第21話

初日の部活は、先生との顔合わせと方針を決めて終わりにした。

みんなで帰ろうかって話になり、連れだって歩く。


「みんなは家近いの?」


「あたしの家はここから5分くらい」


赤崎さんの家近っ!


「俺は自転車で10分くらいだな」


言うように和田くんは自転車を押している。


「紅葉ちゃんはちょっと遠いのよね?」

「うん。わたしの家はここから5駅くらいいったところかな~。水面くんと同じ駅だよ!」

「あれ?僕、最寄り駅おしえたことあったっけ?」


赤井さんに教えたこと無いと思うんだけど……


「聞いたことはないけど電車で見てたからね~!眠そうな水面くんも!全然気づいてくれなかったけど!」


え、毎朝赤井さんに見られてたの?急に恥ずかしくなってきたな……


「あー、それなら水面は紅葉ちゃんを送っていくこと!あたしは近いし、和田は自転車だから丁度いいでしょ!」

「了解。言われなくてもそうするつもりだったよ」

「水面くん、そんなにわたしと帰りたいならもっと早く言ってくれればいいのに~」


もっと早くも何も最寄り駅が近いって、今知ったんですけどね。


「それじゃ、また明日~!」

「気をつけて~」


赤崎さんと和田くんを見送って残されたのは赤井さんと僕。

なんか急に恥ずかしくなってきた。


「誰かと一緒に帰るのひさしぶりだな~」


赤井さんは楽しそうに言う。


「同じ中学の子とかいないの?」

「水面くんだっていないよね?」

「そういうとこ選んで入ったしそれはそうだけどね」

「わたしも同じなんです!だから、こうやって一緒に帰れる人がいると嬉しいんだ~」

「僕なんかでよければいつでも誘ってよ」

「ありがと~!」


なんかいいな、こういうの。青春って感じがする。


「あ、そうだ!水面くんってバスケ上手いんだね~!昨日のシュートしてるところ、すっごくかっこよかったよ!」

「あ、ありがとう。面と向かって言われると恥ずかしいな……」

「バスケ、部活でやらないの?もしかしてエンタメ部誘っちゃったの悪かったかなって」

「そんなことないよ!誘ってもらえたのも、赤井さんと一緒なのも嬉しいから!

 バスケは、もういいんだ。怪我しちゃったし、趣味で遊ぶくらいが丁度いいって思ってるし。気にしないで」

「もう!水面くんっていつもそうやってサラッというよね!ずるいよ~!」


はて、なんのことだろうか…


「あ!絶対にわかってないって顔してる~!でもそこが水面くんのいいところかもね!」

「え、なになに?教えてよ赤井さん!」

「ダメです~!水面くん、改めてクラスでも部活でもよろしくね!水面くんがいれば楽しくなりそう!」


そう言って手を握ってきた赤井さんはとっても魅力的に感じた。

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