第54話三界大戦争3
戦の始まりを報せるラッパが双方の軍勢から鳴り響く。
今日は南風が強く、死海から運ばれる磯の香りが鼻をつく。
「タールは用意してあるか?」
ルシフェルは兵士達に命じて大量の弓矢とタールを用意させていた。
偵察に送り込んだ兵士の話しでは、ミカエルはヨルダン橋付近に沢山のテントと結界を張り、己や神々の軍勢を待機させ拠点としている。
ルシフェルは南へ下り、ヨルダン橋の南南西からミカエル軍の拠点を火攻めにして補給路を断ってやろうとの考えの様だ。
「これより全軍を3つに分ける。一軍は南南西から敵を攻め火矢を放ち、2軍は真正面から進軍する。3軍はヨルダン川上流へ向かい、木材とタールを大量に川に投げ入れよ!」
一方、ミカエルの軍勢は望遠鏡でルシフェル軍の動向を観察していた。
「動き出したな。我等を火攻めにする気か......」
火攻めはルシフェルがよくやる戦略。しかし、火攻めに見せて別の作戦を練っているかもしれない。
ルシフェルは裏の裏を読み、巧みに敵を討つ。
(奴の作戦に乗り、取り敢えずこちらも軍を3つに分けて火攻めを阻止するか......しかし)
浅い考えでは勝てない。次は絶対に負けられない。
ミカエルは【ヌトの指輪】にキスをすると全軍に指示を出す。
「全軍を2つに分ける!一軍は南、二軍は北にそれぞれ少しばかり進み、折を見て敵の背後に回り込む。敵が拠点の攻撃を始め、矢が底をつくまで絶対に攻撃するな!」
「なっ!それでは補給路を絶たれてしまいます」
「ヨルダン川に木材とタールを撒こうとしている奴等は手を出さなくていいのですか!?」
兵士達はざわめき、ミカエルの作戦に難色を示す。
「大丈夫だ!負傷兵は別の所に移し、拠点には私1人だけが残る」
「今から負傷兵を移動させるなんて無理ですよ!!」
「私1人で移せる。負傷兵と予備の武器は絶対に守り抜くから、信じて作戦を遂行して欲しい」
兵士達はミカエルがあまりにも真剣に話すので彼を信じて指示に従う事にした。
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