第691話 下調べと下準備
まずやること、片付け。
廃屋の周りはツタや小さな雑木がたくさん。周りどころか家にもにょきにょき生えてるけど。
草を刈って木を切って……集めて運ぶはずのところ【収納】。とりあえず【収納】できる状態にしてゆく感じ、【収納】があるだけで格段に楽!
精霊が何だ何だと寄ってくるので、エクス棒に相手を任せ、黙々と作業。
どこから来たのか謎な感じの土をどけ、崩れてしまっている石壁、落ちてしまった屋根の薄い石をサルベージ。
屋根瓦は川や湖の底にたまった泥が長い年月を経て固まり、さらに圧力がかかってできた粘板岩。これ、剥がれるように薄く割れて、中原でもあちこちで瓦に使われてる。
落ちて割れ、小さくなっちゃったのは瓦には使えないんで、足りない分は調達しないと。
崩れかけてるところは崩してしまって、【収納】。がんがん邪魔な物を撤去する。一番シンプルな状態は更地だけど、建物は再利用する気満々。
木でできた部分は状態が悪いんで、折ったり外したり剥がしたり。埃まみれになるところを風の精霊にお願いして1箇所に集めてもらったりして回避。
太陽が真上になったんで休憩を入れてお昼。
「エクス棒、お昼にするぞ」
「アイアイサー!」
元気よく返事をするエクス棒。
突き立ててあった地面から引き抜き移動。エクス棒は半分物質というか、木の棒なんで自力では動けない。もともとの精霊の木(?)も本体ごと半精霊化してるみたいな木だったんだけどね。
本体からあんまり離れられないけど、自由に動き回れるようになるのは、シャヒラみたいに姿を本体から分つことができるようになってから。まあ、要するに『完全に精霊部分』ですね!
エクス棒はまだ木の枝に腹から上がくっついてるみたいな姿なんで、自由に出歩けない。
ちなみに本人、元気屋な割に自分で動くことを望んでない。なんでって? たぶん手に入れた時、俺が家の暖炉で温まることを考えてたからです。冒険は冒険として楽しいけど、寒かったり暑かったりすると部屋が恋しくなるのはしょうがないと思います。
柔らかな草の生えた木陰でお弁当を出す。
「何だ?」
「焼きそばとはしまき、唐揚げとポテト」
本日はジャンク好きのエクス棒に祭りの屋台風で用意した。
焼きそばは肉もキャベツ増量、はしまきは特にアレンジせずに揚げ玉とネギ主体。コーラも用意した。
「おお? いい匂いだな!」
ソースの匂いに食欲をそそられるのはエクス棒ものようだ。やきそばは持ちやすいようちょっと小さめの皿に山盛りで渡す。
エクス棒は腕力で持ち上げているわけではないみたいで、重さは関係ないのだが、大きすぎると取り回ししづらそうなんで。
俺ははしまきから。はしまきは小麦粉と卵を溶いたものに、揚げ玉とネギなどを入れて焼き、名前通りお箸にまいたやつ、そこに鰹節とソースとマヨネーズ!
エクス棒もあっという間にやきそばを食べ終え、はしまきにいってる。相変わらずの早食い。
「おー! バーガーもいいけど、こういうのもいいな!」
嬉しそうな顔で笑う。
エクス棒の今の所の一番はハンバーガー、チーズ多めの目玉焼き入り。色々食べさせたい気もするけど、どうもお菜がたくさん! みたいなのは面倒が先にくるようであからさまにテンションが下がる。
人間と違って栄養が偏るとか健康が〜というのはないので、本人が好きな物を出してる俺です。
それにしても、なんかここに住んでいた人、精霊に色々してもらってたみたい? 家の土台もこっちのものにしてはだいぶ頑健、土が流れないよう石で囲った畑らしき跡もあった。
――たぶん土、石の精霊かな? 手伝ったっぽい精霊の気配は感じないけど、ひとりで作ったにしてはできが良かったり、ここにこれがあるのは……っていう跡が残ってる。
エクス棒の早食いに引っ張られて、俺も普段より早く食べ終える。
さて、一応精霊的な確認もしとこう。大きな精霊がいて、縄張りを主張とか困るし。視える範囲にこの場所に固執しそうな精霊はいない。
地面に手をついて地中の精霊の気配を探る。こっちに興味を持ってよってきたのには挨拶して、希望があれば名付ける。
日本人なんで、家の建つ場所の地盤は気になるし、ついで強化。ダメ押し強化。こっちで地震には一回しかあったことないけど。
クセのありそうな精霊がいないことを確認して、片付けと調査は終了。で、残った家の土台や石壁、周囲の広さや傾斜を書き取る。家の間取りと庭木の配置を考えてたあと、建材の買い出し予定。
建材は地元のものを使った方が気候に合う場合が多いんだけど、木材なら黒山ちゃんの木々の方が目が詰まって丈夫だし、魔物素材もあるからね。
外見は周辺の家々とあんまり変わらないようするつもりなんで、地元の建材もチェックするよ!
いや、いかにも賢者の住まいです、な古色蒼然とした外観のほうがいいかな。迷う。
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