短編集

(元)悪役令嬢は、聖女を攻める【カクヨムver】



「お姉さま、私を攻めてくださいッ」


 大胆な告白を言ってきたのは、私の妹、ルージュリアン・テスタロト・シュベァイル。

 

 あの事件、或いは出来事から、一年以上が経過した。

 私は「尭魏」の地方都市で、アリアと、たまーに現れるナナザイと共に普通に過ごしている。

 「尭魏」を治める女帝と色々とトラブルが起きたりしたけど、それは今は関係ないので割愛する。うん、かなり面倒だからね。

 

 私は一年以上経った事もあり、妹のルージュの事が気になり会いに行くことにした。

 普通に移動すれば、一週間近く掛かる距離だけど、空間を操るナナザイに頼み込んで、瞬時に移動する。

 アリアも空間系は使えるけど、ルージュに会いに行くと言うのは気が引けた。

 ルージュがアリアにした事を考えたら……ね。それに、下手にアリアに嫉妬されると、身体が疲れるというか、なんというか。攻めが激しんだよ。本当。

 これは純粋に、姉として妹の様子が気になる。ただそれだけの行動。アリアに嫉妬される事じゃないと思う。

 されたら、されたで、それは未来の私に全任せしようと決めている! 頑張って未来の私。

 

 ルージュが出家した教会は、私達がいた大陸にある5つの国の一つ「神国ヒテカナ」の地方都市にある。

 「神国ヒテカナ」は、神を拝め奉る国であり、大陸で1番教会の数が多くある国だ。

 ……ここだけの話だけど、現在の教皇が拝め奉っているのはナナザイだったりする。アレって、一応は大魔「神」王。つまり神だからね。

 「ゲーム」においては、ローズからナナザイに命令があり、七神獣と契約しているアリアの事を激しく糾弾した事で対峙、教皇は斃さる直前に、裏ボスのナナザイの存在を仄めかすそれなりに重要なポジションだった。

 ただ、この世界ではそういう事は起きてない。

 どの世界でも宗教組織は七面倒と相場は決まってる。だから、アリア関係では絶対に動かないように、ナナザイには厳命しておいた。

 そのお陰で、「神国ヒテカナ」とは、「ディスペリア帝国」や「ガミーニウ中立自治国」とも違い、良くも悪くもない、至って普通の関係を気付いている。

 

 閑話休題

 

 私は木に隠れてこっそりと教会を覗った。

 教会にいる子供たちと楽しそう遊んでいるルージュの姿を見て、正直言って嬉しかったし、少しだけ悔しかった。

 もしも、私がきちんとルージュに向き合ってたら、あんな風に仲良し姉妹として一緒に遊べたかもしれない……。

 しばらく様子を窺っていた私の元に、ルージュは普通にやってきた。


『なんで私が居るって分かったの?』


『お姉さまが近くに居たら分かりますよ。だって私はお姉さまの妹ですからね』


 そんな答えになっているようで、答えになってない事をルージュは言った。

 ルージュに案内され、ルージュの私室に向かう。

 以前のルージュのままだと少し警戒したけど、ナナザイの報告と、さっきまで見ていた事もあり、大丈夫と判断した。

 部屋は思ってたりよりも簡素だった。元公爵令嬢とは思えない質素な部屋。――今の私の部屋はアリアの私物が色々とあるので、物はそれなりにある。ええ、同室ですよ。それが何か?

 ルージュが出してきたお茶は、思っていた以上に美味しかった。

 どうやら私が魔王紋から聖人紋に反転させた事で、枢機卿に任命されたようだ。ルージュ曰く下っ端で聖人紋があるだけの名ばかりの枢機卿とのこと。


「――お姉さまは、相変わらずアリアと仲良くしてるんですか?」


「ま、まぁね」


「お願いがあります。お姉さま、私を攻めてくださいッ」


「意味がわからないよ?」


 何を言い出すのか。攻める? 責めるじゃなくて?


「お姉さまは、アリアやナナザイ様に攻められて悦んでいるじゃないですか。私もそれをした所で、今や三番手。なら逆転の発想で、お姉さまに攻めてもらい、私は受け役ですれば、そっち系でお姉さまの1番になれると考えました!」

 

 そっかぁ、考えちゃったかぁ。

 なんで、そっち系に考えが行くんだろう。いや、以前みたいにアリアに対抗心を燃やして、また魔王紋に成る事を考えれば――。

 私の周りって、なんて言うか、こんな子が多い気がする。

 類は友を呼ぶ? 私はまともだと思うんですがっ。


「いやいや、考え直そう。もしかしたら、ルージュに変な事をするかしも知れないよ」


「変な事とは?」


「え、え――と、ほら、ルージュがアリアにしたみたいに、裸で街中を散歩させたりとかさ」


「大丈夫です! お姉さまがしてくれるのなら、どんッと来いです。道具は持ってるので、今からしますか?」


「しないからね!?」


 なんで道具を持ってるのか分からない。

 今のルージュは、枢機卿で、子供たちからも慕われる聖女なんだから、そんな子を裸で四つん這いにさせて街中を歩かせたら、私の悪名が広がる。

 ただでさえディスペリア帝国からは自暴自棄になつていた頃にやらかして泣く子も気絶するほど怖れられて、ガミーニウ中立自治国からは要注意危険人物扱いされるのに。

 神国ヒテカナからもそんな扱いをされるのは、御免こうむる。


「そんなに難しい考えなくても大丈夫です。――お姉さまが、ナナザイ様やアリアにされている事を、私にしてくれたら良いんですよ?」


「いや、でもね? こう、色々と問題がある気がするんだけど、実の妹にそういう事をするのは――」


「実の妹だからこそ、良いんです! その背徳感は、お姉さまと私の間でしか生まれない、唯一無二の絆なんですからっ」


 嫌な絆だね。

 私はルージュとは、普通の姉妹の絆を結びたかったよ――。

 大きく溜息を吐いた。

 これも私がした事も対する罰というのなら、業腹だけど受けるとしよう。

 元々私は悪役令嬢。嬲ることは得意な、ハズ。たぶんだけどね。

 

 

 

 

 

 


「ルージュ。私の足を舐めながら、自分がナニをしてるか分かってる?」


「は、はぃ。お姉さまの足を舐めながら、自慰をしています」


 椅子に座ってスカートを膝のところまで上げているお姉さまの生足。

 そして綺麗な足の指に、丁寧に舌を伸ばして舐め回します。

 それだけで私は幸せを感じます

 シスター服からでもハッキリと分かるほど乳首は固くなり、私は服の上から胸を触り、もう片方の手で下半身を弄ってしまいました。


「……ルージュの下半身。凄くイヤラシイ音がしてるよ? 姉の足の指を舌で舐めながら、自慰をするなんて、本当、困った妹だね」


 お姉さまの言葉一つ一つが私に快感を与えてくれる。

 こんな風に攻められるのは、妹の、私だけの特権。


「ルージュ。窓に手をついて、お尻をこっちに向けて」


「わ、分かり、ました」


 お姉さまの命令に従い、私は火照った身体を我慢して、窓を開けて、手を置いてお尻をお姉さまの方へ突き出した。

 シスター服を腰の所まで上げられる。


「黒タイツでもハッキリ分かるぐらい濡れてるね」


「――んっんん」


 黒タイツの上から濡れている所をなぞられる。

 それだけで私は思わず喘ぎ声が漏れてしまいます。

 窓の外は、ちょうど教会の中庭が見渡せる位置ということもあって、中庭で遊ぶ幼い子供たちを見ることが出来ました。

 別に子供たちにバレても良いのですが、多分、そうするとお姉さまは二度と来てくれない気がするので、子供たちに聞こえないように声を押さえます。

 

 お姉さまはある程度、指での刺激を終えると、今度は舌で刺激を与えてきました。

 手を服の中に入れて胸を揉みながら、ちょうど良い感じで乳首を抓てきます。

 なんとか子供たちにバレないように、喘ぎ声を出さずにいるのが精一杯です。

 

 ……こんな事をアリアとしてるんでしょうか?

 してるんでしょうね。あの性悪女は、お姉さまのことに対しては独占欲が強すぎますから、自分のものと周りに分からせようとするでしょう。

 前に、お姉さまが「ヒロイン」とか言ってましたが、私が言うのもアレですが、あの性悪さで「ヒロイン」は論外かと思います。

 お姉さまは一人で来たみたいですが、どうせどこからか覗いてる事でしょう。

 ハハ、お姉さまは、アリアの事を大切に思ってるから、絶対にこんな事はしない。される事はあってもです。

 こんな風に、攻められるのは、私だけの、特権ですッ。

 アリア。貴女にも、これだけは、譲らない!

 

 お姉さまが黒タイツと下着を一緒に下げ、私が1番敏感な所に刺激を与えられた時、私は思わず失禁しました。

 膝をガタガタさせて、放心状態で床に身体が落ちます。

 ――凄く、気持ちよかった、です

 完全な受け体質だと思ってましたが、攻めもできるんですね。

 

 お姉さまは、さっきまでの攻めるような感じではなく、私が失禁した事でオロオロとしてます。

 本当、愛しくて、愛らしい、私のお姉さま。

 私は少しだけ身体を起こして、お姉さまにお願いをした。


「――お姉さま。今日、最後に、キスをお願いします」







 ルージュ、大丈夫かな……。

 なんだかあんな可愛らしいルージュはかなり久しぶりだったので、悪ノリをしてしまった。

 ある程度の所で止めるつもりだったんだけどね? 歯止めが効かなかったよ。

 お兄様に知られたら、拳骨では済みそうにない。絶対に知られないようにしないと。

 ま、後は、ナナザイに連絡をとって迎えに来てもらえれば――


「ローズ様。大変、お楽しみでしたね?」

 

 そこに居たのは、アリアだった。

 光の衣に、七枚七色に輝く半透明な羽を生やした『天神地祇・改』の状態で。

 凄くいい笑顔をしている。

 こういう時のアリアは、何か怒っている時の表情だ。

 ――さっきのは訂正します。お兄様だけではなく、アリアにも絶対に知られない方が良かったッ。


「アリア、これはね。姉妹の、触れ合いっていうかね?」


「では、その、姉妹の触れ合いについて、じっっっくりと、いつもの所で訊かせてください」


「そ、そう言えば、な、ナナザイは?」


「あの悪魔なら、少し封じてきました。――ローズ様の縛りが解けて以降、完全に勝てないのが悔しいです」


 アレ、本編終了後の育成が終わった後に挑む裏ボスだからね? それを単独で少し封じられるだけでもアリアはだいぶ強くなっている。

 このまま行けば、私を超える日が来るかもしれない。

 たぶん、私の魔力・武力封じから開放されるのは、きっとその時だろう。

 最近だとアリアに拘束されている生活も悪くないって思えてきてる。洗脳? 共依存? ナニを言ってるか分からない。

 

「ローズ様は直ぐに浮気をするんですから――。本当、どうしようもない人ですね。また身体に誰の物かじっくりと教え込まないといけませんか?」


「――オテヤワラカニオネガイシマス」


「それは、ローズ様次第です」


 ああ、どうしてこんな事に――

 ルージュの所に来る際に、アリアに一言断りを入れていれば、怒られずに済んだのにっ。

 過去の私っ。よくも無責任に、押し付けてくれたなぁァァァ!!

 

 

 

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