第10話 (元)悪役令嬢は反省と後悔をする
「色欲」魔王の配下を偶然にも斃し、アネイスを助けてから3日ほどが過ぎた。
私はと言うと、アリアに監禁されていた部屋に戻った。
ただ前回までと違い、ベッドに固定ではなく、部屋の中は自由に歩くことが出来る。
机に座り日々の出来事を書こうと思ってたけど、直ぐに止めた。
内容が百合系エロ小説になったからね。見られたら憤死するよ。
私が「バッドエンド」を回避したかった楽に生きたかったからだ。
死刑は論外。私は普通に生きていたい派です。せっかくの二度目の人生だからね。
追放と没落は、たぶん生きていけない気がした。
前世は普通の暮らしだったけど、その普通がこの世界では貴族並みの高水準。しかも転生後はそのまま貴族。
没落にしろ、追放にしろ、この世界の平民まで落とされたら、生きていけるか不安だった。
だから単純に「バッドエンド」を回避するために、アリアの好感度を最優先で上げる事を、最重要事項として行動してきた。
……失敗だったかな。
この前、アリアに泣かれて、思った。
私は色々と間違いを犯した気がしてならない。
アリアの好感度を上げるため、自分本位に進み、ちょっと他のことを軽視し過ぎと思う。
結果だけ見れば「バッドエンド」を回避したハッピーエンド。
でも、過程が本当に正しかったのかと、今更になって思う。
特に気になったのが、ナナザイが言った言葉。
「色欲」魔王以外にも、二体ほど七大罪適正者がいて魔王となっていること。
「ゲーム」において続編というファンディスクですら、そんな存在は居なかった。
原因があるとすれば、私だろう。
私がアリアに対してひたすら好感度を上げてきた事で、その過程で起こったことが、魔王二体の誕生に関わってる気がしてならない。
ナナザイに他の二体の魔王は誰なのか聞けば教えてくれるだろうけど、元々は縛っていない自由にさせている悪魔。
しかも手錠で魔力が封じられていて召喚もできない。
――聞かなくて済む。そう安堵している私がいる。
大きく息を吸い込み、ため息を吐いた。
私ってこんなに弱かったんだ。
「ゲーム」において最強スペックを持つ悪役令嬢、ローズ・ウィスタリー・シュベァイル。
その強さに頼り切って、弱さを見て見ぬ振りをしていた気がする。
ネガティブな思考の沼に陥ってると扉が開き、アリアが入ってきた
私は思わず椅子から立ち上がり、アリアに駆け寄って抱きしめた。
「ローズ様!?」
「ごめんね。少しだけこうさせてもらって良い」
「は、はい」
アリア。アリアだぁ。
この体温。この匂い。この肌の柔らかさ。
うん。こうしていると落ち着く。
「ねぇ、アリア。この前、頼ってほしいって言ったよね」
「はい。い、言いました」
「今日、ずっと居てもらって良いかな。できたらベッドで二人で寝たい。アリアの好きに身体を弄ってもらって良いから」
「――……少し待ってください」
「だめ?」
「だめじゃないです! 全然っ、だめじゃないんですけど……」
顔を背けてブツブツというアリア。
迷惑、だったかな。
……でも、今はなんか凄く不安でできるだけ一緒にいてほしい。
アリアは抱きしめている私を抱きかかえてベッドまでいき、私は押し倒された。
「――ローズ様がいけなんですよ。そんな可愛らしい態度をとられたら我慢できなくなっちゃうじゃないですかッ。今までだってやりすぎないように、嫌われないように、ある程度、我慢してたのにっ」
「心配しなくていいよ。私がアリアを嫌いになるなんて、絶対にないからね。――今はアリアが、こんな私を見て嫌われないか不安でしかたがない」
「それこそ、絶対にありませんから!! どんなローズ様でも、私は愛します!」
「ありがとう、アリア。私の、私だけのヒロイン」
初めて、私からアリアへとキスをした。
ディープなヤツではなくて、普通に唇と唇に当てるキス。
……前世・今世でも、自分からするキスの経験なんてないから、これが初体験だ。
少し恥ずかしい。ディープキスを自分からするには、私は色々と経験不足。流石にやられるのと、するとでは、恥ずかしさが違う。
部屋の灯りが薄暗くなる。
「――ローズ様は卑怯です。こんなことされたら、もう箍を押さえられないじゃないですか」
「アリアの好きにしていいよ。私にアリアを感じさせて、ね」
「ローズ様!」
私はアリアに服を脱がされ、アリアが望むようにあらゆる体位をして、互いになんども絶頂し、その度にキスをした。
もう私はアリアから離れることはできないし、離れたくもない。
不安を押し殺すように、アリアと交わり不安を忘れるようにした。
それが私の失敗。
この時、ナナザイを無理矢理にでもなにかしらの手段を使って喚び出して、後の二体の魔王が誰なのか訊くべきだった。
もし訊けれてれば、ルージュリアン・テスタロト・シュベァイル。
私の実の妹、そして七大罪の魔王が一体「嫉妬」魔王として、私とアリアがあんな目に合うことは無かったと思う。
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