すごい……!とてもよかったです。今村夏子さんの作品を初めて読んだときと似た衝撃を受けました。
他の方もおっしゃていますが、文章だけでなく構成もよく考えられていて素晴らしいですね。すべてのシーンに意味がある。お手本にしたいです。
全部のシーンが好きなのですが、特に好きなのは……
>「ほんのひとつまみの甘い誤解を温めて膨らませて――虚しい期待を育てていくの。わたあめみたいにね」
このシーンです。片思いをわたあめに喩えるとは……!「甘い誤解」に「虚しい期待」――その若さでこうも見事に恋愛の本質をつくとは、脱帽です。
この部分は、読み終わった後にじわじわと効いてきますね。最初からどこか「悟った」感じを醸し出していたナツコですが、わたあめを見ていたときは、まだ淡い希望を持っていたのかな……などと考えたりしました。
他にもおばあちゃんへの嫌悪感の書き方や、後半に進むにつれてどんどん存在感を増していく不穏な空気がとても印象的でした。
いいものを読ませていただきました。ありがとうございました。
作者からの返信
ご高覧ありがとうございます。
と言うか、七海まち様は角川つばさ文庫小説賞の金賞受賞者様ではないですか!
こんな場末まで足をお運び頂き恐縮というか、ホントにご高覧痛み入ります。
その上芥川賞作家様のお名前まで……。舞い上がりました。ありがとうございました。
わたあめの文章は、私自身がこの作品で1番実感を以って書いた部分なので、そこに注目して頂けたことは本当に嬉しいです。
今は受験で停滞していますが、無事大学生になれましたら、七海様のコメントを励みに精進していきたいと思います。
♡と★★★をありがとうございました!
手首の結合部……マネキンが出て来た時点で伏線があったのですな! 主人公が徹底的に自分に都合の悪い事象を改竄していくところに狂気を感じましたぞ……すべてが脳内で起こったこととも取れなくない、そんなどこかモヤる余韻の物語……ハッ、これこそが残滓でも残響でもない、「残夏」だと……いうのか……(おやおや?きれいにまとめましたダスなあ!
……てっきりおばあちゃんが黒幕かと(何の?
凄まじい物語をありがとごんす!
作者からの返信
残夏はざんげとよみまして……。
つまりこれはカイの懺悔の物語なのです(嘘)
カイは自分のやったことを黙ってはいるんですが、正当化したりはしてないんですよね、多分罪の意識もそんなにないと言いますか。
可愛いクラスメイトも綺麗なおねーさんもどっちも好き。認知症の年寄りは嫌い。勉強はしんどい。チャンスがあったらのっかりたい。いい思いをしたからのめり込む。知られたらまずいことは黙ってる。
……殆どの中高生はこんなものじやないかな? と私は思ってまして^^;
そーゆー、私なりのリアルをこの作品に込めました。
♡と★★★をありがとうございました!
最後、衝撃的ではあるのですが静かな印象を受けました。
派手な見せ場だと思うのですが、すぅっと終わるような。
そこが良いです。
まったく先が読めていなかったのですが(私はトリックにころっと騙されるタイプ)、場面場面での文章の良さを味わいながら読み進めました。
祖母(痴呆のせいで色々やらかすとはいえ)を嫌悪している描写は、主人公の冷酷さを表すのが主な目的でしたか?
主人公は悪い奴でしたが、途中の心の動きなど、等身大の高校生に見えるところも多く、その二面性を一人称で見事に描き出していると思います。
印象的な描写がいくつもありましたが、私は「赤いスカートが翻る~」が好きです。特に最後の「挑むように無防備になった」。挑むように無防備。お見事です。
作者からの返信
お読み頂きありがとうございます。
> 派手な見せ場だと思うのですが、すぅっと終わるような。
> そこが良いです。
そう言っていただけて嬉しいです。
私は頭に浮かんだ映像を文字で起こすような気持ちで書いているのですが、この作品に関しては、最後の場面で映像はいきなりホワイトアウトして、その先の情景は全く浮かびませんでした。
で、あのような終わりになっています。
> 主人公の冷酷さを表すのが主な目的でしたか?
彼は別にサイコパスでも何でもなく、どこにでもいる普通の男子高生だと私は考えています。
そんな「普通」の彼が、何故そんな行動に出てしまったのか? ということを知りたい読者の為に、彼の置かれたストレスフルな家庭の状況を用意しました。
> 挑むように無防備。お見事です。
ありがとうございます。
応援とお星様を、本当にありがとうございました。
ホラーですね、マネキンなら愛してくれたのか、とこずえは悔しい思いだったでしょう。
通常主人公の正義を維持する展開が多い気がしますが、本作品は徹底的に悪を貫きましたね。
叶わない恋心と恋心。救われない二人に最後はゾワっとしましたが、残夏という響きも相まって、通常予測されるものとはいい意味で異なる場所に着地したと思います。
お見事でした。
作者からの返信
お読み頂きありがとうございます。
>マネキンなら愛してくれたのか、と
>本作品は徹底的に悪を貫きましたね
>残夏という響きも相まって
この3点に言及してくださったのは木沢さんが初めてのような気がします。
とても嬉しいです。
応援とお星さまをどうもありがとうございました。
うぅ、悩んだ末レビューを三回も改稿してしまいました……。
私が伝えたかったことがレビューから消えてしまったので、こっちに残しておきます。
第一稿
「(ここまで同じ)この作品の衝撃は、最後のたった一文に凝縮されています。『第二ファウンデーション』の正体――全ての謎は最後の一文で氷解します。
私は、このような作品をいつか書いてみたいと思っています。しかし、まだできていません。
本作『残夏』の作者、朔(ついたち)さんはそれを見事にやってのけました。
畏敬の念を込めて、星三つを贈ります。」
作者からの返信
お読み頂きありがとうございます。
『檸檬』がバッドエンドだとすると、こちらはどう考えてもワーストエンド。
読後に草薙さんがなんとおっしゃるか気が気ではなかったので、ご評価を頂けてほっとしました。
この作品は高1の春に着手したものの、主人公を上手く動かせず、やむなく断念したものです。
諦めきれずに1年後の夏にもう1度プロットから練り直し、どうにかこうにか完成に漕ぎつけました。
今回草薙さんに過分なお褒めの言葉を頂戴し、感無量です。
コメントとお星さまを、どうもありがとうございました。m(__)m
初めて読んだときは、1ミリも予想のつかなかったラストに、しばらく画面から目を離せませんでした。「真夏の創痕」や「たんぽぽ娘」で朔(ついたち)様の作風に魅入られ、本作を読み始めました。
今、2回目を読み終えてこの感想文を書いています。
「真夏の創痕」でもそうでしたが、伏線のはり方が凄すぎて……圧巻でした。
女子更衣室からジャージが消えたという団長の言葉が第6話で回収された瞬間、まさかっ……!? あれが伏線だったのか!! と、ページを戻ってしまうくらいでした。
さらに、他の方も挙げられていましたが、第5話の描写が本当に美しくて……他の章も、カイから見たナツコの風貌の書き方がめっちゃ好きなんですけど、あんなに間接的に表現できる朔(ついたち)様の文章力が、2年連続受賞者という確かな実力を示しているようで、参りました。「真夏の創痕」でも、主人公の翠に対する想いが大人っぽく描写されていて、読んでいて「ああぁぁーーーついたちさんだ~~」ってなっています。ちなみに「真夏の創痕」好きすぎて10回以上は軽く読ませていただいてます。
タイトルも最高ですね。本作の後に「カクヨム甲子園体験記」を読み返すと、より一層自分の中に「残夏」というタイトルが染み込んでいくようです。
実は、本作の前に朔(ついたち)様のエッセイは読ませていただいてました。カクヨム甲子園に挑戦する際に、過去の受賞作を読み返そうと「たんぽぽ娘」に出会い、言葉を失うくらい圧倒されたあの夏が、今でも鮮明に思い出されます。あのエッセイにも、本作にも、出会えて良かったです。
上手く言葉に出来なくて申し訳ないです。本当に凄すぎました。またすぐに読みに来ると思います笑。
作者からの返信
熱のこもったコメントをありがとうございます。
大学進学後は体調不良と多過ぎる課題のせいで、すっかり創作から遠ざかってしまっていますが、こうして今でも読んでくださる方がいると思うと、もう一度……という気持ちが湧きますね。
元気づけられました。
ありがとうございます。
ところで『真夏の創痕』ですが、お褒め頂いたので久々に読み返したところ、しっくりこない文章をいくつも見つけてしまったので、全体的に修正を掛けました。
次に読んでいただけた時に「あれ?」となってしまうかもしれませんが、そういう事情です。ご承知おきくださいませ。
エッセイの方も長らく放置してしまっているのですが、ちゃんと完成させようという気持ちになれました。
三嶋さんも執筆を頑張ってくださいね。
私も頑張ります。
♡とお星様を、本当にありがとうございました。