テーマ「雪」



その輝きを君の手に


朝の澄んだ空気がキラキラ輝いていた。ダイヤモンドダストだ。「綺麗」「欠片を持って帰ろう」言って彼は宙を掴み、握った。「どうぞ」次に開いた手にはダイヤモンドのリング。「キザね」「嫌い?」「ううん、好き」




苦しみの先に出会う


雪のように積もる苦しみを転がして歩いてきた。雪玉は転がす程に大きくなり、もう限界だと思った時、君に出会った。君は自分の雪玉をひょいと重ねてみせる。現れた雪だるまに僕は笑って、したり顔の君を抱きしめた。




雪と言えば足跡トリック。名探偵の盲点


「見てみたまえ、雪の上に足跡がひと組しかない」先生は口ひげを撫でながら言った。「ということはこれは密室殺人だよ。ううむ、犯人はいったいどんなトリックを使ったのか」私は答えた。「でも先生、凶器は銃です」




静かな協力者


夜半から降り出した雪が車体を半ば埋めていた。それを確認し、震える手でエンジンをかけ、暖房を入れる。生暖かい空気と鼻をつく臭気に目を閉じた。私の死は事故として処理されることだろう。雪は私の良き協力者だ。




*ダイヤモンドダスト(細氷)は降水現象のため、天気分類では雪に含まれる。晴れていてもダイヤモンドダストが発生すると、その日の天気は雪となる。不思議。

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