第5話 覚悟ヨシ!!
「合計4億5千万になります。」
「はっ??無理無理!そんなん払えない!!」
「無理でも払ってください。」
「いや!無理だって!」
「それでは借金のかたに・・・・・」
「おわぁ〜~~~~?!」
「あ??‥‥‥夢?。。。夢かぁ。」
借金奴隷になる夢を見た。
「ホントに夢か?夢じゃねーよな?!」
在り得ない金額の買い物をしたはず。
正式な手続きは後日って事で帰って来たが、今更逃げられるわけも無く、今日は住民票やら印鑑証明やらで動かなきゃいけない。
昨日は、たぶんなんとかなるんだろ?な~んて高を括ってた俺も居たさ、しかし、そんな訳ぁ無い!
冷静に考えたら、婆さんは何者か分からないし金は俺のじゃ無いし、買える訳が無いだろ。
贈与税もなんも払えないし、税務署が黙ってないだろう。
トントンと話が進んで舞い上がってたが、そんな美味い 話は無いって。。。
「♫~♪♪♬~♬♪~♪♬~♫♫」
「はい。もしもし‥‥‥はいはいはい。はい。」
書類揃ったら銀行に来いと。。。銀行も不動産屋も、こんな怪しい客になんでそんなに親身なんですか?
金さえ払えば何でも良いんですか?訳分からないですね。
婆さんの話なんて、なんて言えばイイんだよ?まぁ、タダ者じゃ無いだろうし、どんなトリックを使ってるやら?‥‥‥『異界の指輪』なんて持ってるくらいだから、神様、仏様の類か?なら、なんでも在りか!?
現実には、あの婆さんは、赤の他人の知らない人ですが、お金出してくれるって??住所も名前も知りません。・・・・・って、そんな在り得ない話、誰が信じるんだ?!
・・・・・もう、なるようになるか。
婆さんに連絡つく訳じゃ無いし、会社もズル休みのままだから、ちゃんと整理付けないといけないし、もう、後には引けないよな。
最悪は‥‥‥逃亡して‥‥‥‥‥‥うーん。。。。。
キチンと全てに片をつけて後腐れ無い様にしないと、あっちに行っても帰って来れないよな。
必要な項目書き出して、優先順位付けて、効率良く動かないと終わらないよな。
行っても帰って来れなきゃ、広い土地買った意味無いもんな。
手続きしたら、あっちに行く準備だな!本当に行けるか分からないが、ここまで来たら後には引けない。
行き当たりバッタリ過ぎて笑っちゃうが、ここは掛ける所だと思う!!こんな機会、ラノベでも見当たらない。
事実は小説よりなんたら?‥‥‥腹括ってやってみよう!
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怒涛の一か月が過ぎた。
案外すんなりと買えた。
家も不動産屋に相談したら直ぐに売れた。。。意外とまともな金額になった。
駅から徒歩圏内の戸建て住宅。ソーラー乗っけて、オール電化でデカい給湯器つけて、駐車場も軽と普通車停められて、床下収納と屋根裏部屋のある3LDK‥‥‥20年住んだが、いい機会だろう。
賃貸出すことも考えたが、管理を不動産屋に依頼しても連絡付かない大家じゃ迷惑かかるし、それじゃしょうがないかと、売ってしまった。
これで、住宅ローンも無くなって、売却金も入って、口座の残金は‥‥‥俺の口座じゃない金額だよな。
本来の口座は常識的な金額だが、新規口座は‥‥‥もう、恐ろしい金額で小市民の俺はガクブルである!
お役所に目をつけられて、指名手配状態になったら二度と日本には帰ってこれない。
ヤバかったら買えないと分かってても、小心者なんで心配は尽きない。
前の家の家具や家電などはほとんどそのまま、最低限の物を持って越して来た。
車は流石に持ってきた。田舎なので車が無いと生活出来ない。
もう10年落ちのSUV。まだまだ現役で頑張ってる。
車庫証明とかいいのかなぁ?現実的な手続きの心配はここでも!まぁ青空駐車じゃないし、税金の書類の送付先も変更したから大丈夫。
会社は、引継ぎ処理が必要な内容もなかったし、1ヶ月後に退職という形にして、残りは有給休暇の消化。
上司は滅茶苦茶言っていたが、弁護士の連絡先を提示して、これまでの給料明細からタイムカードや勤怠表及び社内規則のコピーを弁護士に提出していること。
退職金やらなんやらの手続きに不備があれば、相応の手続きを行う旨を伝える。
更にボイスレコーダーも見せて、先ほどの会話の内容も精査させてもらうと伝えたら何も言わなくなった。
「ふっ」と鼻で笑ってやった時の、血管が切れそうな表情を見て溜飲が下がった。
異世界行くのに、こんな現実的な社会的手続きで心配するとは思わなかった。
ラノベとかじゃ、みなさん突然行っちゃいますからね。
後先考える余裕もないかぁ‥‥‥って高校生くらいじゃ残った親が手続きすんのか‥‥‥。
残された親は、悲しいなぁ‥‥‥突然!息子や娘が行方不明で手がかりもなし‥‥‥親の気持ちを考えたら悲し過ぎる。
トラックに撥ねられて即死で転生とかも、親はそんなの分からないからね。
異世界行った本人も思い残すこと沢山あるよなぁ~。
ヨシ!!異世界行って、もし日本から、同じ時代から異世界に行った奴が居たら、連れて帰ってやろう!
あっっ!でも、人前では使うなって言ってたな。
連れ帰るなんて出来るのか?‥‥‥まぁ実際に、そんな奴が居たら考えるか。
後は、異世界に行く準備、買い出しをしないとね。
ホームセンター行って、思いつくまま買物をする。
何が必要か分からない。どんな状態で行けるかも分からない。多分、この家から飛んでこの家に戻るんだろうと思ってる。どんな場所に飛ぶかも分からない。
水と食料とサバイバル用品。でかいリュックでカートも持って、ウェストバッグや肩掛けカバン。さらに100均のお買い物袋にまで詰め込んで、武器は鉈に包丁、バールやパチンコ、パチンコ玉まで箱で用意して準備万端!‥‥‥これで大丈夫か?
ラノベの様に都合良くは行かないだろう。‥‥‥思いつつも期待してる。チートでハーレム?ニヤニヤが止まらない。
婆さんはあの日以来、姿を見せない。
なんとなく、あっちで会える気がする。
婆さんは、きっと人じゃない。何者かも分からないが、でも、敵じゃないだろう。魔王だって言っても受け入れられる気がする。
それとも、神様?‥‥‥女神様?‥‥‥無いな。逆に許せない気がするわ!!
女神様って言ったら‥‥‥思い浮かべるのは、やっぱり!!!これが女神さまだ!!ってな訳で、男性の夢と希望と憧れを一身に背負って立つお方! 見目麗しい方のご降臨を願いますわ(^^♪
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さて、いよいよ行って見るかぁ!!
指輪ヨシ!水ヨシ!食料ヨシ!着替えヨシ!武器ヨシ!‥‥‥後は?
‥‥‥覚悟ヨシ!
飛べ!!!!
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
視界が暗くなって、浮遊感と意識混濁、何が起きてるのか一瞬分からなくなる。
‥‥‥段々視界の焦点が定まってきて周囲を確認する。
そこでは‥‥‥何も変わらない家の中。
「えぇ~~~~~~~~~????」
変わってない?飛んでない?
ここって?異界じゃないの??
周囲は飛ぶ前と変わらない家の中。
靴を履くからと思って、上がり框に座って飛んだつもりが‥‥‥
まさか、騙されたのか?でも、金払って土地まで買ってそれはないと‥‥‥半信半疑のまま、ゆっくりと玄関の扉を開けて見る。
‥‥‥開けて、すぐ閉めた。
「なんだ?なんか居たぞ?」
もう一度、深呼吸して少し開けて隙間から覗いて見る。
「猿か?‥‥‥いや、デカいぞ?日本にあんなゴリラなみの猿は居ないだろ?」
目の前には、向かいの木に生っている果実?を齧っているデカい猿が居る。
顔は黒い。身体はシルバーの毛並みに覆われている。顔には、下あごから牙が飛び出している。
「ありゃ、ヤバいよなぁ。草食には見えないし、友好的な関係は無理そうだ。」
「‥‥‥異界の第1発見者が、いきなり狂暴そうな猿とは‥‥‥つか、本当に異界に飛んだんだな。」
扉を静かに閉めて、荷物を下ろし、しばし考える。
この家ごと飛ぶとは思ってなかった。
このデカいリュックなんかに、一生懸命吟味して詰めた俺の努力を返してくれ!
まぁ、それは良いとして、あの猿はどうするか?‥‥‥
しかし、あの猿の前に単身で飛んでたら、その場で終わってた気がする。
牙がデカいから牙猿と呼ぶか。
牙猿が家の中に襲って来たら太刀打ち出来ない。このまましばらく居なくなるのを待つ方が賢明か?
持ってきた武器は包丁や鉈。決して戦うための武器では無い。
更に、剣技も格闘技もなんの心得のない俺が、戦う事自体が無謀だよな。
異界・・・・異世界なら、ステータス画面とか、スキルとか、魔法とか、何かないのか?
・・・・・・
・・・・・・
・・・・・・
何もなかった。
分かったのは、異界の指輪にはスキルがある。
ただし、今使えるのはアイテムBOX!!
すっげー嬉しい!!
やっぱ異世界ったらアイテムBOXだよなぁーーーー!!
定番!憧れ!のアイテムBOXだよぉ♪
でも、、、今じゃねぇーーーよぉ~~!!!
今、使いたいのは違うよぉ!!
はぁ~~~~。取り乱してしまった。
さて、牙猿は居なくなったかな?
とりあえず包丁。じゃ怖いから、バールを持って、ゆっくりと扉を開けて見る。
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