第26話 役割
「乾杯!」
「「「「「「「「「「「「「「「かんぱーい!」」」」」」」」」」」」」」」
全員でワインを飲む。
苦手な奴は、口を付けなくても良いと言ってある。
何人かは、乾杯だけして好きな奴に渡している様だ。
「皆、お疲れ様です。エルフの皆さんも遠路遥々お疲れ様でした。先ずは私から。初めまして。今回ここを村にするに当たり、初代村長を務めます神田真悟人と申します。どうかよろしくお願いいたします。・・・・・・・」
乾杯後に当り障りのない挨拶をして、それぞれ自己紹介をしてもらう事になった。
先ずはエルフの方々からお願いして、ボスたちの挨拶。‥‥‥
「エルフの皆さま、初めまして。牙猿の代表を務めます。ボスです。・・・」
「エルフの皆さま、初めまして。牙猿代表ボスの嫁1です。・・・」
エルフ達「・・・・・・・??」
あぁ~!そうだった!彼らにちゃんと名前を付けていなかった!
これは自己紹介にならないし、名前が無いと個人を認識することも出来ない。
苦し紛れに、この場で名前を付ける。
「彼女は、ワフワンです。今後そう呼んであげて下さい。」・・・
「彼女は、ワフトゥです。今後そう呼んであげて下さい。」・・・
「彼女は、ワフスリです。今後そう呼んであげて下さい。」・・・
紹介ごとに全員に名前を付けてあげた。
正直言って、苦し紛れに考えた名前。‥‥それでも皆喜んでくれた。
牙猿(♂)はビーワン(B1)~、牙猿(♀)はジーワン(G1)~
ごめんね、適当で‥‥‥
ボス嫁1からはワイフ1~で、ワイフからイを抜いただけだが、ワは輪に通じるなんて‥‥こじ付けも甚だしいか‥‥。
牙猿戦隊の5人はそのまま。レッドからピンクまで、今更変えても混乱するしね。
今後、牙猿達皆の管理はワフスリーにお願いするよ。
仕事を請け負ったワフスリーは目をキラキラさせて、
「承ります!きっと主のご期待に沿えるように精進します!」
固いなぁ~。ワフスリーに仕事をお願いしたら、ワフワンとワフトゥが期待で目をキラキラさせている。あらあら、皆、仕事がしたいなんて‥‥
「ワフワンは服飾から全仕事の統括。ワフトゥは経理ね!。全員スライム先生の元で勉強してもらうから覚悟しててね。」
「「はい!承ります!きっと主のご期待に沿えるように精進します!」」
めっちゃテンション上がってます。名前を貰って仕事も貰った!自分がここに必要なのだと言われた訳だ。
‥‥俺にも覚えがある。これから仕事頑張って必要な人間になるんだと‥‥
俺は挫折した。必要のない人間だった。
こいつらにそんな思いはさせたくない。イヤ、させちゃいけないんだ!
誰だって必ず必要にしてる人がいる。居なかったら俺が必要とすればイイじゃん!
そんな事を考え‥‥周りがシーンとなって注目している。
あっ!そうか。そうだな。皆、自分の存在を確かめたいよね。
「いま、彼女たちの役割を決めた!他の皆は何をやりたいのか?何が出来るのか考えてみてくれ。全員が希望通りにはならない。ただ、これだけは覚えていて欲しい。お前たちの中に要らない奴は居ない!必ず何か持っている。何でも良いからやってみろ!自慢できる事を言って見ろ!お前たちあってのこの村だ!ちゃんと覚えて置け!」
「「「「「「「「「「うぉぉぉぉぉぉぉーーーーー!!!」」」」」」」」」」
皆に響いてくれたようだ。
良かった。皆が居ないと成り立たない。ただ、いきなり初対面のエルフ達の前でやるのは失敗だったか?
ヴィトンが酒持って近づいてきた。
「真悟人。儂にも響いたぞ!エルフも自分の存在を見失ってるものが多い。そんな中で、此の侭じゃいけないと、ここに希望を見出した者たちを連れてきたんじゃ。あいつらは真悟人の嫁となってここを盛り上げようと思って居る。どうかよろしく頼む。」
「そうか。こちら‥‥‥ん?何だって?」
「何がじゃ?」
「嫁?」
「そう。村を大きくするには人が居なけりゃイカン!。嫁として、子を産み、仕事をこなし、家庭を支える。真悟人程の男なら嫁の3人4人じゃ少なかろう。」
「いやいやいや、ちょっと待て!嫁って、あの娘たち皆16、17じゃないのか?」
「ん?ちゃんと成人した娘たちじゃ。何を心配しておる?」
「いやいやいや、いきなりココに来て、このオッサンの嫁になれとか、どんな罰だよ?」
「お主は何を言うておるのか?皆、自分から希望してココに来たんじゃ。さっきも言ったように、ココに希望を見ておる。お主の説法も心に響いたろうて。」
あ~‥‥やっちまったかな?これって逃げられない奴だよね。‥‥
まぁ、エルフの男も居るし、イキナリ惚れたりしないだろう。
ん?エルフの男は残ってくれるのか?
「そう、か。所で、男たちはどうすんだ?残ってくれるのか?」
「あ~~。それなんじゃが、ハッキリ言ってエルフは男が少ない。だから、ここに残してしまうと、今後の発展に支障が出る。だから今は
「そ、そうか。それじゃしょうがないな。‥‥」
エルフの男たちを見ていたら、4人とも近づいてきた。
「真悟人殿、先ほどの説法、心に沁みました。最初は疑っていまして、先ずは一目見てやろうと周りに無理を言って同行させて頂いたのです。‥‥それが、何から何まで驚くことばかりで、さすがババ様のお孫殿でありますな!」
最初から来ていた護衛二人は、そうだろう~!とドヤ顔をしている。
なんでお前がドヤ顔なんだ?
新護衛二人は、さっき言ってた様な動機で付いてきたが、予想以上に素晴らしい食事で、焼肉もドライフルーツも最高だと!さらに酒まで最高だと♪
‥‥‥そっち?そっちですか?
どうやら、男は残ってくれないらしい。‥‥
そうすると、帰りのユニコーンはどうするんだ?‥‥こっそりと聞いた所によると、一応、処女の
後、食事で釣るとか、女子が居ないと苦労が多いそうだ。
ユニコーンって‥‥‥
宴も
そんな中。隅の方で殴り合い・・・喧嘩?慌てて行くと、よっしゃー!との声!
こいつら、力比べしてやがった!そう言えば牙猿達の攻撃方法は拳だった!
あの謎結界相手に、爆発音じみた音をさせてたのを思い出した。
ボスに聞いたら、拳を合わせて友好を図るらしい。だからしょっちゅうやっていると‥‥‥そうか、こいつら脳筋でしたね。忘れてたよ。
それでも妙にノリノリなのは‥‥‥あっ!ワイン樽そのままだった!
皆さん飲み放題で暴れ放題でした。
だから新護衛二人は酒も最高だと言ってたのかぁ‥‥気付かなんだ。
牙猿(♂)達は互いに名前を呼びあい、嬉しそうに、俺の名前はー!って叫んでいる!
そんなに嬉しかったかぁ‥‥もっと早く名前を決めてあげれば良かったね。
嬉しそうな様子に、ちょっとジンと来て涙腺が緩みそうになった。
女子たちは、‥‥ん?居ない?どうしたんだ?
たまたま警備から交代したイエローが走って来たので、捕まえて聞いて見た。
「女子の皆さん、居ないけどどうしたんだ?」
「あっ主!、離して下さい急いでるんです!」
「質問に答えてくれたら離してあげるよ?」
「え~‥‥じゃあ、ドライフルーツ+1でどうですか?」
「ちゃっかりしてんなぁ。いいよ。それで手を打とう。」
「えへへ!ありがと♪ 皆ね、ボスのお家で着せ替えやってるの!だから私も早く行かなきゃ!」
「・・・・・・・・・・」
イエローは走って行った。
着せ替え?‥‥要するにファッションショーをやってるのか‥‥‥
そう言えば、ある程度の布はワフワンに渡してたな。
資材倉庫が出来たら全部出そうとは思ってたが、渡した布で新作でも作ったか?
まったくもって女性の美への意識は恐ろしいものがあるな。
だからこそ、何時でもキレイで居られるのだろうが、頭が下がる思いだよ。
脳筋でストリートファイトをしている牙猿(♂)達。
美の追求でファッションショーをする牙猿(♀)達。
・・・・・・・・
強ければ♀を守れる。養える。♀に頼って貰える。
美しければ♂が守ってくれる、子を産める。子を育める。
自分の価値を誇示するために。
互いに役割を持って、互いに支えあって行くために。
そんな大げさなもんじゃないか!ハハッ。‥‥‥
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