第105話 不死騎手
竜王の死骸ダンジョン。
入り口付近は人の出入りが多かったが、奥に進むにつれて人は少なくなり、アンデッド系モンスターが姿を見せるようになってきた。
斥候役のベルトがモンスターを討ち、取りこぼしたモンスターもノリスとメイルは対アンデッドの専門家。
何の問題もなく奥へ……奥へ……通常のパーティなら3日かかる道のりを半日で踏破した。
しかし、ここからが問題だ。
アンデッドが強化される夜が来る。
闇の気配が濃さを増すのに比例して特殊なアンデッドが姿を現す。
明らかに冒険者の成れの果て…… 生前の精彩は失われ、ぎこちない動き。
メイルは1体1体倒すたびに心の中で祈りを奉げていた。
やがて先行していたベルトが戻ってきた。
「気をつけろ。奇妙なモンスターがいる」
「奇妙……ですか? どのような……」とメイルは聞き返そうとしたが、途中で言葉が途切れた。
爆音。
巨大な音をばら撒きながら、何かが近づいてくる。
そして、それは――――速い。
「あれは不死騎手アンデッドライダーだ」
ベルトは物陰に隠れ、ノリスもメイルも後に続く。
「騎手? このダンジョンで何に騎乗している?」とノリス。しかし、ベルトは――――
「わからぬ」と首を横に振る。
百戦錬磨のベルトですら分からぬ乗り物とは?
それが肉眼で捉えれる距離まで迫った。
アンデッドが乗っている物。それは――――
自動二輪車バイクだった。
何らかの生物の骨をドーナツ状に削られた前後2つのタイヤ。
いや、タイヤだけではない。 全体が何らかの骨で形成せれている乗り物。
燃料は、もちろん化石燃料。
ここは竜王の死骸ダンジョン。 生物や植物が圧縮され、熱されて出来た液体が大量に貯蔵されている。
しかし、アンデッドがバイクを作ったというのだろうか?
いやいや、そんな馬鹿な。 何者かがアンデッドにバイクを与えたと考えるのが正しいだろう。
ならば、何者が? ――――いや、決まっている。魔王軍からの支給された物に決まっている。
そして、不死騎手は隠れているベルトたちに気づいた。
「散開しろ!」と叫ぶようにベルトが物陰から飛び出す。
高速で迫るバイクの囮として飛び出したのだ。
不死騎手はベルトに狙いを定めるとアクセルを吹かして加速。
「――――ッ!」と瞬発力の高いベルトですら回避するに焦りを覚えた。
さらに厄介なのは左右2本の装備がある
(前方で迎え打つのは無謀。……さて、どうするか?)
ベルトは思考速度を加速させる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます