夜を光で照らす子供の数日

一日目

「いってきます。」

私は小さく呟いた。

この言葉はあいつらに行ってるんじゃない、家に対していってるの。

自分たちの娘は初めて行為の副産物とか思ってる人間だ。

私はそんな人間に対して強烈な吐き気を催すほどの嫌悪感を持っている。

何故、私は生かされてるかも分からなくなってくる。

いつか_してやる。

最近あいつらは私を虐めてくるようになった。

多分、私を・・・、自分よりも小さなものを虐めるのはたまらなく快感なんだろう。

あいつらを思いだして玄関先で吐きかけた・・・。

何で私はあいつらの事を思い出してしまったんだろう・・・。

こんなにも自由で広い外に出たのに。

私は自分を安心させ、ストレスを発散させるために夜の街を歩き回る。


二日目

「いってくる。」

また私は昨日みたいに呟いた。

無論あいつらに対してではなく、私の家に呟いた。

もう帰ってきたくないけど、私を殺さないために・・・、いや、私を虐めるために最低限の食事は用意してくれる。

何であんな奴らが生きてるのか想像もできない。

また私はあいつらの事を考えてしまった。

本当に_ねばいいのに。

私はこの怒りを胸に持ちつつ夜の街に光を当てた。


三日目

「わたし、かえらないよ。ありがとうね。」

私は今日、帰らないつもりだ。

もううんざりだった。

これ以上このごくつぶしどもとは生きていけそうになかった。

最悪、どこかひっそりとした場所で死ねばいい。

私はそう思いつつ、家に感謝しつつ出ていった。

ここ数日ストレスでなのか知らないけど、幻聴が聞こえるようになった。

誰かが私に対して喋ってきているような・・・、そういう幻聴だ。

どこにいるでもない人間的な影もない、これは幻聴なのかも分からない物だった。

そんなどうでもいい事を気にしていると、見た事もない裏路地についた。

私はあいつらから離れたいという一心でそこを通っていみた。

どこにつながるかも分からない、裏路地に入っていったのだ。

少しずつ、見慣れていた家たちもなくなり見慣れない道にはなっていった。

小さく小さく変化していく道や家、変化しないのは電柱の間隔位だ。

私は暫く歩いていた、完全に見慣れない道になった。

多分あいつらからは離れれたと思った。

でも、やっぱり知らないところって怖い。

少し戻りたいなぁとか思ったけど、時間が戻るわけではない、一度行ったことはもうやり直せないってことだ。

そんなとりとめもない事を考え続けているとふと気になるものがあった。

それは電柱に張り付いた紙だった。

その紙は私がここまで来た経緯を事細かに書いてあった。

気になったことがもう一つあった、それはこの文章の構成の仕方が日記の構成と一緒なところだ。

何日目とか書かれてる上に私の心情、私の言葉がすべて書かれてる。

三日前から書かれているようだった。

三日前といえば、私があのくずどもから離れようと決心し始めたぐらいの時だ。

もう思いだしたくもないような、やつらの言葉が頭によぎった。

「いやだ・・・。」

私はそれだけ小さく呟いた。

そして、何も見なかったかのように私は歩き始めた。

私は街の闇に溶けて消える様に、手に持ってる懐中電灯の明かりを消し闇に向かって歩いた。

私はにやりと笑いながら、闇に姿を消していった。

「いつかあいつら_ろしてやるから。」

最後に呟いた言葉はそれだった。

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