第5話撃ってしまえば楽になる

「迷ってる…」

 朝からボーッとしているスカイ

「なー、スカイ聞いてるか?」

 同じクラスの友、ルイがスカイに話しかける

「なに?」


「あの転校生と仲良いのか?」

 そういうと、ビシッと指を指す

その先はハルの姿がある

 スカイはハルを一瞬見たあと、ルイの方に目線を戻すと

「……なんで?」

と不機嫌そうに答える


「いやーなんか、ちらちらお前のこと見てるような…。昔の知り合い?」


「いや、初めて会ったけど……」


 二人は、ハルを見る

女子だけでなく、男子もハルに話しかけている


「やっぱ可愛いよなー」


「まぁ……」


「お二人さん、そろそろ実習の時間だけど……」


 ムッとした顔でやってきたミク


「ミク……」


「そ、そうか、行くか」

 ミクに気づくと、ルイはそそくさと教室を出ていく


 ミクはハルを見ると、ちょうどハルもスカイとミクを見ていた


「ねぇ、ハル!一緒に行かない?」

 ぶんぶんと手を降り、ハルを誘う

「えっ?ええ、ありがとう。お願いするわ」





「なぁ……」

 スカイの隣にいたルイが、顔をきひつらせ話しかける

「ああ、すごい」

 スカイやミクも呆気にとられた顔をしている


 二人が見ている先には、一人、軽やかに魔物を退治していくハルの姿

ベルナ先生、そしてクラス中も呆気にとられている

 最後の一匹を倒し終えると、あまりの早さにポカンとしているハル以外の面々


 全匹倒したのを確認すると、ふぅと一息、深呼吸をする

「先生、記録は……?」

 ハルの言葉に我に変えるベルナ先生

急いでストップウォッチを止める

「あっ?えっ?凄い!うちのクラスの新記録!」


 パチパチと手を叩く音が聞こえる

歓声の中、みんなの元へと戻るハル

ふと、スカイとハルの視線が合う


 そしてまた、みんなの動きが止まる

「まただ……」

 動いているのは、またスカイとハルだけ

「なんだよ、お前!」

 立ち上がり、ハルに声を荒げる


「私の知っている貴方はもっと強い」

 ハルは寂しそうな目でスカイを見る

「なぜ、この世界ではとても弱いの?」


「迷っているせい?悔やんでいるせい?」


「それは……どういう」


「迷うなら行けばいい」

 スカイの方へ歩き進めるハル

「どこに?」


「それは……」

 右手を拳銃のように、親指をたて人差し指を伸ばし、スカイに向ける

「このまま撃ってしまえば色々楽になるよ?」


「……なんで」


「お二人さん?」


 時が戻ったのか、二人に話しかけるベルナ先生

 返事をすることなく、スカイの側をスタスタと歩くハル

そしてまた、1人立ち尽くしているスカイ


「ちょっとスカイ!」

 ミクが声を出す

「す、すみません」

 慌てて座るスカイ

ハルも、一番後ろの列に並び、座っている


「スカイさん、次は気を付けてね。はい、では次のかたー」


 ベルナ先生が二人が座るのを確認すると、授業の続きを開始する

 だが、スカイはハルの言葉を思いだし、うつ向いている


「僕は……迷っている……そして弱い」

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