第32話 解決!

 今、なんて?理愛…?それは私の前世の名前で…。まさか!?


「ま、り…?」


「今頃気づいたの?遅いわね」


 えぇえええ!?真理!?前世のツンデレ友人兼保護者の真理!?今まででてきていた友人というのは真理のことです。

 あぁそうか、ツンデレだ…!確かにツンデレで何かと気にかけてくれるって真理じゃん!?

 はっ、王太子殿下と仲が良くなって、王妃様に認められたのってアリリスさんがルイド様ルートに行ったからじゃなくて、真理だったから…!?


「なんで…?」


「ここからは2人きりで話そうね」


 マリー様もとい、真理は部屋にいたサフィや他の使用人さんたちを、恥ずかしいから2人きりにして欲しいと言って外に出した。


「なんで真理もここに?」


「忘れたの?あの事故で死んだのは理愛だけじゃないのよ?」


「えぇ!?」


 あの事故とは私が死んだ原因の事故だ。帰宅中信号無視のトラックにはねられた事故。

 あ!そういえば真理と一緒に帰ってたような!


「やっぱり忘れてたみたいね…。理愛らしいといえば理愛らしいけど」


 そう言って、呆れた顔をする真理。あぁ、これぞ真理だ…!


「ごめんごめん。それで、マリー様に転生したんだね」


「そうよ。もう、大変だったんだから。反感しか買いまくってなかったんだからね!みんなとの仲を取り戻すの大変骨折り作業だったんだよ!」


 デスヨネー。だってマリー様悪役令嬢だもん。あれ?でも真理ってこの乙女ゲームやってないよね?


「そういえば真理はこの世界知らないよね?」


「異世界なのはわかるけど」


「ここね、前世の乙女ゲームの世界なんだ~。それで、マリー様は悪役令嬢!」


 そういうと、真理は一瞬で遠い目をした。


「あ、だからあんなに反感買いまくってたんだね…」


「どんまい」


 そう言って親指を立てる。真理はジト目でこちらを見てきて、軽く私の頭をはたいた。


「いてっ」


「痛くないでしょうが。理愛が今元気だったらあと3倍の力で叩いたわ」


「よかった!」


 そういえば、前世でよくふざけては真理に叩かれていたっけ?懐かしいなぁ。


「そういえば、真理っていつから私が理愛だと気づいていたの?」


 さっき今頃って言っていたよね?となると、結構前に気づいていたってことになると思うんだけど…。


「初めて会った時よ。あの令嬢方に絡まれていた舞踏会。なんか話していて既視感あるなぁ…と思って。で、名前がフィリアでしょ?私も前世真理で今世マリーナルだから、たぶん理愛なのかなーって」


「え!?それだけで!?あと既視感って何よ!」


 確かに私も前世理愛で今世フィリアだけど!前世の名前に文字が追加されただけだけど!でもそれだけで私だと思う普通!?


「なんか、ちょっと方向性が違う感じとか、そそっかしい感じとか?」


「方向性?」


「いまだに気づいていない方が驚きなんだけど。立派な公爵夫人に掃除料理洗濯といった家事の技術は必要ないのよ。前世の一人暮らしじゃあるまいし」


「えぇぇえええ!?」


 そんな…!今までやってきたこと無駄だった…!?あ、でも裁縫は無駄じゃないよね?刺繍は立派な公爵夫人に必要よね!


「まぁ、確信持ったのはついこの間ね。リアグランスが発売されたでしょ。柔軟剤なんて発想するのは前世の記憶ある人だけだと思ってねー。案の定ユースエン公爵家だったし」


「あぁ…確かに。はっ!ぜひお買い求めください!そしてぜひ広めてね!」


「わかったわよ…。それにしてもいつものフィリアとは別人ねぇ」


 真理はやれやれ…といったため息をついた後、そう言ってきた。

 いつものフィリアねぇ…いや、心の中ではいつもこうだけど。でもさすがにこれをそのまま言葉に出すわけにはいかないでしょ。


「公爵夫人モード?あ、今世モードの方が正しいかな?」


「まぁ、今の感じだとこの世界では変人になるもんね…」


「失礼な!私は変人じゃありません!」


 確かに公爵夫人には向かないくらいうるさいかもなーとは思ってたけど!でも変人じゃないよ!普通だよ!いたって普通のモブだよ!


「その時点で変人だから。…まぁ、理愛が元気になってよかったわ。まさか毒を盛られて倒れたって聞いた時は寿命が縮んだわよ」


「その点は心配かけました。私もびっくりだよ、まさか殺されるとは思わなかった。いやぁ、敵意って怖いね!」


 まさかその敵意が前世からなのはびっくりだけどね、アリリスさん。やっぱり恨みつらみを買うのはよくないね!自分で買ったわけじゃないけど!不本意に買わされたけど!


「王太子殿下の婚約者って大変だねぇ。でも好きでしょ?王太子殿下」


 私がそう言うと、真理の顔が急に赤くなった。わかりやすっ。


「ま、まぁね。爽やかイケメンだし、ツンデレだし、でも優しいし」


 ツンデレはあなたもです。まぁ、口には出さないけど!それでツンデレじゃなくなったら悲しいじゃん?


「それより理愛はどうなの?ユースエン公爵殿のこと」


 え、そこで私に話を振ってくるぅ!?鬼畜ですね!さすが真理!


「んー…よくわからない。だってあんまり会話しないし、交流もそこまである方じゃないし。あぁ、でも助けてくれた時はかっこいいと思ったし、お出掛けは楽しかったし、今回心配してくれたのは嬉しかったかな?」


「わぁ…」


 そう言って真理はわかりやすく引いた。

 あれ?引かれる要素どこにあった!?なんでそんなにジト目なんですかね!?


「まぁいいわ…そのうちわかるだろうし。そろそろ私は失礼するわね」


「大変だねぇ」


「そうね。でも、好きな人と結婚したいじゃない?」


 そう言って、真理もとい、マリー様は部屋を出て行った。


「好きな人、ねぇ。頑張れ真理」


 でもまさか、悪役令嬢までも転生者だと思わなかったわ。しかもそれが真理って…。嬉しいなぁ。それに今後が楽しみ!前世の分含めて、たくさん遊びたいな!




 マリー様が出て行ったあと、しばらくして今度はルイド様が入ってきた。

 おぉ、ちゃんと仕事の合間に来てくれたんですね!嬉しいです!


「具合はどうだ?」


「だいぶ良くなりましたわ」


「それはよかった」


 そう言ってルイド様は近くに来て腰を下ろす。このやり取り3回目だな?そしてルイド様黙り込んでしまっているけどどうしたんですか?いや、いつも会話は少ない方だけど!それに何やら考えているご様子…?


「どうしたんですか?」


「フィリアにとってはきつい話になると思ってな」


「離縁ですか…?」


 え、やっぱり今回の騒動は粗相即離縁になるの!?やばい、そうなったら真理となかなか会えなくなる…!いや、会えるか。そういや実家、伯爵家だったわ。あ、でも捨てられるなら会えなくなっちゃう…!


「それは断じてしないから安心してくれ。この事件の首謀者についてだ」


 おぉ、それはよかった…!そして首謀者ということはアリリスさんのことか。あれ?ちゃんとアリリスさんだとわかっているよね?ここで知らない名前出てきたらどうしよう。


「あ、はい。聞きますわ」


「首謀者はアリリスというメイドだ。もう既に自白しているし、証拠もそろっている。使われた毒は遅効性のものだった。たぶん、カップ一杯飲んでいたら死んでいただろう」


「あー、なるほど…」


 美味しくないからとあまり飲んでなくてよかった!それでも2日気を失って生死の境を彷徨ったんだから毒強すぎね!アリリスさん怖い!

 まぁ、味がついている毒にしてくれただけまだましかな…ましじゃないね!そもそも毒盛るなって話よね!


「それで、このメイドの処分についてだが、死罪になる可能性が高い。何せ公爵夫人を暗殺しようとしたからな」


「あ、そのことですが…アリリスさんを殺さないでやってください」


「なぜ?自分の命が狙われたんだよ?」


 そう言って訝しむルイド様。まぁ、普通の反応だよね。

 だってさぁ、このままアリリスさんが死罪になったら、アリリスさんの死に私が絡んでいるってことになるんだよ?後味悪すぎる!それにこのまま殺したら怨霊になって枕元に毎晩立たれそう!


「いえ、助けてほしいわけではありませんわ。外国の厳しい修道院に追放とかで良いと思うんです」


 それでもなかなか厳しいけどね!

 それにこのまま死罪になったら、また転生して誰かを傷つけそうなんだよねー。そうならないように、心を改める時間を与えてやってほしい。改めるかは知らないけど!あれ?生霊になって枕元に立たれないよね?今まで立たれたことないからないと信じておこう。


「なるほど。ではそうしよう」


「はい」


 よし、これでアリリスさんの問題も終わり!これからは多少は平和に過ごせるかな?


「では、私はこれで失礼する。また来る」


「はい。ありがとうございます」


 そう言って、ルイド様は戻っていった。

 お仕事忙しそうだね…。でもその合間を縫って来てくれるなんて優しいなぁ。


 好きな人、か…。


 ふと、最後に真理が言った言葉が頭をよぎった。


「あ」


 そういえば、王妃様はマリー様と王太子殿下がお互いに心を通じ合わせた時に結婚式を挙げる予定って言ってたんだった。そのこと言えばよかったなぁ!まぁ、あの二人ならそれも時間の問題か。

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