第56話
「あれ水面に和田、もう起きてたの?おはよう」
朝、キッチンで朝ごはんを用意しているとまだ眠たげな赤崎さんが顔を出した。
「赤崎さんおはよう。早いね」
「おう、おはよう」
「早いねってあんたらのほうが早いじゃん。って朝ごはん?」
キッチンまで足を運んで覗き込むとなにをしているか理解したらしい。
「ったく、そんな状態でやらなくても紅葉ちゃんと用意しようかって話してたのに」
赤崎さんのその言葉にニヤリとする僕。
「ほら、やっぱり。僕の予想が正しかったでしょ?」
「やっぱりって、あんたらなにしてるのよ…」
「ん?いやな、女性陣が朝ごはんを用意するか否かについて水面と賭けてたんだわ」
「また、しょーもないことしてるわね、あんたたち」
呆れた顔をしつつもどこか満足げな赤崎さん。なんで?
「ま、そういうことならこっちは紅葉ちゃんの勝ちね」
「そっちも同じことしてたの!?」
「そ。紅葉ちゃんがまだ起きてこないのが証明してるでしょ」
なんでも女子は女子で僕たちと同じような賭けをしていたらしく、
男どもはゆっくり寝てるだろうという赤崎さんと夕飯は作ったから朝は水面くんが用意するはず!と予想する赤井さんとで賭けになったらしい。
赤井さんは自分の予想は外れるわけ無いとゆっくりしているそう。
「あ、そういうことならもう朝ごはんできるし赤井さん起こしてきてもらっていいかな?」
「ん。了解~」
寝室に向かう赤崎さんを見送って目を合わせる僕ら。
「見た?」
「ああ、なんつー意外というかかわいいもんだな」
「そうだね。普段あんなに勝ち気そうなのにだいぶ幼く感じたよ」
「端的に言ってかわいい」
なんてあまりの衝撃にこんなことを言い合う僕ら。何を見たかというと……
「ね、ねぇ、あんたたちもしかして見た…?」
「「それはもちろん」」
「いますぐあたしのすっぴんの顔を記憶を消去しなさい!!!」
そんな衝撃的な朝を迎えつつ、無事朝食を済ませるとみんなは学校に向かっていった。
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