第57話
「はい、ということで家庭訪問です」
「美咲先生、担任でもないのに…」
「こういうのは雰囲気とノリが大事でしょ!美人先生がきたんだから少しは喜んでよ!」
「美人…?どちらかというと残念では?」
「水面くん、数日見ない間に言うようになったじゃない」
「冗談ですよ、冗談。お忙しいところわざわざありがとうございます」
「見た感じ、生活は問題なさそうね?」
「はい。みんながあれやこれやとお世話してくれるので」
赤井さんが泊まり込んでやってくれてるんだけどね。
「いい仲間を持ったわね!それじゃあ、はい、追加の課題」
「先生方、僕に課題出しすぎじゃないですか?」
「あなた真面目だし教師陣も楽しんでるわね」
美咲先生の差金だったりするんじゃないだろうか……
「と、それはそれとして部活の話しましょうか。みんな待ってるみたいだし」
「あ、はい。先生はそこに座ってください」
「先生お茶どうぞ」
すかさず先生にお茶を出すのは赤井さん。
「え?水面くんの家なのに赤井さんがそういうことするの?」
「あ、え、えっと…」
ボロが出そうな赤井さんをフォローするために割り込む。
「僕の足を気にしてやってくれてるんです。ここ何日かで僕の家のこと色々わかったみたいで。
本当にありがとうね、赤井さん」
「どういたしまして」
横目で見ると安心したのかほっと息を吐いていた。
「初々しいわねぇ…これよこれ。アオハル」
「「先生、それはない(です)」」
思わずツッコむ僕と和田くんだった。
「若者に同時ツッコミされるのは中々攻撃力高いわね……
まぁ、それはそれとして文化祭準備の進捗を聞こうかしら?」
「はい、それはみんなで昨日確認したのですが」
昨日の内容をあらためて先生に説明する。
「立ち絵関係は私たちの写真を加工して使うことにします。私の写真は水面くんのコレクションから、その他のメンバーの写真は部活中にでも撮影します」
まずは赤井さんから。
「そうね、登場人物があなた達だけなら問題になることはないでしょう。
でも念のため顧問として同意書を作っておくわね?事情を知らない保護者からのクレーム対策ってところかしら」
なるほど、多くの人の目に触れることを考えると身を守る術は必要ってことか。
「次に音楽のことね!これは軽音部が2曲作ってくれるらしいわ!」
「足らない部分はフリーの音源も利用しようと思っています」
音楽についてもオリジナルだけでいければいいけどさすがにこの短期間では難しいからこその妥協案だ。
「なるほど、オリジナル楽曲、さらには生徒の作品だって宣伝にもなるのね。
軽音部の顧問の先生に私からもお礼を言っておくわ。フリーの音源については利用規約をしっかりチェックすること!
水面くんならそのくらいわかりそうだけど、こういうことはメンバーのためにもみんなで共有してね」
メンバー間での共有か。ソロではこういうのないからしっかりしよう。
「それじゃあとは俺だな?背景と紹介する場所については主要なところの撮影をして使えそうな写真を使っていく方針です」
「補足すると、既に大体のところは撮影済みなので、美咲先生には教師陣の説明してほしい場所とかあれば持ってきてもらいたいです」
そして締めに入る。
「説明としてはこんな感じですかね?根幹のプログラムの部分は僕が担当します」
と、一通り説明が終わったところで……
「よく考えられているわね。流石って言いたいところだけど肝心な部分が足らないわよ?」
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