第3話 (元)悪役令嬢はヒロインに愛される


 私がくしゃみをした事で、空間が軋むほど緊迫していた状態が一瞬で霧散した。

 呆れたようにナナザイが言ってくる。

 

「おいおい、ご主人サマ。空気読んでヨ。あの状況で普通、くしゃみする?」


「ローズ様らしい、可愛らしいくしゃみでした!」


 ナナザイは気が削がれたのか、魔剣を消し去り、私の影へと潜った。

 影には潜ったけど、居る気配はない。影を使った転移術だろう。

 『契約』がある以上、呼べば来るので、どこに行ってもいいけど、他人に迷惑かけてないといいなあ。

 巡りに巡って私に影響があることがある。人はそれを因果応報という。

 

「ローズ様」


 アリアは上着を脱ぎ、半裸の状態になる。

 私の上に四つん這いで覆い被さり、胸と胸が重なるギリギリ。互いの乳首が擦れる程度の身体を動かし、また顔を両手で押さえて、舌を出してディープなキスをしてきた。

 胸の快感と、キスの上手さに私は直ぐに感じてしまう。

 しばらくしてアリアは、顔を離した。

 なぜか少し泣いているようで、目から涙が流れている。


「ローズ様」


「は、はぃ」


「あの悪魔にされて、感じましたか」


「え」


「感じましたか!」


「は、はい。的確に、こう弱点を付かれて――。でも、イカされてはないっていうか」


「……私はあの悪魔よりも劣ってて、ローズ様を本当に感じさせられてない――」


「アリア? アリア、さん?」

 

 あれ、なんかおかしいな。

 私の直感が今直ぐに逃げろと囁く。

 なんとか身体を動かそうとしたけど、うん、全く動かないね。

 

 アリアは覚悟を決めた目をした。

 そしてスカートのポケットから小瓶を取り出す。小瓶の中には、ピンク色の液体が満杯入っている。

 蓋を開けて液体を口へと含み、またキスをしてきた。

 さっきアリアが口に含んだ液体が、私の口に入ってきて、私は吐き出すこともできずに飲み込んだ。

 だいだいだけど、小瓶の中に入っていた量の半分ほど飲み込んでしまった。

 残り半分はアリアの口の中にあり、それをアリアは飲み込む。

 

「――っぁぁ」


 身体が熱くなり、一部が痒みにも似た感じがして刺激を欲しがる。

 あれって、もしか、しなくても、媚薬の類ですか。

 っていうか、アリアも半分飲んだよね。

 アリアの顔を見ると、赤らめて、雰囲気が少しだが淫靡に見えなくもない。

 これも媚薬効果……?


「ローズさま、弄って欲しいですか?」


 アリアは私に顔を近づけて問いかけてきた。

 我慢、我慢しないと、本気でだめになる気がする。

 たぶん、それは私にとっても、アリアにとっても良くない。


 ナナザイを召喚する事も考えたけど、アレを召喚したら嬉々として私の弱点を思いっきり攻めて快楽へと堕ちてしまう。

 しかも、天敵であるアリアも媚薬を飲んでいる。

 アリアに手を出す可能性もゼロでない以上は、私はナナザイを呼ぼうとは思わない。

 

 なんとかしようと考えるが、体中が快楽を、刺激を欲しがる信号を脳に送ってくるため、考えがまとまらない。

 アリア……どれだけ強力なモノを使ったの。

 同じのを使っているにも関わらず、アリアはまだジッと私を見ている。

 私がお願いをしない限りは手を出さないつもりだろう。

 何時から、こんなドSな子になったの。

 私は悲しい。

 悲しくて仕方ないけど、それ以上に、身体が快楽を欲しがる。

 

「アリア、お願い。お願いします。私を弄って。アリアの好きに、全身を好きに弄ってください!!」


「フフ、ローズ様。とてもとっても可愛いです。私だけのローズ様」


 左手が胸を弄り、右手が身体をゆっくりとなぞりながら下半身へと向かう。

 それだけで快感を得てしまう。得てしまった。

 アリアの妖しく淫靡に染まった瞳が私を見つめる


「ローズ様が感じるのは私だけにしてあげます。あくまに触られても嫌悪感を得るほど、私に溺れてください。私もローズ様以外ににこういう事をされると嫌悪感を感じるようにします。もう、何も考えなくていいです。ただただ私が与える快楽に溺れて、私だけを見て、私だけを感じてください。衣食住、全て私が見ます。ローズ様、ローズ様は私だけの、私だけのモノだ!!!」


「あ、あっ、あぁぁぁあ――」


 媚薬の影響で、痛みすらも快感へと変わってしまっていた。

 アリアが両手で急所を思いっきり抓り、その痛みで海老反りになって声を出してイカされてしまう。

 もうどうしようもない。

 どんな泣いてお願いしても、私を弄るのをアリアは止める事はなかった。

 

 

 

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