第4話何があった?

とある部屋の前についたリズル少佐


「すまない。ここが、クリス・ルーグの部屋か?」

部屋の前にいた備兵に尋ねる


「そうです。リズル少佐には特別許可がでています。どうぞお入りください」


備兵がガチャとドアを開けると、大きな窓のある部屋。窓の側にある大きなベッドに座り、外を見ているクリス・ルーグがいた


「失礼、入るぞ」


リズル少佐の声に答えず、じっと外を見ているクリス・ルーグ


「気分はどう?食事は取った?」

質問しながら、クリス・ルーグの元へ歩くリズル少佐


クリス・ルーグはリズル少佐が右隣に着いても、リズル少佐を見る事なく、窓を見ている

「クリス・ルーグよね、改めまして、私はリズル・ファルム。リズルって呼んで、私はクリスと呼んでいいかしら?」


クリスは答えずじっと外を見ている


「さっきまで、たくさんのおじさん達が色々聞いてたそうね、疲れたでしょう」


「…」


「隣座っていい?」


クリスはコクリと頷く


「ありがとう」

と返事をしたあとクリスの右側に座る

しばらく、二人は外を見た

陽射しが入り込み、窓の外では鳥が飛び、風が流れ、木が揺れている


リズルが、再び話し始めた

「ここは、この本部でよく景色が見える部屋なの」


そう言うと立ち上がり窓の方へ歩きだした

「窓は防犯上開けれないけど、その分景色見ようってことで、窓を大きくしたみたい。あまり使わない部屋だけどね」


じっと外を見るクリス

リズルは、窓の側に着くとくるっと回り、窓に背を向けクリスを見る

「クリス、私が来る前、何があったの?」

真剣な顔をして、クリスに問いかける

「あなた達は本当にルーグ家の双子?」

クリスは問いかけに答えず窓を見ている


リズルは話を続ける

「君の姉、アリス・ルーグは無事だ」


「…えっ?」


「医務室で寝ている。大怪我だったが、容態は安定している」


「そんな…」


「何があった?」

「…」

「お母さんは?お父さんもどこ?」

「…」

「連絡取りたいけど取れないの。教えてくれる?」


「…!」

突然、走り出すクリス

「待て!」

すれ違いざま左腕を掴んだリズル

「はなして!」

リズルを睨むクリス

「落ち着け!アリス・ルーグは大丈夫だ。今は目覚めん!」


「でも!」

クリスは掴まれた腕を降るが、リズルも力を込めて離そうとしない

「アリス・ルーグは、我が本部総出で、眠りの術をかけている。しばらくは起きない。だが、君達がルーグ家の双子なら話しは別だ。だから、話が聞きたい。」


「はなして!」


「クリス・ルーグ、私達はルーグ家を探している。半年前から、君達の一族と連絡が取れない」


リズルの言葉を聞いて、クリスの動きがピタッと止まった


「…お母様、おばあ様」

リズルは手を離し、膝を曲げて、クリスと目線を合わせる

「君達、双子の事も聞きたい、だから…」

「……アリス」

「君もアリス・ルーグも助ける。教えてくれる?何があったの?」


クリスは、少しずつ涙目になっていく


「……本当に?アリス助けてくれる?」

「ああ」

「お母様も?みんな?」

「ああ、もちろん」


緊張の糸が溶けたのか、クリスは、ウワッと大声で泣き始めた


リズルは、クリスをギュッと抱きしめる

「ごめんね、ツラいだろうけど何があったか教えて…」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る