第16話
放課後、僕は赤井さんに呼び出されてA組の教室に向かっていた。
「林檎ちゃ~ん、来たよ~!」
赤井さんの尋ね人は赤崎さんだったらしい。
でもなんで僕も連れてきたんだろ?
「ちゃんと水面も連れてきてるわね!それじゃあ対策会議をするわよ!」
「対策会議ってなんのだよ?」
「ちょっと、和田!あんたには話しておいたでしょ!文化祭のことよ!」
和田くん、いつも赤崎さんに怒られてる気がする。頑張れ。
「文化祭の対策会議ってなんで僕も呼ばれたの?」
「あ~、それはね~」
「あたしが話すわ。あたし、紅葉ちゃん、水面、和田この四人に共通するのは、今部活に未所属ってことよ!」
ああ、なるほど。実行委員関連ね。
「みんなで実行委員やろうって提案?それなら僕は遠慮したいんだけど」
「ちっが~う!」
いち早くお断りをした僕に対し、赤崎さんは否定の言葉を言う。
「逆よ、逆!実行委員なんかやりたくないのよ。そのための対策会議!」
「でもそれってどこか部活に入らなきゃいけないんだろ?このメンバー全員ってキツいぞ」
「だ・か・ら!あたし達で部活を作るわよ!」
「わ~!楽しそう!わたしは林檎ちゃんに賛成です!」
赤井さんはすぐに同意する。打ち合わせ済みだったのかな?
「でもよ、このメンバーでなんの部活やろうってんだ?あと顧問が必要だったはずだ」
なんだっけ、部員最低三人と顧問をつけることが条件で同好会の設立が認められるとかだっけ。
敷居が低いのはこの学校が部活動に重きをおいてるからだとかなんとか。
「顧問については大体のあたりはつけてるわ。ってことなんだけど水面はどう?」
「うーん、どうしようかな……」
「え~!水面くんやろうよ!」
「そうよ!こんな美少女二人と一緒に部活なんて贅沢よ!」
「自分で言うな、自分で」
『和田(くん)は黙ってて!』
うっわ、和田くんかわいそうだ……というか、逃げ場ないよね、これ。
赤崎さんの言う通り二人ともかわいいし、誘われて悪い気はしないし。
「水面、覚悟決めようぜ。ちなみに赤崎は好きな奴いるから狙わないほうがいいぜ」
「あんたは一言余計なのよ!それじゃモテないわよ」
「うっせぇ!」
あの二人なんだかんだで息合ってるよなぁ…
「あの二人、仲いいでしょ?だから、あの二人の間に一人で混ざるの、ちょっとつらいんだぁ…」
赤井さんから耳打ちされてドキッとする。それはわからなくもない。
「わかったよ。じゃあ僕も参加させてもらうことにするよ」
赤井さんのためだと思って了承する。
「さっすが!水面なら了承してくれると思ったわ!正直なところ、
水面がいるといないとじゃ申請が通るかどうかでぜんぜん違うからね~!」
「え、僕がメンバーに誘われたのってそういう…?」
赤崎さんは『あっ…』ってこぼしながらバツの悪そうな顔だ。
「そ、それだけじゃないわよ!作る部活のコンセプトにピッタリな人材っていうのが大きいわ!」
「わたしは最初から水面くんに入ってもらいたかったよ!!」
ありがとう、赤井さん。正直めちゃくちゃ嬉しいです。
「そういえばなんの部活なの?」
疑問に思ってたことを口にする。
待ってましたと言わんばかりの顔をした赤崎さんと赤井さんは。
『エンタメ部!』
そういったのだった。
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