ジン

幸せとは何だろうか?


誰かにとって収入を得る事、誰かにとって愛を掴む事、誰かにとって敬意を集める事。

いわく、十人十色という言葉があるのだから人それぞれ多様な価値観があって当たり前だ。それでも良いと思えたのはいつまでだったのだろうか…


僕には何も無い。才能も知識も顔も心も地位も友達も彼女も何も無い。特技も、だ。

そんな僕に唯一手を差し伸べたのはネットだった。

僕がネットに入り浸るようになったのは中学一年生の頃である。(今となってはそれが良かったのか全く分からない)


丁度その日は教室で堂々と一人昼食を食べていた。五月の半ば頃、ジメジメとしていて教室内には様々な派閥ができていた。

僕は当然のようにどの派閥にも入らなかった、いや、入らなかった。

僕の考えを理解し共感するような人はこの教室にはいない、僕はただただ自然体に馴染みたくなかった。


不自然でいたかった。


不自然とは孤独であり、個性であり、逆流であり、革命であるからだ。


とそうは言っても一人であれば何も出来ない。そんな事は重々分かっているつもりだ。


だから、どうしようも無い行き当たりバッタリの現状をどうにかしようと

藻搔いていた。そんな時に漂着物のように辿り着いたのがTwitterだった。

Twitterは2006年7月に開始されたWebサービス。そのサービスの名称通り、さえずりや無駄話を意味している。

僕はそのさえずりで"自然"を"不自然"に"不自然"を"自然"に変えようと考えた。気分はさながらナポレオンだった。


けれどもその、小さなさえずりを多くの人間から見て貰うには時間がかかる。そしてその時が来るまでにどれほどかかるのかは計り知れない。

そこで僕は、ある方法を思いついた。


ネット掲示板を利用してグループを作る方法だ。

さえずりを起こす為の大きな木、になる苗を植える。

"趣味"の話題を装ったグループだ。それを使えばどんな人間であろうとも簡単に、効率良く、同士として生かす事が出来る。

なので、Twitterを進めると同時にグループも作った。作ってから三ヶ月でグループの総人数は300人を超えた。

案外こんな簡単な手に引っかかる人間が多い事に拍子抜けしてしまった。

それなりに愛想良く振り向くだけであっさり人は集まってくる。


グループ名はディベロッパー

グループの名の由来は話題になった新作のゲームタイトル


意味は再開発



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