第3話
「はい、一応これ名刺ね」
「ご丁寧にありがとうございます。わたしもこれ、コスプレ用の名刺です」
スムーズな流れで名刺を交換する。
赤井さんの名刺には『Kureha』と書いてあった。
紅葉の別読みってことかな?
「って、なんですかこの流れ!」
赤井さんは自分がした一連の行動に突っ込みを入れたあと、
僕と同じように手にした名刺に視線を落とした。
「サークル・メープル、代表:メープル……ほんとに水面くんのサークルなんだね〜!」
「ここまできて嘘言っても仕方ないからね…」
「と・こ・ろ・で!なんでメープル?」
あ、そこ突っ込んじゃう?これ言うのも恥ずかしいんだけど…
「赤井さん、僕の下の名前覚えてる…?」
「えっと、水面くんの下の名前……楓くんだっけ……?」
どうやら気がついたようだ。
「正解!英語にしたらメープルだからね。単純でしょ?」
「単純だけど……気がつかなかったな~。
まさかクラスメイトがこんなことしてたなんて…それに名付けの理由がわたしと似てるね!」
そりゃ学校では隠してたからな。
「あれ、紅葉ちゃん?」
赤井さんを呼ぶ声。振り向くとギャルっぽいけど、どこか清楚な雰囲気を併せ持った美少女と付き添いと思われる男子がそこにいた。
「あ、林檎ちゃ〜ん!と…和田くん。二人とも来てたんだね〜」
林檎ちゃんと呼ばれた女の子…確か同じ学年で美少女と話題の赤崎さんだっけ。
こんなところにくるイメージないから驚いた。
しかしなんだろう、赤崎さんから視線を感じる。
「紅葉ちゃん、ちょっと…」
「ん?なになに?」
離れたところで話し始める2人。
「コスプレしてるって言ってたのに探してもいないと思ったら撤収してたのね。それであの男は誰?一緒にいるし、もしかしてなんかされた?」
赤崎さん、聞こえてますけど……
誤解をされる前にこっちはこっちで手を打っとくか。
「えっと、和田くんだっけ?ちょっといい?」
「ん?なんだ?ってお前どっかでみたことあるような……」
残されていた彼を呼び、先ほど撮った写真を見せる。
「これ、さっきコスプレ広場で撮った写真なんだけど…」
「ん?おおお、めっちゃかわおお!!!さすが赤井さん」
さすが、誰の、とはいっていないのにこの流れで赤井さんだと気が付いたようだ。
「ちょっと水面くん!勝手に見せないでよ〜!恥ずかしいよ〜」
恥ずかしがって阻止しようと寄ってくる赤井さん。
視線を感じて横を見ると…
「チッ……」
こちらを睨んでる赤崎さんがいた。
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