第2話双子の体調

 ピッ…ピッ…。


 心電図の音が鳴る医務室に、一命をとりとめたアリス・ルーグがベッドで寝ている。その姿を無言で見つめているリズル少佐。

ガチャ。とドアが開き恰幅の良い男性が入ってきた。

「リズル。ここにいたのか」


 声に反応して、ドアの方に振り向く。

「アーベル大佐…」


 アーベル大佐と呼ばれる男性は、パタンとドアを閉め、リズル少佐の隣の方へ歩いていく。


「どうだ?双子の様子は」


「姉の方は大怪我でしたが、今は落ち着いています。妹は、本部に着いた時に倒れてしまい、検査を行っています。結果、魔力の使いすぎによる過労となり、2日ほど寝ていましたが、今朝目覚めています」


「そうか…」


「目覚めて早々、身体検査及び取り調べをしており、少女には負担となると思うのですが…」


「事態がな。仕方あるまい」

「そうですが…」


 会話が途切れ、二人はじっとアリス・ルーグを見つめる

ピッ…ピッ…と心電図の音が鳴る。


 ガチャ。と再びドアが開いた。

「あっリズル少佐。それにアーベル大佐もご一緒ですか」

 白衣の女性が大量の資料を持って入ってきた。


「ノーツ女医、クリス・ルーグの様子は?」

 リズル少佐が聞く。


「異常なし、ちょっと疲れてるみたいだけど健康よ」

 コツコツと靴を鳴らし、二人の横を通りながらノーツ女医は答える。


「そうか、それは良かった」

 ホッとした様子のリズル少佐。


 ベッドの横にある机に、資料をドンッと乗せ、ノーツ女医が話を続ける。

「ただ、取り調べは何一つ進んでなくてねー。みんなイライラしてるみたいで、こっちが不健康になりそうな感じ」

 キィと椅子を鳴らして座り二人の方へと向いて、会話を続ける。

「っていうことで、リズル少佐にクリス・ルーグに会って情報を得るように、と命令が出ているわよ」


「私に?」


「そう、取り調べをした人達、強面のおじ様ばかりだったし、年齢も近い女性が良いだろうって事でね、ルーグ家の娘ってことで無下にもできないし、大分焦ってるみたいよ」


「しかし…」

 困った様子で返事をするリズル少佐。


 その隣で腕を組み、何か考えてる様子のアーベル大佐。

「ふむ、なかなかの重大任務だな…」

 リズル少佐に話しかける。

だか、リズル少佐は返事をせず、アリス・ルーグを見つめる


 ふと静かになった医務室。

再びピッ…ピッ…と心電図の音が鳴る。


 突然、パンッ!と音がなる。

ノーツ女医が両手を合わせ鳴らした音だ。


「ってことで、お二人さん退出願います。これから、アリス・ルーグの身体検査なので」

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