SSSな初めてのお客様はFカップ?
「つ、つれました。大物が」
はあはあと肩で息をしながら、ピンクのボブカットとメイドスカートを揺らしたエリィが俺たちのおんぼろ宿屋に戻ってきた。
「でかした、面積無しのえろぱんつ!」
「え、えろって言わないでください、たまたまです、たまたまなんです、いつもはもうちょっと穏やかなんです、なななお姉ちゃん!」
ひいと泣き顔になりながらエリィは叫ぶ。せっかく領地に面している離れた町まで宣伝に行ってくれたのに酷いあだ名である。
「失礼します」
こつこつこつとブーツを鳴らして、エリィの後ろからスーツとタイトスカートの様な洋服を着こなす、お固そうな眼鏡のお姉さんがカウンターへと歩いてくる。
後ろにはお付きの人間なのか、旅人用のマントに身を包んだ少女が一人立っていた。
女性は眼鏡を抑えながら辺りを見渡して、なるほど、と小さく呟く。
「どなたが女将ですか?」
「わ、私です」
俺はカウンターに置かれている木箱(背伸び用)から、ぴょこんと降りてきつそうな女性の前に出た。
女性は妙に威圧感があり、じっと俺を見下ろす。
俺の身長は一三〇代くらいなので、下から見上げる形となる。なのでお姉さんのはち切れそうな胸が邪魔してあまり顔は見えない。
「なかなかにお若い——それと変わった耳をお持ちですね」
触りたいのか、手を自然と伸ばすがハッとして手をひっこめる。
「色々な事情が込み入ってまして……それでご用件は何でしょうか」
「お話は道すがらあちらのメイドさんに伺いました。なんでも女将さんは領主も兼ねられていると」
「ええ、まだ数日ですが……」
「厚かましいお願いかと思いますが、私たちに土地を貸してほしい。勿論、税金は払いましょう」
勢いよくお姉さんは九十度に頭を下げ、ポニーテールの髪が揺れる。後ろの少女も同じように頭を垂れた。
「あ、頭を上げてください」
「私たちは魔術研究組織『自然魔術研究組』と申します」
「魔術研究結組織……」
今この異世界では魔術研究が盛んだが、まさか一番目の訪問者が魔術研究関係者と流石に驚いた。
「実は私たちは魔術との共存を目指しています。魔術に汚染されるとグロウスという化け物になると世間では噂されてきていますが、自然から魔力を補い、微力でも安全に使用できる魔術方法を模索しているのです」
「なるほど、それで自然豊かで広い土地が余っているここが最適とのことですね」
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