第17話

「エンタメ部?」


二人の言葉に疑問を隠せない僕。


「てっきりオタク部って言い出すのかと思ったけど違うんだな」


僕の言いたいことを代弁するかのように和田くんが言う。


「そりゃそうでしょ、オタク部なんて名前だと学校側が許可するわけないし、

 そもそもオタクってだけだと範囲が広すぎるのも問題ね」


確かに。僕らみたいないわゆる漫画・ゲーム文化に特化した人をオタクって言うことが多いのは確かだけど、

野球オタクとか〇〇オタクって言ったらキリがない。


「うちには漫研があるから、ちゃんとした理由付けがないと許可が降りないんだよ~」


元々漫研に所属していただけあって事情には詳しいらしい赤井さん。


「なるほどね。それで、活動内容は?」

「これよ。先に作っておいたわ」


渡されたのは部活(同好会)設立申請書。

底に書いてある活動内容を読み上げる。


「サブカルを始めとしたエンターテイメントを楽しむことを目的とする。

 また、部員たちの自主創作を実施することで発想力や開発力を身に着けたい」


まぁ、書いてることは分かる。


「まずは楽しむことが大切!ブラック部活にはしたくないわ!」

「高校生が考える理由付けなんてこんなもんでいいんじゃないか?」

「わたしもそう思います!」


満場一致。


「ということで、早速提出に行くわよ!」


僕らは連れ立って職員室に向かった。

そういえば大事なこと聞いてなかった。


「そういえば顧問って誰にお願いするの?」

「情報の美咲先生よ!」


ああ、あの人ね。本人もオタク隠そうとしてないしぴったりかもしれない。


「でも、美咲先生って漫研の顧問してるよ?大丈夫なの?」


元漫研部員の赤井さんが言う。確かに普通の学校だったらダメだよな。


「うちの学校は顧問の兼任してる人そこそこいるから大丈夫だと思うわ!」

「ああ、前に担任に確認したときもそう言ってた。A組の担任はやりたくなさそうだったけどな」


文化祭実行委員をやりたくないからって言ってた割に行動早いと思ったけど

前から計画してたっぽいな。赤井さんが漫研辞めるの待ってたのかも。

友達思いな人たちだな。


「じゃあ、美咲先生への交渉は水面に任せるわね!ちなみに部長はあんたよ!!」


衝撃の事実がここで発覚。


「え?僕が部長なの?なんで?」

「はい!わたしが推薦しました!」


どうやら、僕がサークルを持っていること、ゲーム制作が出来る程の知識があること、

それに加えて成績がいいから先生受けが良さそうなこと。これらが理由なようだ。


「まったく、僕が断ったらどうするつもりだったのさ」

「そんなの最初から考えてないわよ!」


既定路線だった。そんなに断らなそうな顔してるかな、僕。

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