SSSな過ぎ去りし黄金時代の服装
「シムシティも初めはまっさらな大地でした。シリーズによっては生地するところから始めますからね。そこでまず初めに必要なのは、人です」
「人……」
「移住してくる人が必要です。次に電気、水を引けば最低限の集落は完成します。そこから居住区を広め、商業地区を作ったり、工業地区を作って街を大きくするのです!」
「へえ……そう思うとなんか面白そう」
「初めに人を呼ぶのは難しそうなので、まずは水源を引くことと、電気——この場合は動力源ですね、まずはそれを作りましょう。そうすれば人が増えると思うんです」
「ふむふむ、なるほど……なるほど」
相沢さんは立ち上がり、ワザとらしく顎に手を当てて室内を歩き回る。
「——それより私の案も聞いてくれない?」
「聞きたくないです」
即答したのもあり相沢さんは喋らなかった。喋らなかったが、
「ふふふ」
にっこりとした不気味な笑みを浮かべたまま、俺(+イヴァ)とエリィの手を引いて、宿屋にある倉庫(今は相沢さん衣裳部屋)
無理やり俺たちを衣裳部屋へと引っ張っていった。
「ちょ、ちょっと何するんですか!」
「まあまあ、ぬいでぬいで!」
俺のスカート裾を持ち上げ、手慣れた手つきで一瞬にして下着姿にされてしまう。同じようにエリイも一瞬で脱がされていた。エヴァは抵抗していたが、また下着を消滅されたらと思うと抵抗できず、俺に助けを求めながら下着姿になっていった。
「ささ、並んで並んで」
俺は元々男性だったせいか、まだ少女物の下着を履く勇気は出ず、レースの薄手のワンピースを下着代わりに着ているからまだよかった。
だが隣は可哀想でならない。
エリィは子供っぽいかと思いきや、ここでは描写するのもはばかられるような、それ身につける必要があるの? と考えるほど面積の少ない上下の下着だった。本人もまさか脱がされるとは思っていなかったのだろう。わなわな肩を揺らして俯いている。同じ女の子同士でもなんか恥ずかしいのだろう。
逆に何百年も生きてきた吸血鬼様は安定のぴったりとしたスポーツブラと、なぜか直接黒のスパッツを履いている。本人曰く落ち着くそうだ。
「うむうむ、良いバランスな気がする。じゃこれを着て!」
相沢さんの事だからどんな私利私欲にまみれた行動をするのかと思ったら、手渡された服は思いもよらないものだった。
というか、今更本当にこれでいいのか。
数分後、俺たち四人は皆、おそろいの姿で宿屋のカウンターに並んだ。
「きゃー、かわいい。スマホがないのが悔しい!」
「わ、悪くないですね」
自分の姿を見ながら、エリィは頬を染めて笑う。まんざらでもないようだ。
「ミキネママ、我も似合うか?」
無邪気な笑顔でイヴァが両手を広げて俺に全身を見せる。
なんだかんだ言いつつ、みんな楽しそうだから別にいいとするか。
可愛いとずっと言われていると俺も悪い気がしない。
真っ黒なワンピースは膝下まであり、真っ白なレース付きふわふわなエプロン。そして頭にはヘッドドレス。二〇〇〇年代初頭に一世を風靡した、例の職業である。アレンジもなくスタンダードなやつだ。
「さあ、美少女メイド宿屋で集客するよ!」
手にはいつのまにかホコリ落としを持ち、相沢さんは天に向かって腕を突き上げた。
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