第51話三界大戦争2
ルシフェルが前戦に出て来たと言う連絡は、瞬く間に全軍に伝えられた。
「これはおそらく罠だろう。皆、私の指示が出るまで動くな!私はラミエル達の元へ急ぎ向かう」
ミカエルは己の配下の天使達に指示を出す。一番飛ぶのが速い天使がミカエルの指示を神々の軍勢に伝達するため飛び立つ。
しかし、地上の神々が派遣した軍勢はその指示が届く前に我先にとルシフェルの元へ進軍してしまった。
「ルシフェルの首は我が主のものだ!」
「急げ!急げ!ルシフェルの首を誰にも渡すな!!」
「打倒ルシフェル!今までの屈辱、今ここで晴らさん!!」
こうなってしまったら全てがルシフェルの思惑通り。
せっかくミカエルが廻らせた神の軍勢の包囲網は、形を崩して狭まり、役に立たない只の無法軍と化してしまった。
「馬鹿な奴等よ、前ばかり見て上を見ない」
「まるで甘味に群がる蟻よの」
ルシフェルの首を狙って進軍する神々の軍勢の上空をルシフェル軍が颯爽と飛んで行く。
神の軍勢は自分達が今度は逆に後ろを取られている事に気付かない。
神の軍勢が目視でルシフェルを見付けた頃にはもう手遅れであった。
「討て!討てぃ!!」
誰も居ないはずだった後方から、ルシフェル軍の
神の軍勢は後ろから射たれ、動揺している間に前や上空からも射たれる。
「どう言う事だ!」
「
ルシフェルの軍勢に挟まれた神の軍勢は慌てふためき仲間同士でぶつかり、馬や戦車から投げ落とされる。
「止めろ!痛い!止めてくれ!!」
もはや隊列を立て直す余裕もなく、なす術が無くなった兵士達は散り散りに逃げ出してしまった。
「仮にも神と名乗るのに、敵前逃亡とは何事か」
ルシフェルは逃げ出した神霊達を次から次へと切りつける。
敵を無慈悲に討ち払うルシフェルの姿はラミエル達が率いる天使にも恐怖を与え、闘志を削ぎ落として行く。
「撤退!一時退避する!!」
混乱の中でラミエルが指示を出す。天使の軍勢は盾で身を庇いながら元来た方向へ向き直り急いで退避する。
「ルシフェル総統、追わなくていいのですか?」
「放っておけ、もう直ぐ日が沈む」
ルシフェルは鎧に付いた血を拭いながら応える。
(あの天使達、変わった鎧を身に着けていたな......)
神や天使、冥界を巻き込んだ【三界大戦争】の一夜目はルシフェルの勝利で幕を閉じた。
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