第26話私たちは、絶対に

「いやー!」


クリスの声が叫び声が響き渡る


「アリス!クリス!」

リリスが二人の方へ走り出す

だが、見えない壁にバンッ!と吹き飛ばされる

「リリス!!」

 リリスが、カフル達の方へ飛び転がってきた

リリスの方へ駆けよるカフル

だが、衝撃で気を失い倒れこむリリス


「リズル!」

 傷だらけのアーベル大佐、ゆっくり体を上げリズルを呼ぶ

「アーベル大佐!」


「ちょっと、動いたらダメじゃないの!」

 ノーツ医師が、アーベル大佐の頭をべしっと叩く

「うぐっ…」

アーベル大佐は痛かったのか倒れていく


 そんなやり取りの中、兵隊が一人、リズル達へ近寄ってくる

「すみません、皆さん」


「あっ?誰よ今忙しいんですけど!」

 兵隊にちょっとキレるノーツ医師

ノーツ医師の気迫に、少し怯えつつお辞儀をする兵隊

「申し訳ありません。上層部より全ての者は、シェルターに避難せよと連絡です」


「全ての者ぉ?」

 ノーツ医師が怪訝そうに聞く

「はい、例外はアリス・ルーグ、クリス・ルーグだそうです」

 兵隊の言葉に呆気にとられるリズル達

「はぁ?!マジ?!」

 ノーツ医師は兵隊に詰め寄る

「ふざけてる……」

 アーベル大佐も呆れ、言葉を無くす


 リズルは歯をくいしばり、意を決する

「その者…上層部に伝えよ」

 クリス達を見つめ、語気を強める

「私たちは避難をしない。二人に儀式なんかさせない、二人は生きて帰ってくると!」



『クリス…痛い?苦しい?』

 クリスに魔力を与えているバルト

『でも、もう少し我慢してね。あとちょっと…』

 与える度にクリス達の周りを包む光も明るく強くなっていく

「いやぁ!」

 その度に苦しそうに叫ぶクリス

『うーん、久々だから忘れたのかな?そんなことないか』

 この状況を楽しんでいるバルト

「アリス…止めて…」

 クリスは首をふり、涙声で話しかける

『もう、アリスはいないよ。残念だね』

 クスクス笑うバルト

『だからもうこの世界に生きる意味ないでしょ?じゃあ、好都合じゃないか?』

 更に魔力をクリスの方へと与えていく

その度に苦しそうにクリスがもがく

「いやー!」

 クリスの叫び声が響き渡る


「どんどん力が強くなっている」

 ノーツ医師は、絶望的な表情

「だが、私たちはここで引くわけにはいかない!」

 リズルは立ち上がり、クリス達の元へ走り出す

「アリス、クリス!」

 光の壁を裂こうと、試みるリズル

だが、力むなしく、再び跳ばされてしまう

「リズルさん…」

 その姿を見ていたクリス、涙も渇れはて目も赤く、声も出なくなってきている


『ごちゃごちゃうるさいな、もう少しなのに…』

 リズル達の行動に苛立つバルト

だが、クリスに与える力は止まらない


『さてと、準備完了』


 突如、強い光が、二人の周りに包み込む


『始まるよ、ルーグ家の、双子の災いが!』


 バルトは喜び、大声で笑う

光が二人を包み込んだ、その時、バルトに似た声が何処かから聞こえてきた


「バルト…もう止めよう」

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