第4話
モンブラン真上から見ると、よくある基本的な形のものに見えたが、横から見ると三層に分かれているようだ。
スプーンであたりを決め頂点の栗とその下の生クリームごと、その下の三層まで大胆に掬っていく。
「大学ってどんな感じ?」
微妙にタイミングの悪い質問に視線を向けると、質問しておきながら興味もなさそうに目の前のチョコケーキにフォークを当てていた。
しっとりした濃厚そうなケーキ。フォークも反射しそうなチョコのコーティングはフォークに押されて割れた。
「なんでしたっけ?」
社長が顔を上げる。
「大学・・・どんな感じ?」
「授業受けて、課題こなして、終わったらバイトする。そんな感じです。」
「そんなもんか・・・」
ケーキを口に運ぶ。
「そんなもんですよ」
生クリームはミルク感が強く、それが全体をうまく繋いでいた。
流行りのテレビの話に、アイドルオタクと思われない程度にドラマの話をしたりしつつ、モンブランを攻略していく。
社長のラジオからはどっかの映画の一場面で聞いたようなジャズっぽいのが流れていた。
***
「さっきの相談の仕事について行くっていうのなんですか、大した事できないですよ」
いろいろ確認しておかないと。
「最初の面談は終わっていて、報告程度なので、大したことは必要ないんだが・・・」
顎を撫でながら、視線を上に外して難しい事を考えてそうな顔をしている。
「見てて気になることないか、報告終わったら教えてくれればいい、多分、危ないことはないよ」
いらない一言で急に不安になる。
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