第55話
「じゃあ、男子会始めよっか!」
「おう、そうだな。赤崎たちに聞かれないようにしような!」
「聞かれたらまずい話するの……?」
「念のためだな」
僕の話よりも和田くんの話が聞きたいんだよね。突っ込んじゃおうかな。
「和田くんの想い人ってさ、小野さんなの?」
聞いた瞬間、和田くんが吹き出した。
「ちょ……和田くん大丈夫?」
「ああ……って、水面が直球すぎて動揺したわ」
「つまりは、そういうことだよね?」
「まぁ、そうだな。だから水面と小野が知り合いって話でちょっと驚いたわけだ」
「僕の場合、一方的にライバル視されてるだけなんだけどね。正直結構困ってる」
「困ってるって何にだ?」
「毎回勝負!って言ってくるんだけど、僕の場合1位狙ってるわけでもないし、それなりに勉強した結果の学年2位なんだよね。
挑まれちゃうと頑張らなきゃって思って、それが毎回だと結構疲れるんだよ。
本当はゲームとか制作の方に時間使いたいんだけど順位下がったらなんで言われるか……」
「なるほどな。今度俺から伝えてみるわ。水面が困ってたぞって」
「いやいや!それ言ったら悪化するでしょ!」
「そうか?ああ見えて小野は気遣い屋だから言えば分かってくれると思うぞ?」
和田くん、割とよく見てるんだね。
「そっか。それで、和田くんは小野さんのどこが好きなの?」
「やっぱそうなるよな…」
僕が聞くと和田くんは恥ずかしそうに、独白するようにこう言った。
「正直なところ、最初は一目惚れだった。綺麗で、それでいてふとした瞬間の笑顔に惚れたっていうか」
「確かに美人さんだよね」
「それでいて、表面上見せないけど気遣い屋で周りをしっかり見てる、オタク趣味にも否定的じゃないし、男なら誰でも惚れるだろあんなの」
なるほどね。でも、恋心っていうよりは憧れって気持ちの方が大きそう…?
「ま、そんな感じでお近づきになろうって思ってたけど踏み出せずにいた時に色々あって赤崎と出会って協力関係になったわけだ」
「ふーん。その色々も気になるけど……
それで?進展はしてるの?エンタメ部に作ってからずっとこっちにいるみたいだけど」
そう、これまでずっと気になってた2人の協力関係。の割にはエンタメ部を作ってこっちに入り浸りすぎてる気がする。
「水面の言う通り、エンタメ部できてからは教室で少し話す程度で終わってるんだよな」
「えっと……もし負担になってるなら毎日来なくても大丈夫だよ?」
僕1人であの女子2人の相手は大変かもだけど。
「いや、そうじゃないんだよな。確かに小野とどうこうする時間は減ってる。
だけど、エンタメ部は居心地がいいんだよな。オタク話してる時も、水面たちの撮影会見てるのも。
……赤崎と一緒にいるのも」
あれ、和田くんもしかして、赤崎さんへの好感度も上がってる……?
「ま、そんなわけだから俺はここにいたくてここにいるわけで、水面が気にすることじゃねーよ」
「そっか!じゃあ改めてエンタメ部、よろしくね、頼りにしてるよ!」
やっぱ持つべきは同じ趣味の男友達だよね!
「さて、俺は話したんだし次は水面の番だぞ?ぶっちゃけどうなんだ?」
「え、ええっと……おやすみ!」
和田くんから責めるような視線が飛んできているけど無視して眠りにつく僕だった。
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