ直ぐに突っ切れば、距離は近いが時間が掛かるらしい。
だから、西の山沿いに迂回する方が全然速いと。さすが猿ですな!
そう言う訳で、俺はボスの背中に、サラはジートゥの背中に、グッチはビースリに担がれて(おんぶ紐を嫌がった)出発です!
「うわぁっぁああああぁぁぁぁぁ~~!」
「おわぁぁおおおおおおおぉぉぉぉーーー!」
「主、あいつうるさい。」
「まぁまぁ、これでも食ってくれよ。」
パインのドライフルーツである。これでビースリのご機嫌は回復するが、
問題の反乱長老は、草むらでえずいている。
まだ半分なのに先が思いやられる。
サラとジートゥは平和にフルーツ談義である。
ボスがビースリに何か耳打ちしてるが?
2頭でニヤッと笑ってサムズアップ!ニヤッと笑うと怖いから!それもx2だから!
そもそも、サムズアップなんての教えてたかなぁ?
休憩終了!さて出発!って瞬間に、ビースリがグッチの意識を刈り取った!
2頭でニヤッと笑ってサムズアップ!だから怖いのx2だから!
まぁ、そういう事ですか。それなら静かで良いね。
『ロープ』!ビースリの背中にグッチを括りつけた。
よ~し出発!速い速い!速度2割増しですね。
昼過ぎには目的の草原に到着した。お弁当を広げながら計画を練る。
基本的に牙猿は捕食者なので、牛などの草食動物は逃げるだろう。
この草原には他に捕食者は居ないのか?
デカい猫と、それなりの犬が居るそうだ。‥‥グッチ頑張ったな!
グッチは失神から復活して、草原の現状を説明してくれた。
牛がゆっくりしてる時は周囲に捕食者が居ないと考えても良いかな?
まず、牛を探す。数頭の群れで居るハズなので、直ぐ見つかると‥‥
居た!直ぐ分かった!てか、何でこいつらが居るんだ??
そこには、白黒の牛と、茶色や黒い牛‥‥‥ホルスタインと和牛??
ここら辺って草原だけど、日本なら?‥‥お母さんの牧場辺りか?
もうちょっと南東の海に下ったら鯱が居たりしないかな?
お母さんの牧場ってデカい牧羊犬も居たよね?って事は羊も居るかな?
犬が守ってるかな?‥‥あっ!管理してる人間は?居るかな?
一応、見渡す限り草原で、管理棟の様な建物は見えない。
日本では山の中の筈だが、ここは草原である。
牛を見ながら、考えていたら、
「主!近づいて来ます。」
1頭のホルスタイン♀が近づいてきた。
そして、
「牙猿じゃないか!みんな怖がるんだよ!あっちお行き!!」
えぇ~~~!!!追っ払われてしまう?
ホルスタインってそんなに強いの?
ボスは、
「い、いや、そう言う訳じゃ無いですが、草原はアウェーなので本来の力が‥‥」
「攻めてる訳じゃ無いからね。」
「何をごちゃごちゃ言ってんだい?聞こえてないのかい?」
「まったく、あんたらが居たらお乳が出なくなっちゃう若い娘も居るんだよ!」
「聞こえたら、サッサとお行き!」
何もしてないが、ここの草原から追い出されそうだった。。。
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