第33話 本当の気持ち!

 あれから2日経ち、5日ぶりにユースエン公爵家に帰れることになった。白髪おじいちゃんも、もう大丈夫そうだと言ってくれた。まぁ確かに、体調はばっちりである。

 健康体って素晴らしいー!


 ちなみに今は帰り支度をサフィにしてもらいつつ、ルイド様の仕事が終わるのを待っています。

 せっかくなら一緒に帰った方が使用人さんの手間が省けるよね!てことで一緒になりました。


「はぁ…やっと帰れるわ…!」


「よかったですね」


「サフィも毎日来てくれてありがとう」


「私は奥様の専属侍女ですから」


 それでも助かった。サフィまじ精神安定剤。ちなみに昨日も今日もマリー様は見舞いに来てくれた。もちろんルイド様も。理愛と真理としてのお話は楽しかったなぁ。ちなみに、2人だけの時は前世の時みたいに、誰かいる時は今世の時みたいに話そうって決めた。


「フィリア、待たせたな」


 しばらくするとルイド様がやってきた。お仕事終わったんですね!


「ルイド様、お疲れ様です」


「ありがとう。さて、帰ろうか」


「はい」


 ルイド様にエスコートされながら部屋の外に出てそのまま馬車に向かう。

 やっとうちに帰れる…!王宮はさすがに寝ているだけとはいえ疲れるね!おうち最高!…こう思っている時点で引きこもりなんだよなぁ。




 馬車に乗り込み、椅子に座る。


「ふぅ…」


 あー、まだ馬車なのに落ち着くわー。元気になってくれて良かったよ私の体!


「やっと帰れるな。フレデリクたちがずっと心配しているんだ」


「そうなんですね。たくさんの人に心配をかけてしまったわ…」


 不意打ちの毒だけど。さすがに防ぎようがなかったけど。


「無事ならいい」


「そうですね」


 たくさんの人に心配をかけてしまったけど、まぁこうして今生きているし、それくらいいっか。…良くない気もするけど。


 あ、そうそう。しばらくは社交お休みしていいそうです。なんと王家主催の社交も!国王夫妻が王家主催もしばらく休んでいいよって言ってくれたらしい!やったぁ。まぁ、そんなに頻繁に王家主催の社交が開かれるわけではないけどね!せっかくなら次の社交は休もう。




 馬車が止まり、屋敷に着いた。ルイド様にエスコートしてもらって屋敷の中に入ると、使用人さんが総出でお迎えをしてくれた。

 わぁ、びっくり!そしてすごい迫力!嬉しい、ありがとう。


「おかえりなさいませ。旦那様と奥様」


 と、そうフレデリクが言葉をかける。


「ただいま帰ったわ」


「ご無事でなによりです」


「心配かけたわね。…あ、ちゃんと宣伝してきたわよ」


 そう言うと、フレデリクは一瞬びっくりして、何のことか理解するとクスっと笑った。

 何で笑うのさー。宣伝してこいって言われたからちゃんと宣伝してきたよ!なんとあの王妃様にも!あ、マリー様はもう買ったそうです。早い。


「それはよかったです」


「リアグランスか」


 不意にルイド様が声をかけてきた。

 知ってたんですねルイド様!リアグランスを!ってそりゃそうか、この家の旦那様だもんね。


「はい。ルイド様もぜひ」


「わかった」


 よし、これでルイド様もリアグランス愛好者への一歩を踏み出した!…て、何で夫に向かって宣伝してるの私。まぁいいか。




 その後ルイド様は書斎に行って、私はダイニングに向かう。ルイド様が来たところで、夕飯を食べ始める。

 はぁ、やっぱりうちでのご飯は最強ね!私の好みをばっちり押さえているわ。まぁお城のご飯も美味しかったけど!量は多かった。あれ食べるの大変だったんだよ!おかげでちょっと太った!減量せねば…。体重増えると減らすために動かないといけないからキープしてたのにー。


「食べれそうか?」


「はい」


 減量のことを考えていたせいで、食べるスピードが落ちたのに気付いたのか、ルイド様が尋ねてきた。

 おっと、よく気づきましたね!?だけど安心してください!具合悪くてこうなったわけではないので!




 先に食べ終わったルイド様は書斎に戻って、私もその後食べ終わり自室に戻る。


「自分の部屋最高すぎ…」


 自室にあるソファーに座って、クッションを抱きしめる。

 自分の部屋最高!落ち着く!素晴らしい!


「そうですね」


「あ、そうだったわ。ねぇサフィ、ちょっと太ってしまったのだけど…」


「この機会に運動してみてはいかがですか?侍女長がダンスの練習をしてくれると思いますよ。あ、それか護身術を身に付けてもよろしいかと」


 うげ…やっぱりそうなるかぁ。ソルディエのダンス練習とか考えただけで筋肉痛になりそう。でも護身術はいいかも?


「考えとくわ…」


「まぁ今は安静第一ですけどね」


「毒ならもう大丈夫だと思うわよ?」


 白髪おじいちゃんも大丈夫だって言っていたし。あ、白髪おじいちゃんね、医官長だったらしい。すごい人が治療してくれたよね!


「油断は禁物です。もしかしたら容体が急変するかもしれませんし。しばらくは安静にするのがよろしいかと」


「そうね。わかったわ」


 むぅ、それならやっぱり食事をもっとヘルシーにしてもらおう。

 容体急変かぁ。もう大丈夫だと思うんだけどなー。まぁ、念には念を、だね!




 湯浴みを終わらせて、今日はもう休んでしまおうかなーと思っていると、コンコンと扉がノックされてルイド様が入ってきた。もう一回言おう。ルイド様が入ってきた。


 なんで!?


「え?ルイド様…?」


「体調どう?」


「あ、変わりないです」


 何しにきたんですか!?用事?用事ですか?あのルイド様が自分から出向いて用事を言う!?


「ちょっとついて来てほしい」


「わかりました」


 サフィに羽織を用意してもらい、ルイド様について行く。ちなみにサフィたちはついてこなかった。近くにフレデリクもいない。

 どこに行くんだろう?はっ、捨てられる…!?なわけないか。


 しばらく歩いてやってきたのは小さなバルコニー。

 おぉ、こんなところにバルコニーあったんですね!初知り!…うん、明日から運動がてら屋敷探索しよう。いまだに屋敷の中を熟知していないのはまずい気がしてきた。


「どうしたんですか?」


「少し話があってな」


 そう言って、ルイド様はバルコニーから見える庭を眺める。

 話?話ってなんだろう。まさかやっぱり離縁…!?


「あ、離縁は絶対しないからな。これから先も」


「そうですか。…これから先も?」


 どういうことだろう?いやまぁ、そのまま捉えれば今後粗相しても離縁しないって意味なんだろうけど。


「あぁ。今後フィリアとは絶対に離縁しない。だからすぐに離縁に結び付けるのはやめてくれ」


 あ、思考ばれてましたかー。てへっ。…え、本当に離縁しないの!?粗相しても離縁しなくて済むの!?そんなことが公爵夫人に許されるの…!?


「あ、はい。…それで話とはなんですか?」


「驚かないで聞いてほしいんだけど…」


 そう言ってルイド様は私の方に向き直り、しっかりと目を見てくる。


「フィリアが好きだ」


「え」


 えぇぇえええ!?…あ、驚いてしまったわ。いや、これ驚かない方が無理あるよね!

 え、ルイド様今なんて言った!?好き!?そんな夢みたいなことがあり得るの!?あの女性に興味がないルイド様が…!?


「驚いてるじゃないか」


「驚くなの方が無理ですわ」


「それもそうだな」


 そういってルイド様は優しく笑った。

 そんな顔もできるんですね!?作り笑いのキラッキラ笑顔と無表情くらいだと思ってた…!


 え、どうしよう。その表情すごく好きなんだけど。…え、好き?私今、好きだと思った…?


「いつから、ですか…?」


「いつからだろうな。何もしてあげていなかったのに、公爵家のために立派に私の妻として振る舞ってくれているのを見てな」


 そんなに立派に振る舞ってましたっけ…?確かに粗相はしてないけど!でも社交を頑張ったわけではないし…。


「その顔だとわかっていないな。母や王妃様に認められて、王太子殿下の婚約者のマリーナル嬢と友人になって、公爵夫人として頑張っているじゃないか」


「…確かに」


 そういえばそうだわ。王妃様とお義母様に認められているかは別として。まぁ、悪くは思われていないか。確かにその言葉聞く限りめっちゃ公爵夫人してるわ…!


「そういうのを見て気になりだしたんだ。そして子息たちに言い返しているのを聞いた時は驚いた。フィリアが言い返したのもそうだけど、何もしてあげていないのに私のことを身内だと思ってくれていたんだと」


「だって、ルイド様は夫で、」


 そういえば、なんで私はルイド様を身内だと思ったんだろう?仮面とはいえ夫だから?それもあるけど、それだけじゃないような…?


「…フィリアが毒を盛られて倒れたとき、どうしようもなく不安になった。このままいなくなったらどうしようって。そう思うと不安で、悲しくて…後悔したんだ」


「後悔?」


「何もしてあげられなかった、その後悔がな。そこで気づいたんだ。私はフィリアを好きになっていたんだな…と」


 そう言ってルイド様は恥ずかしくなったのか顔をそむける。

 そむけるタイミングそこ!?ちょっとこの私の恥ずかしさはどうすればいいんですかね!?言われた私はどうすれば…!?


「…ルイド様」


「フィリアが私のことを良く思っていないのはわかっている。そう思うのは仕方がないことだからな。だけど、この気持ちは知っていてほしい。だから離縁なんて考えないで」


「ルイド様、私は別にルイド様のことを良く思っていないなんてことはありませんよ。それにルイド様は私の為に色々してくれたじゃないですか」


 今の何不自由ない生活も、ドレスもアクセサリーもハンカチも与えてくれた。それに子息たちに絡まれたときに助けてくれたし、倒れた時もずっと心配してくれた。確かにこれが普通の夫婦から見れば少ないかもしれないけど、でも私に色々してくれたことに変わりはないよ!だからそんなこと考えないで。

 まぁ、離縁に関しては申し訳ない。でももう考えないから!あ、でもちゃんと粗相しないように気を付けるよ!


 私がそう言うと、ルイド様は驚いた顔をして私を見る。

 その驚いた顔もいいですねぇ。ルイド様って思っている以上に表情豊かなのでは?


「でも、今回の毒も元をただせば私のせいだ」


 そうね、それは否定できないわ…。否定したいのに!超否定したいのに!

 だけど、今回の毒騒動はルイド様だけじゃなくて私も悪いんだよなぁ。ちゃんと言い聞かせておけばよかった。いやでも前世からの執念だしなぁ…。言い聞かせたところで変わるのかな?


「ルイド様を恨んでいませんので自分を責めないでください」


「どうしてそんなに優しいんだ?」


「そうですね…。私もルイド様のことが好きだから、でしょうか」


 私がそう言うと、ルイド様は目を見開いた。


 ——好きな人と結婚したい。真理の言った言葉がふと蘇る。


 そうかぁ…私もいつの間にかルイド様のことが好きになっていたんだなぁ。


 そう思うと、胸に何かがストンと落ちた。助けてくれた時かっこいいと思った。お出掛けが楽しかった。今回心配してくれたのが申し訳ないと思う反面嬉しかった。それはルイド様のことが好きだからだったんだなぁ。


「好きです、ルイド様のこと」


 私もルイド様もいつの間にか笑顔になっていた。

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モブキャラな私はお飾り公爵夫人!? 春宵 @kaym_115

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