きょうだいは たくさんいるけど

きょうだいは たくさんいるけど

私が一番モテると思うの


私が姿を見せて 嫌がる人はいない

むしろ 早く来てほしいって

みんなに恋い慕われるくらいよ


兄さんは 最近ちょっとやり過ぎだから

前ほどモテなくなったわね


熱くなり過ぎないでって言ってるのに

加減を忘れちゃったみたい


だから みんなに持て余されてる

あいつが来るなんて ウンザリだよって

そのかわり 私にずっといてほしいって


私だって できることならそうしたい

でもね そうはならないってもんがあるの

太古の昔から この星ではそう決まってる


ずっと そばにはいられないから

会えたうれしさは 格別でしょう?

浮かれてヘンになるくらい 私の虜になってほしいのよ


弟は 死んだように引きこもったかと思うと

思い出したように大暴れしたり

ヤツなりの理由があって 自己主張してるらしい


これじゃあ あまり好かれないわね

そのまま 暗く 沈んでいてくれたら

私の魅力が引き立つかしら


最大のライバルは 年の離れた姉さんだけど

あのどこかホッとさせる懐の深さは

私にはない 年の功ね


憂いを秘めた後ろ姿や 物静かなたたずまい

根強い 姉さんファンも多いけど

私の若さも 捨てがたいでしょう?



私も早く みんなに会いたい

一年なんて待てないよ


だけど 一年が短かったら

待ち焦がれる時間も味わえないよね


私たちは 四人きょうだい

来たり去ったり 順繰りめぐる


でも 早く来いって歌われるのは

私だけだよね

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る