第6話本当を見に行け
「あの……」
授業の終わり、ハルに声をかける
スカイに気づき振り向くハル
「君は、僕の何を知っている?」
「知りたいの?」
ハルは、ふぅとため息をつく
「貴方は強かった。とても後悔している。他の貴方は、さらに強いのかしら?それとももっと弱いのかしら?」
「だから、君はなにを?」
「迷いを取りに……強くなりに行きますか?」
ハルは両手をスカイに近づける
「えっ?ちょっと……」
両手がスカイに触れた瞬間
辺り一面強い光が現れた
スカイは思わず目を閉じる
「……あれ?」
目を開くと学校の門前、日差しは眩しく、周りにいる生徒らしき人々が、学校の中に入っていく
「なんだ?」
「スカイ……」
ミクが、テンション低く話しかけてきた
「ミク。どうしたの?」
いつもと違う様子のミク戸惑うスカイ
「うん……遅刻するよ?早く行こう」
「ああ……」
スカイの前を歩くミク
ふらふらと、体を動かし頭もうつ向いて歩いている
「ミク……大丈夫?いつものミクじゃなくない?」
「私はいつもこうだよ?スカイこそ、いつもうるさいのに、どうしたの?」
スカイは振り替えり、辺りを見回す
だが、ハルの姿がない
「あれ?ハル?」
辺りを見回してもいない
そんな姿を不思議そうにミクは見つめる
「どうして、ハルを呼ぶの?」
「だって……」
「ハルはいないよ?」
「ハルは死んじゃったんだよ……」
「えっ?だって……」
ミクは涙をためうつむき出す
そんなミクにスカイは、大声で話しかける
「ハルはあんなに強いじゃないか!一人で何匹も倒して……」
「そう……だけど、本当だよ。実戦練習でやられたの」
「もう忘れちゃったの?」
「そんな……」
ミクは泣き崩れ、その場で座り込む
周りは二人を見てざわつき始めている
「私、何のために魔術学校に入ったか分かんなくなってきた……」
「クラスのみんなもハルの事で落ち込んでる……もう教室には行きたくないよ」
ゆらゆらとスカイの周りが変わっていく
揺らめきが止まり、目の前には、夕方になったスカイの教室
その教室に、スカイとハルだけが居る
「君は死んでいたの?」
自分の席に座っているハルに詰め寄るスカイ
「ええ、あちらの世界では……」
「あちらの世界?なら、なんでここに来た?」
ハルは、悲しい顔でスカイを見る
「……貴方が迷っているから」
そんなハルを見て、ハルの机をバンと叩く
「僕が迷っていたら異次元に飛ぶのか?」
「それは、確定的ではありませんが……」
「どうして僕に?君のいた世界のミクだって迷っている。ミクのところに行きなよ」
ハルはじっとスカイを見たあと、ふぅとため息をついた
「……もう少し、私のいた世界を見てみませんか?」
右手を伸ばし、スカイの心臓の所に手を当てる
「貴方は強くなる。見えない迷いもなくなる。私は信じています」
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