6月

2019年6月2日  「美少女からの告白」


財布をなくした不幸も帳消しだ。放課後の人けのない校舎裏。学年一の美少女鶴さんと二人きり。これは告白されると期待に胸膨らませる俺にすいと財布が差し出された。「私がったの。ごめんね」告白をされた。罪の。




2019年6月9日  「アイドルとマネージャー移動中」


「マネージャーって守銭奴って感じがするね」「そうか?」「だってさ、Money(金)じゃー!でしょ」「そうだな、だから俺はお前を守るんだ。なぜならお前は金そのもの。I(アイ)$(ドル)だからな」「さぶっ」




2019年6月16日 「次の別れには」


行かないで。その一言がどうしても言えなかった。彼は全部自分で決めた。この別れだってそう。私は呆然とするだけで泣きすがることもできなかった。今度誰かを好きになるなら別れの時に行かないでと言える人がいい。




2019年6月23日 「白い涙」


くせでまた牛乳を買ったことに気付いて溜息をついた。もういらないのに。牛乳は嫌いだ。味もにおいも、彼を思い出すとこも。捨てるのも勿体無いと少し飲んだ。吐き出す。シンクに流れる白い液体。これはきっと私の涙。




2019年6月30日 「迷子」


毎日同じ迷子放送があると勤め始めてすぐ気付いた。「この子いつも迷子ですね。どんな子か見てみたいです」そう言うと先輩は壁の張り紙を指さした。そこには少女の写真と三年前の日付、探していますの文字があった。

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