第2章 (元)悪役令嬢とヒロインが送る平穏でない日々

第4話 (元)悪役令嬢はヒロインと外出する


 人生とはままならない

 

 私はアリアに先導される形で山を歩いている。

 今、私が居るのは母国であるデッシュティル王国の西側に位置する「ガミーニウ中立自治国」だ。

 地球で言うオーストラリアほどの広さの大陸に、5つある国の1つ。

 他の4つの国のほぼ中間に位置する国で、交易で栄える国だ。

 中立であるが故に、色々と面倒くさい国だと婚約者である第一バカ王子が言っていた記憶がある。

 私も、幼い頃に来ているけど、あまり記憶にはない。ただ他国の珍しい食べ物などを売っていて、それを買って貰った記憶がある。

 

「ローズ様、大丈夫ですか?」


「うん。特に問題ないけど」


「――そう、ですか」


 アリアは残念そうに言う。

 「背負ってローズ様のたわわを背中で感じたいのに。もうちょっと首輪の効果を強力にして体力を低下させて」と呟いているのが聞こえる気がするけど、たぶん私の幻聴。山の中だと、こう、幻聴が起こりやすいって聞いた事がある。

 私は平穏に普通の生活をしたいだけなんだどなぁ。

 そういえば学園に入学当初に、お兄様から、


『ローズ。学園では、公爵家の娘らしく、普通に、平穏に、淑女らしく、騒動を起こさずに過ごしなさい』


 と、厳命を受けた。

 もちろん私はお兄様が言った通りに過ごすつもりでいた。

 だから「ゲーム」知識を使い地下ダンジョンに行って七つの大罪を持つ古の大魔神王と契約をして、学園内では執事として過ごさせることにした。ヒロインの好感度アップ作戦のために!

 尚、第一バカ王子が、それをお兄様に報告した事で、直ぐに私は実家に帰ることとなり、教育係のゼノさんとお兄様から12時間以上地面に正座させられて説教されることになった。本当に解せない。

 因みに見ていた悪魔は、「ざまぁ」と大笑いしていた。

 嘲笑う顔が苛ついたので直後に殴り飛ばすと、それを見ていたお兄様と教育係の説教が延長された。


「ところでどこに向かってるの?」


「私がボランティアをしている孤児院です。少し前にあった戦争の影響で孤児が増えたようで、微力ながら手伝いをしています」


「へぇ、アリアは優しいね」


 その優しさを私に切実に少し分けてほしいな。

 昔は私に対しても、普通だった気がするけど、最近はちょっとアレなのが気になる


「本当は孤児院の子たちには、ローズ様に合わせる気がなかったんです。……ローズ様に会うと、もしかしたら変な影響が出るかもしれませんからね」


 いやいや、アリア、アリアさん。

 私は毒電波なんてだしてないヨ。

 私と出会って可怪しくなる子なんて、いない、ん、だから……。

 目の前に居るアリアをみて断言できなくなった。え、私って毒電波みたいなの出してるの?

 

「屋敷の部屋に、誰にも見られることなく、触れさせる事なく、ずつとずっとずぅぅぅと居て欲しかったですけど、私の留守中に悪魔がローズ様に手を出すかもしれませんから、緊急時における特別処置です」


 割と暑いはずなんだけど、なんか凄く寒くなった。

 季節が急に夏から冬に変わったのかな。ハハ、ハハハ……。

 

「それにです。最近はこの辺りも不穏な気配があります」


「魔物でも出現してるの?」


「いえ、魔物はローズ様がいるので、以前からすれば出現率は1割程度に落ちてます」


 私は魔物避けの芳香剤かなにかなの?

 

「山賊が出現するのですけど、中々やっかいな宝具を持っているようで、居場所をきちんと特定できないんです」


 アリアでも特定できないってユニークの中でも上位クラスの宝具だと思う。

 基本、アリアはスペック的に最高の上、この世界を構築する7つの属性の神獣たちと契約している為、「なにこのチートキャラ」ってレベルで万能。

 そのアリアにさえ感知されないほどの宝具を、こんな中立自治国の田舎の方の山賊が持ってるかなぁ。

 仮に持ってたと仮定した場合、なにかしたらの謀略が裏で動いてる気もしないでもない。

 

「ローズ様」


「な、なに?」


 気がつくとアリアは私の目の前に来ていた。

 そして私の胸を服の上から揉み、唇を耳に近づけて甘噛みをして来る


「ちょっ、アリア、ここは外なんだけどっ」


「分かってます。でも、ローズ様が感じたくなっちゃいました。だから、します」


 ロングスカートを捲くりあげられ、声を出さないように私の口でスカートを咥えさせられると、アリアの手が足の付根の部分を触られ、下半身へと向い……。

 私は外で羞恥心の闘い、涙目になりながら、アリアの行為が少しでも早く終わることを願った。



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