セックスできてキスできない俺の彼氏(後編)

「おいこらおっさん!今すぐ手ぇ離せ!」

思わず飛び出してしまった。

「はぁ……彼氏くんが来ちゃったらしょうがないねぇ」

ミシェルは、今度イチャイチャに混ぜてね〜、と言いながら部屋から逃げるように出ていった。


「危なかったぜ……」

「危なかったって何が?」

「え……?何がって……そりゃあ……」

何がだ??

ミシェルはポーズを無理やり襲ってやろうとか、そういう感じではなかった。

じゃあ俺は、何を心配したんだ??


――ポーズを取られること?

「んー……よく分かんねぇ」

「は??意味わかんない……ところで」

ビクッ!

「な、なんだよ」

「普通のキス、する気になった?」

やっぱりか〜〜〜!!!!!

「なってなかったらどうすんだ?」

「もうせっ……えっちしない」

「えっっそれは困る!!!」

「じゃあして」

そう言って、ポーズは目をつむり唇をこちらに向ける。

「……ごくり」

こうやって見るとポーズってほんと女の子みたいだな〜……

「はやく!!」

「ヴッッ……はい……」

目をつむったままキスを早くするよう催促してくるポーズ。そんなに普通のキスがしたいのか……

覚悟を決めよう。……やるぞ。


ポーズの顔に優しく包むように両手を添える。

「……愛してる」

ちゅ。

「……ん、したぞ」

「うん」

「うんってなんだよ!!俺が珍しく頑張ったんだぜ!!?お返しセックスは!!?」

「バカじゃないの。普段のお前に俺がどれだけ尽くしてやってることか」

「毎日性欲処理ありがとうございます」

「言い方変えろしね」

「今日のポーズくん辛辣ぅ〜‪w」

俺がそう言うと、ポーズが少し駆け足になり、俺を追い抜き、振り返って――


「さっきはありがと。普通のキスは下手くそだな、バカバルド」

といたずらな笑みを浮かべて言った。

そして足早に去っていく。

「……なんだあいつ、かわいいやつだぜまったく……」

そう言うバルドの顔は緩みまくりで、にやけきっていた。



――と、ミシェルがみんなに話して回るのに気付いたバルドが、ミシェルを掘ろうとしたとかしなかったとか。

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