第20話待ち合わせは魔術本部

 魔術本部の医務室

ベットで寝ているアリスを囲むように、ノーツ医師と、上層部達が話し合いをしている


「そろそろ危ないです」

 真剣な表情のノーツ医師

「避難指示および避難経路は?」

 

「はい、下位隊員および、非能力員は本日夜から、本部シェルターへ行くように指示しています」


「クリスちゃんはどうするの?」

 心配そうにノーツ医師が質問をする


「このまま、リズル少佐と共に同行していてもらおう。シェルターで、何かが起こっても困る。なるべくアーベル大佐も共にいるよう指示をしている」


「クリス・ルーグも本部にいるのも危ないのではないか?」

 上層部の一人が疑問を問いかける

「しかし…」

 別の上層部の一人が、言葉を遮るように話をすると

他の会話が続き、医務室が少しずつ荒れ始めた頃、コンコンとドアがノックする音が聞こえた


「はい、どうぞー」

 ノーツ医師が、部屋の雰囲気と真逆の明るい声で、返事をする

 一人の兵隊が医務室に入りお辞儀をすると、報告を開始する


「失礼します。先程、アリス・ルーグの家に行っている部隊から連絡があり、二人の祖母、母と二人の家で会ったと連絡があり、今こちらへ向かっている。とのことです」


「えっ?マジ?」

 予想外だったのか、思わず呆気にとられた返事をする

上層部達も、兵隊の報告にざわめき始める


「こちらへの到着は?」


「はい、約2時間ほどかかると思われます」

 

「ふむ…クリス・ルーグには二人の存在、到着は内密に。かつ、本部に入る際は、注意するよう伝えよ」


「了解しました」

 報告に来た隊員が敬礼をして、医務室から退出する


 退出した兵隊を見届けると一人の上層部が皆に声をかける

「では、そろそろ。私たちもこの子らの祖母達を迎える準備でもしようか」


「うむ…そうだな」

 その一言をきっかけに、ぞろぞろと医務室に出ていく上層部の面々

全員が出ていくと、ノーツ医師が、疲れた様子で椅子に座る


「はー。どうしましょ?」

 腕を組み、ぼーっとしていると、部屋にまた兵隊が入ってきた

「すみませんノーツ医師、怪我人がでました。別室にて手当てをお願いします」


「はいはい」

 椅子から立ち上がり、部屋を出る

再び、医務室にはアリスと、部屋の外に魔術をかけ続けるための数名の隊員のみになる


『クリス…』


 静かな医務室にポツリと聞こえる小さな声


『クリス……どこ?』

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