ルーグ家の双子

シャオえる

第1話アリスとクリス

「アリスごめんなさい…こうするしかなかったから」


 下を向いて泣いている女の子。

隣に同じ顔の女の子が倒れている。


「女子二人発見!至急応援を頼みます」

 女性の声が聞こえた。

「大丈夫?ケガはない?」

 長髪の女性が女の子に近寄る。


「二人の名前きいてもいい?」

 女性は女の子の隣に座り話しかけるが、女の子は返事をせず泣いている。

「私はリズル・ファルム。先程ここで、巨大な魔力の使用あり、と連絡を受けて来た魔術警備部の少佐だ。二人とも大丈夫?」


 リズル少佐は二人の少女の顔を見た。

「んっ?二人とも顔が似てるけど…双子?」


「リズル少佐!」

 リズル少佐と同じ服装の男性が数人駆け寄り辺りを見回している。


「少女二人の手当てを頼む」

 立ち上がり部下に指示を始める。


「はっ!」


 治療班だろうか、医療器具を持って、女の子二人に近寄る。

「これは…酷い怪我だ、すぐに手当てを…」

倒れている子を見て救護班の応援を呼び始めた

「君も…」

 泣いている子の顔を見て声をかける。

「いや、この子は私に任せて倒れている子の処置を頼む」

 リズル少佐は少女の様子を見て救護班に声をかけた

「了解!」

 救護班は、倒れている女の子をゆっくり担架に乗せ、運び始めた。


「ダメ!連れていかないで!」

 泣いている女の子が大声で止める。


「案ずるな、あの子は助ける。多少傷は深いだろうが心配ない」

 リズル少佐は優しく声をかける。


「ダメなの!私が殺さなくちゃ!生きてちゃいけないの!」


「なっ…」

 リズル少佐は言葉に詰まり、周りは少女の言葉に静まり返る。


「……構わず救護を。話は私が聞く」

 救護班に指示を出す。


「了解」


「ダメ!」

 救護班の後を追おうとする少女。

だがリズル少佐が少女の手を掴み止め話しかけた

「ダメダメとだけ言われても困る。君たち名前は?ここで何があったの?」


 リズル少佐が話をすると、少女は黙りこむ。


「どちらにせよ、君は私と共に魔術警備本部に来てもらう。傷の具合、魔力の使用と君の発言、話が聞きたい」


 少女は、リズル少佐を睨んでいる。

リズル少佐は「ふぅ」とため息をつき、少女の手を離し無線機を取り出した


「こちらリズル・ファルム。少女1名と共に本部へ戻ります」


「…クリス」


「んっ?」


 少女はゆっくりと話し始めた。

「私はクリス、あの子の名前はアリス」


「そうか、クリスとアリスというのか。ではクリス、私と共に来てくれるか?」

 リズル少佐はクリスに手を差し伸べるが、クリスはうつ向き手に力を入れているのか、少し震えている。

「どうした?」


「私はクリス・ルーグ。ルーグ家の双子の妹。アリスはお姉ちゃん、母様は私達は一卵性の双子って言ってた…」


 リズル少佐は驚いた顔をした。

「ルーグ家だと?巨大な魔力…双子…まさか!」


「救護班!」

 無線機で、呼び始めた。

「はい、どうしました?」

 救護班が答える。

「先程の子は、ルーグ家の双子の姉だ!」

 リズル少佐が、大声で叫ぶ。

 無線機から、ざわついた音が聞こえる。

「救護は慎重に行え!至急本部に連絡を頼む。私は妹と共に本部へ向かう」

「了解!」

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